体外受精 (IVF) はどんな方法? 流れ、費用や妊娠確率は?

不妊治療の第3ステップとなるのが、体外受精です。

タイミング法や人工授精に比べて、妊娠確率が高いといわれていますが、その分、女性の体への負担が大きく、費用も高額になります。

そのため、体外受精にステップアップするかどうか、迷われるカップルも多くいるのではないでしょうか。

そこで、今回は、体外受精の具体的な方法や、流れ、費用や、妊娠確率についてまとめてみました。

体外受精 (IVF) とは?


体外受精とは、不妊治療に使われる、生殖医療技術のひとつです。

英語では、In Vitro Fertilizationといい、略してIVFと呼ばれます。

卵子と精子を体内から取り出し、体外で受精させ、培養した後に、子宮に戻す方法です。

体外受精は、不妊治療の第3ステップ

不妊治療は、段階的に進められるのが一般的です。

最初はタイミング法を行い、次のステップが人工授精になります。

そして、人工授精でも妊娠しなかった場合のステップアップとして、体外受精治療があるのです。

ただし女性が高齢の場合や、卵管閉鎖、重度の男性不妊などで、タイミング法・人工授精に適さない場合は、最初から体外受精治療法がとられることもあります。

タイミング法や人工授精は、卵子と精子の出会う確率を高めることで、妊娠をうながすものです。

しかし、これらの方法では、卵子と精子が確実に出会えたのか、その後、受精できたのかを確認する方法がありませんでした。

体外受精では、体外で卵子と精子を受精させた胚を、子宮に移植します。

体の外で受精卵をつくることが、もっとも大きな違いであり、それゆえに妊娠確率もほかの方法よりも高くなるのです。

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体外受精の対象は?

体外受精は、高度な医療技術をともなう不妊治療であり、誰でも受けられるものではありません。

人工授精治療では妊娠できなかった場合や、女性、男性のどちらかに(あるいは両方に)機能的な問題があって、妊娠できない場合にのみ適用されます。

具体的には、以下のような場合が、体外受精の対象です。

  • 人工授精を4~6回試しても妊娠できなかった場合のステップアップ
  • 卵管閉鎖や卵管癒着で排卵できない
  • 子宮内膜症で卵子を卵管に運べない
  • 卵子のピックアップ機能障害
  • 女性の年齢が高齢である(36歳以上)
  • 乏精子症、精子無力症

体外受精の種類と具体的な流れは?


体外受精は担当医と相談しながら、女性の体の状態に合わせて、治療方法を決めます。

綿密な計画のうえで実施していくのですが、具体的な流れをみていきましょう。

体外受精の具体的な流れ

体外受精は以下のような流れでおこなわれます。

前準備

卵子の育成(卵巣刺激法か自然周期法)

