人工授精(AIH)の方法や費用、成功率は?

不妊治療中の夫婦にとって、人工授精は選択肢のひとつで、わりと一般的な治療法といえます。

しかし人工授精という言葉は聞いたことがあっても、あまりよくわからない、という方が多いようです。

「タイミング法はまだしも、人工授精はなにかや、体外受精との違いなどは、正直わかりにくい」というのが一般的な声といえます。

そこで、人工授精の方法や、適応条件、費用、成功率について詳しくみていきましょう。

人工授精(AIH)とは?


人工授精とは、不妊治療に使われる、生殖医療技術のひとつです。

英語では、Airtificial Insemination by Husband といい、略して、AIHともよばれています。

精液を人為的に、子宮内に注入する技術で、卵子と精子が出会う確率を高めることで妊娠をうながす方法です。

あらかじめ採取した精子を、カテーテルと呼ばれる細い管を使って、子宮の奥に注入するまでが医師の仕事。

その後の受精〜着床〜妊娠という過程は、自然妊娠と同じで、比較的自然妊娠に近い治療法といえるでしょう。

人工授精は、不妊治療の第2ステップ

「妊活をしているのになかなか妊娠できない」
6組に1組のカップルは、不妊に悩んでいるようです。

不妊治療では、不妊症の原因を探り、適切な不妊治療を行います。

不妊治療は、段階的に進めていくのが一般的です。

  • 第1ステップ:タイミング法
  • 第2ステップ:人工授精
  • 第3ステップ:体外受精

最初はタイミング法から

最初は、経済的、身体的に負担の軽い「タイミング法」からはじまります。

タイミング法は、女性の排卵日に合わせて性交を行う方法です。

病院では、排卵日を予測するために、基礎体温や、超音波検査、ホルモン検査が行われ性交のタイミングがアドバイスされます。

保険が適用されるので、多くの方はタイミング法を行うようです。

半年~1年くらいタイミング法を行って、結果がでなかった場合は、次のステップに移ります。

続いて人工授精

タイミング法で、妊娠が叶わなかった場合、第2ステップとしてとられるのが人工授精です。

女性の年齢が高い場合は、タイミング方は取らずに、はじめから人工授精をすすめられることもあります。

排卵日の予測をするのは、タイミング法と同じですが、排卵日に合わせて、性交するのではなく、採取した精子を人為的に子宮の奥に注入する方法です。

人工授精を4〜6回トライしても妊娠できなかった場合、次のステップとして、体外受精という治療法があります。

人工授精と体外受精はどう違うの?

人工授精と体外受精は、混同されることも多いようですが、全く違う治療法になります。

体外受精とは、体外で人為的に受精させた卵(胚)を、子宮に移植する治療法です。

本来は、体内で行われる受精を、卵子と精子を取り出して、体の外で行う方法といえばわかりやすいでしょうか。

  • 人工授精では、精子を子宮に送り届けるところまでしかできず、精子が卵子と出会えるかどうか、出会って受精できるかどうかは、自然妊娠と同じ経過を取ります。
  • いっぽう体外受精では、卵子と精子を体外で、確実に受精させるのです。
    この受精卵を数日培養したあとで、子宮内に戻し、着床すれば妊娠となります。

体外受精は人工授精よりも妊娠の確率は高くなりますが、体外で卵子と精子を受精させるには、専門的な技術や設備も必要となり、1回の治療が高額です。

人工授精から、体外受精へステップアップするかどうかは、夫婦でよく話し合い、医師とも十分に相談する必要があります。

人工授精の方法と具体的な流れは?


人工授精を受けるとなったら、それなりの準備も必要といえます。

排卵日の正確な予測から始まり、病院での人工授精、その後、妊娠しているかどうか確認するというのが大きな流れです。

人工授精の具体的な流れ

まずは、人工授精の具体的な流れを、時系列でみていきましょう。

生理初日〜7日目 人工授精するかどうかの決定

生理初日から遅くとも7日目くらいまでには、今周期に人工授精を行うかどうかを決定します。

排卵日を予測しやすくするためにも、普段から基礎体温計をつけておきましょう。

また、この時期に完全自然排卵で行うか、排卵誘発剤を使用するのかも決定します。

生理10~12日目 人工授精の日の決定

超音波検査で、卵胞の成長具合をチェックしつつ、血液検査でエストロゲンを測定し、排卵日を正確に予測。

排卵日の特定に合わせて、人工授精する日時を決定し、精子をどのように用意するかを相談して決めます。

精子の採取は、

  • 当日自宅で採精したものを病院に持参する方法と、
  • 男性が病院に行き、病院で採取する方法

があるので、夫婦で話あうことが大切です。

排卵日前日〜排卵日 人工授精の実施

精子は、病院に出向いて採取するか、自宅で採取したものを使用します。

採取された精子は、だいたい1時間かけて、洗浄・濃縮するのです。

洗浄・濃縮された精子を、カテーテルという細い管を使って、女性の子宮の奥に注入します。

注入にかかる時間は、だいたい1〜2分程度です。

人工授精後は、5〜15分ほど安静にしてから、自宅へ戻ります。

とくに腹痛などない場合は、普通に過ごして問題ありません。

病院によっては排卵を確認するために、人工授精の前に超音波検査をしたり、排卵検査薬で確認してから、人工授精を実施する場合もあります。

排卵日以降 着床を高める措置

人工授精のあとは、着床率を高めるために、黄体補充治療などが行われる場合もあるようです。

病院や、それぞれの患者さんに体の状況によって、とられる処置は違ってきます。

生理予定日以降 妊娠判定

排卵後、約1週間で着床となります。

生理予定日をすぎた頃から、血液検査で妊娠判定が可能になるのです。

採取した精子を洗浄、濃縮する理由

女性の体は、膣の自浄作用によって、子宮内への雑菌の侵入を防いでいます。

しかし、採取した精子をそのまま子宮の奥に注入すると、精子と一緒に雑菌が子宮へ、侵入する可能性があるのです。

そのため採取した精子は、雑菌を排除するために、洗浄されます。

また、濃縮することで、運動率のよい精子を選別して注入することができ、それにより妊娠の可能性を高められるのです。

現在では、質のよい精子を分離させる、パーコール法を採用している病院が主流のようですね。

パーコール法で産み分けが可能?

自然妊娠の場合は、膣の酸性度やアルカリ性度をコントロールすることで、男女の産み分けがある程度できるといわれていますが、体外受精では使えない方法です。

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しかし、精子の濃縮を行うパーコール法において、そのプロセスで、X精子とY精子をある程度選別できます。

ただし、100%産み分けできるわけではなく、成功率は6〜7割程度です。

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人工授精後に痛みを感じた場合は?

実際の人工授精は1~2分程度なのと、使用するカテーテルは細い管であるため、ほとんど痛みを感じることはありません。

しかし器具を使って、人為的に細い管を膣から子宮頸管に挿入するため、多少の痛みと出血があるケースもあります。

この痛みは、しばらくすると収まってしまいますので、そう心配する必要はありません。

注意しなければいけないのは、人工授精当日や翌日に、激しい痛みや発熱などの症状がある場合です。

卵巣卵管の炎症、あるいは、骨盤腹膜炎の可能性がありますので、すぐに担当医に連絡して、診てもらいましょう。

人工授精はどんな人に向いているの?


不妊治療のひとつとして用いられる人工授精ですが、全ての不妊治療を行う人に適しているわけではありません。

では、人工授精はどんな場合に適用されるのでしょうか?

人工授精が適しているケース

人工授精は、おもに精子が子宮へ進入することを、サポートするものです。

そのため、以下のようなケースにおいて、人工授精が有効と考えられます。

    【人工授精が有効と考えられるケース】

  • 精子が少ない、あるいは、精子の運動性が活発でない場合
  • EDなどの性交障害がある場合
  • 子宮頸管の粘液の分泌が不十分だったり、女性生殖器の狭窄で、精子の進入障害がある場合
  • 膣内に抗精子抗体ができてしまっている場合
  • タイミング法を半年以上続けているが、妊娠できなかった場合

人工授精が可能な条件は?