卵子、精子の採取

体外において受精

受精卵の培養

胚移植

黄体ホルモン補充

妊娠判定

では、もう少しく詳しく、体外受精の流れを時系列でみていきましょう。

前周期以前

生理不順や子宮内膜症などがある場合は、1ヶ月あるいは、数ヶ月前から治療が開始されることもあります。

まずは、低用量ピルを利用して、卵子の育成や子宮内の環境を正常に戻していくのです。

また、卵子の状態や女性の年齢から自然周期法でおこなうのか、卵巣刺激法をとるのかを決定します。

生理初日〜11日目 卵子の育成

成熟した卵子が採取できるかどうかは、体外受精において大事なポイントになります。

自然周期法は、排卵誘発剤を使わずに、通常の排卵の周期に合わせて卵子を育成していく方法です。

しかし、良好な卵子の育成が難しいケースや、高齢の場合は、排卵誘発剤を使用する卵巣刺激法が取られます。

自然周期法では、1回の採卵ではひとつの卵子しか育ちませんが、卵巣刺激法の場合は、複数の卵子を育てることが可能になります。

卵巣刺激法に使用される排卵誘発剤は、服用薬や注射、点鼻薬などさまざまです。

なかには、卵巣への刺激が強いものもあり、副作用が現れることもあります。

そのためどの方法をとるのかは、女性の卵巣の状況や、体の状態によって、医師と十分に相談しながら決めていく必要があるのです。

生理12日目 採卵日の確定

だいたい生理12日目ごろ、病院で卵胞が十分に育っているかどうか確認し、排卵日を予測します。

排卵直前に採卵する必要があるため、排卵予定日に合わせて、採卵日を決定するのです。

排卵前(14日目ごろ) 卵子&精子の採取〜受精

十分に成熟した卵子を、排卵する前に卵巣から採取します。

経膣超音波で卵胞をモニターしながら、膣から器具を挿入し、針で卵巣内の卵胞から卵子を採取するのです。

このときに、痛みを感じないように麻酔する場合もあります。

採取後は、しばらく(麻酔をした場合は、麻酔がさめるまで)横になって安静にします。
動けるようになったら、帰宅可能です。

同じに日に、男性も病院か自宅で、精子をマスターべションで採取して提出します。

採取された精子は、病院で洗浄、濃縮されるのです。

その後、シャーレーに入れた卵子に、洗浄・濃縮した精子をふりかけて、自然受精するのを待ちます。

point

卵子の受精力が弱い場合や、精子の数が極端に少なかったり、精子の運動性がとても低い場合は、顕微授精という方法が取られます。

顕微授精とは、顕微鏡を使って、卵子の中に直接精子を送り込む方法です。

採卵翌日〜7日後 受精確認〜培養

採卵翌日には、受精したかどうか、確認できます。

受精が確認できたら、受精卵を培養しはじめるのです。

受精後2〜3日後には初期胚、5〜7日後には胚盤胞にまで分裂します。

胚の形状や分裂のスピードを観察し、胚の中で、もっとも良好な胚を選びます。

移植

培養した胚の中から選ばれた、もっとも質の良い杯を、子宮に移植します。

現在では、多胎妊娠を防止するために、原則として、1回につき1つの胚を移植することが決められているのです。

残った胚は凍結保存されます。

なお移植には、採卵後すぐの新鮮な胚を移植する新鮮胚移植と、凍結保存した胚を移植する凍結胚移植があります。

新鮮胚移植

新鮮胚移植は、採卵周期に移植をおこないますが、胚の培養日数違いで、胚移植と胚盤胞移植があります。

受精後2~3日培養した初期胚を子宮移植するのが、胚移植です。

胚盤胞移植では、受精後5~7日培養した胚盤胞を子宮移植します。

凍結胚移植

採卵周期の子宮内膜の準備が十分でない場合、卵巣過剰刺激症候群などの症状があり母体の状態がよくない場合は、胚を全て凍結保存します。

その後、母体の健康状態が良好になり、子宮環境が整ってから、凍結融解した胚を子宮に戻すのです。

体外受精のリスクとトラブル


体外受精によって、ほかの不妊治療では妊娠できないカップルでも、妊娠が可能になるケースは多くあります。

しかし、体外受精にともなう、リスクやトラブルが全然ないというわけではありません。

次のような副作用、リスク、トラブルの可能性があることは、事前に理解しておきたいものです。

卵巣刺激法の種類と副作用

体外受精をおこなうためには、成熟した卵子をタイミングよく採取できるかどうかが、大きなポイントになってきます。

そのために、自然周期法だけではなく、さまざまな、卵巣刺激法がよく用いられます。

しかし、卵巣刺激法で使われる排卵誘発剤は卵子を育てるいっぽうで、卵巣に負担をかけることにもなり、卵巣過剰刺激症候群をひきおこすこともあります。

卵巣刺激法の種類と刺激の強さ

卵巣刺激法にはさまざまなものがありますが、ここでは代表的な4つの方法をご紹介します。

ロング法

採卵周期からみて、一周前の周期から点鼻薬を開始するため、ロング法と呼ばれます。

点鼻薬と、hMG注射の両方を併用する方法です。

病院で注射する方法と、自分で注射する方法が選べます。

薬の投与が、もっとも長期間に渡るため、十分な卵胞が育成されます。

その反面、卵巣への刺激も強く、卵巣過剰刺激症候群のリスクも一番高くなります。

ショート法

点鼻薬とhMG注射の両方を併用する点は、ロング法と同じですが、採卵周期の初日〜3日目くらいから投与が開始されます。

ロング法に比べると使用する薬の量が少なくて済む分、卵巣への負担は少なくてすみます。

アンタゴニスト法

採卵周期の3日目くらいからhMG注射を行い、7日目くらいからはアンタゴニスト製剤注射も併用する方法です。

ロング法やショート法で使用する製剤よりも卵巣への刺激は少ないのですが、アンタゴニスト製剤は高額で、経済的な負担が増えるというデメリットがあります。

クロミフェン周期

採卵周期の3日目くらいから、クロミフェンという薬を服用します。

卵巣への刺激が少なく、自然排卵を抑制するクロミフェンを服用することで、卵巣過剰刺激症候群のリスクは大幅に抑えられるのです。

卵巣刺激法による副作用

卵巣刺激法を使うことで、複数の卵子を育てることが可能になります。

しかし卵巣刺激方では、卵巣過剰刺激症候群になるなどの副作用が出ることもあるのです。

卵巣過剰刺激症候群には、以下のような症状がみられます。

  • 腹水、胸水がたまる
  • 卵巣の腫れ
  • 吐き気、嘔吐
  • 呼吸困難
  • 脱水症状に似た症状
  • 腹痛

卵巣刺激法によって、上記のような症状が出た場合は、すぐに担当の医師に相談してください。

治療が中止になるケース

体外受精の治療を開始したとしても、以下のような場合、途中で中止されることもあります。

  • 卵巣刺激法を使っても、卵胞が育たず、卵子が採取できない場合
  • 採卵する前に、排卵がおこってしまった場合
  • 卵子に精子をふりかけても受精しなかった場合
  • 受精はしたが、途中で分割が止まってしまう場合
  • 受精はしたが、正常な分割がおこなわれなかった場合
  • 凍結した胚が不可抗力的理由で、ダメージを受けてしまった場合