上記のようなケースで、かつ下記の条件を満たしている場合、人工授精という治療方法が可能となります。

  • 卵管が通っていて、排卵があること
  • 精子が約4000万個採取できること

通常、1回の射精で出る精子量は1.5〜4ml、精子濃度5000万/ml以上です。

となると1回の射精で、7500万〜3億個の精子を採取できます。

いっぽう、1回の人工授精において、約4000万個の精子が必要です。

そのため、精子濃度が1000万個/ml以下の場合や、精子の運動率が悪い場合(精子無力症)は、人工授精には適していません。

いちじるしく精子の数が少なかったり、精子無力症の場合は、体外受精をすすめめられることもあります。

男性が無精子症である場合

精液検査で、精液の中に精子がみつからない無精子症と診断された場合は、まずは、無精子症の治療から始めます。

無精子症には、非閉塞性無精子症と、閉塞性無精子症があるのです。

いずれも治療には高額な費用がかかりますので、治療を行うかどうかは、妊娠の可能性も含め、医師と十分に相談して決める必要があります。

また治療が困難で、配偶者の精子が確保できない場合は、第三者の精子を使用する人工授精(AID)をするケースもあるようです。

日本でも実施されている治療法ですが、遺伝子的には、赤ちゃんの父親は第三者となるわけで、ご主人の心理的問題も考慮しなければなりません。

いずれにしても、パートナー間で十分に話し合って、決める必要があるでしょう。

人工授精での妊娠率は?


人工授精は、人為的に精子を子宮の奥へ注入することで、精子と卵子が出会う確率を高めるものです。

しかし、必ずしも受精できるかどうかまでは、コントロールできません。

人工授精による妊娠率

1回の人工授精で妊娠する確率は、病院によって多少違いますが、だいたい5〜10%といわれています。

ただしこの確率は、女性の年齢や、精子の状態などで大きく変わるので、ひとつの目安程度に考えてください。

また、人工授精で妊娠したカップルのうち、4〜6回の間に90%が妊娠しています。

そのため、4〜6回の人工授精がひとつの目安となり、それでも妊娠できない場合は、ステップアップして体外受精治療を受けるかを、検討することになるでしょう。

人工授精で赤ちゃんに異常が発生する確率

赤ちゃんの先天性異常が発生するリスクは、人工授精だからといって高くなるわけではありません。

先天性異常の発生率は、自然妊娠と変わらないのです。

人工授精にかかる費用


人工授精にかかる費用は、病院によって多少の差がありますが、だいたい1〜3万円くらいかかります。

自由診療扱いとなり、保険適用外なので、全額自己負担です。

排卵誘発剤を使うか、黄体補充治療をするかどうかなど、前後の検査や治療によって、金額は変わってきます。

人工授精治療への助成金

人工授精は、基本的に健康保険が適用されません。

また、特定不妊治療の助成金も、人工授精は対象外です。

しかし、都道府県や市町村の自治体によっては、不妊治療に対して助成金を出してくれる地域もあります。

どのような治療で、いくら助成金が支給されるかは、自治体によってさまざまなので、お住いの都道府県や市区町村に問い合わせてみてください。

体外受精の妊娠率と費用

人工授精で妊娠できなかった場合の、次のステップとして体外受精を考えられます。

体外受精した場合の妊娠率は、病院やクリニックによって異なりますが、約20〜40%です。

人工授精よりも確率は高くなりますが、高度の技術と専門的な設備が必要となるため、30〜50万円の費用がかかります。

また、体外受精でも一歩踏み込んだ顕微授精になると、さらに費用は高額になるのです。

高額な治療となりますので、受けるかどうかは、パートナーとよく相談して決めましょう。

民間の保険で、不妊治療用の保険があるので、下記の記事も治療費を考える参考にしてください。

人工授精は意外と自然?


不妊の原因はさまざまですが、精子が子宮への侵入しにくい場合は、人工授精が効果を上げる可能性はあります

人工授精という言葉の響きから、かなり人工的な作業がおこなれるようにイメージされるかもれません。

しかし実際のところ、医師が行うのは、排卵のタイミングを確実に予測することと、採取した精子を洗浄・濃縮して、子宮の奥に注入するところまでです。

つまり、子宮への侵入が難しかった精子を、確実に子宮に送り届けるのが人工授精。

後の受精、着床という流れは、自然妊娠と同じになります。

女性の年齢が高くなればなるほど、妊娠する確率は低くなるため、妊活をしているけれど、なかなか妊娠しないというカップルは、なるべく早く専門医に相談をしましょう。

妊娠しにくい原因を特定できれば、対処できるので、妊娠する可能性は高まります。

その選択肢のひとつとして、人工授精も視野に入れ、確率や費用も踏まえた上で、どのような不妊治療を行って行くのか、パートナーと十分に相談して決めていきましょう。

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