採卵や移植に伴う合併症やトラブル

採卵や移植は細心の注意を払っておこなわれますが、それでも、合併症などのトラブルがおこる可能性があることを、あらかじめ知っておきましょう。

  • 腹腔内出血/採卵は針を使っておこなわれます。そのときに、血管や、卵管、子宮を誤って刺してしまうこともあります。
  • 血尿/採卵時に膀胱を誤って刺してしまった場合、血尿が出ることがあります。
  • 腹痛/採卵後に腹腔内に炎症がおこり、腹痛がおこることがあります。
  • 多胎妊娠/原則として胚移植の数はひとつとされていますが、35歳以上の場合や、2回以上連続して妊娠できなかった場合では、複数胚の移植が認められています。そのため、多胎妊娠になるケースもあります。
  • 子宮外妊娠/子宮内に胚を移植しても、約1〜2%は子宮外妊娠になります。
  • 流産/たとえ着床しても、妊娠が維持できず、流産する場合もあります。

体外受精の妊娠確率


体外受精の妊娠確率は、病院やクリニックでまちまちですが、だいたい20〜40%といわれています。

もっとも影響するのは女性の年齢で、年齢が若いほど、妊娠確率は高くなります。

胚移植後の妊娠率

一般的に女性の年齢が高くなるほど、妊娠率は低くなる傾向にあるようです。

日本産科婦人科学会の2014年の集計では、25歳~33歳の女性における胚移植後の妊娠率は40%を超えています。

しかし、34歳以降、その割合は徐々に少なくなり、35歳で37.3%、40歳では24.8%、45歳では6.5%しかありません。

これらの妊娠率は、胚移植をおこなった女性を対象としており、体外受精治療を受けているが、移植に至らないケースを含めると、さらに割合は低いものとなります。

体外受精児の数

高額で、高度の医療設備を必要とする体外受精治療ですが、年々、治療を受ける人の数は増えています。

日本産科婦人科学会の集計によれば、1997年に5万件を超えた症例数は、2003年には10万件を超え、2009年には20万件を超えました。

2014年には、2009年の倍近い39万3745件の体外受精が行われています。

その結果、2014年には4万7322人の子供が体外受精によって誕生しています。
ちなみに、2014年の総出生数は100万3500人。

つまり、100人の赤ちゃんのうち、4~5人は体外受精によって誕生しているということになるのです。

体外受精が特別だった時代は、終わりつつあるといえるでしょう。

体外受精の費用と補助について


とはいえ、体外受精になかなか踏み込めないカップルが多いことも事実です。

その理由のもっとも大きなものは、体外受精の費用の高さにあります。

病院やクリニック、また、治療の方法によっても金額は変わってきますが、だいたい1回の体外受精で、30万円から60万円の費用がかかるようです。

体外受精の費用は治療方法で変わる

体外受精といっても、女性の年齢や子宮の状態によって、具体的な治療方法や、治療に必要な期間、使用する薬の種類や量が変わってきます。

また、治療期間が長くなればなるほど、料金は高くなっていきます。

料金システムとしては、卵巣刺激法料金・採卵料・培養量・凍結保存料・移植料と、治療項目が増えるたびに加算するシステムになっていることがほとんどです。

治療が長引いたり、複雑になるほど高額になります。

ただし病院によっては、妊娠した場合にのみ成功報酬を加算し、妊娠しなかった場合の料金を低く設定しているところもあります。

健康保険は適用外だけど、助成金がある

体外受精は、高額でありながら、保険が適用されません。

そのために、治療費がかなりの負担になってしまっているカップルも多くいます。

しかし、そのような方々の負担を軽減するために、少子化対策の一環として、国や地方地自体の助成金制度があるのです。

体外受精は、特定不妊治療になるため、助成金の対象になります。

助成金について詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。
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不妊治療用の保険で補填

民間の保険で、不妊治療のときに給付金を受け取れるものもあります。

日本では2016年に、初めて不妊治療用の保険がでたため、まだ知らない方も多いようです。

詳しくは、下記の記事をご覧ください。

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体外受精はタイミング法や人工授精よりも妊娠率は高い


体外受精とは、女性の卵子と、男性の精子を体外に取り出して受精させたものを培養後、子宮に移植する方法です。

タイミング法や人工授精では妊娠に至らなかった場合や、卵巣や精子に機能的な問題がある場合に、おこなわれる不妊治療の第3ステップとなります。

受精卵を子宮に戻すため、成功率はタイミング法や人工授精よりも、高い方法とはいえるでしょう。

ただし体外受精は、タイミング法や人工授精に比べるとかなり高額な治療です。

時卵巣刺激法を用いた場合は、女性の体にもかなりの負担がかかります。

そのようなリスクも考慮したうえで、体外受精を受けるかどうかは、専門医に相談すると同時に、ご夫婦の間でも十分相談して決めていきたいものです。

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