【無痛分娩とは】リスクはある?費用、痛みはどれくらい?

この記事の監修医師
東京マザーズクリニック・院長
林聡先生
http://mothers-clinic.jp/

産婦人科医師・医学博士。胎児診断・治療や臨床遺伝学(特に出生前診断)、周産期医学を専門とする。
東京マザーズクリニックでは無痛分娩による「痛みのないお産」と胎児ドックに力を入れ、妊婦さんと赤ちゃんに安全なお産を提供している。

お産の選択肢として「無痛分娩」を考えている方は、無痛分娩が本当に痛くないのか気になるのではないでしょうか。

アメリカやフランスでは、積極的に無痛分娩をおこなっています。
しかし、日本での無痛分娩の普及率はまだまだ低いようです。

今回は関心が高まりつつある、無痛分娩についてお伝えします。

無痛分娩の場合はどのような流れで出産をおこなうのか、痛みや麻酔、リスク、気になる費用など、無痛分娩をわかりやすくひも解いていきましょう。

無痛分娩とは


「無痛分娩」は麻酔によってお産の痛みをなくして、分娩をおこなう方法です。

痛みを軽くする「和痛分娩」は、多少の痛みがありますが、「無痛分娩」は麻酔でコントロールして痛くないお産ができます。

無痛分娩の流れ

無痛分娩の流れはバースプランの違いによって、計画的に分娩をおこなうケースと自然な陣痛を待って分娩するケースがあります。

また、分娩をおこなう施設によっても異なる部分もあります。

計画(予定)無痛分娩を行うケース

まずは計画的に無痛分娩をおこなう、ふたつのケースを紹介します。

計画的に予定を立てて出産する場合は、あらかじめ出産予定日を決めます。

前もって出産日を決めることで、パートナーや家族の立ち合いスケジュールを調整したり、誰かに上の子どもの世話を頼みやすくなります。

ケースその(1)

  1. あらかじめ出産予定日を決めて分娩を予約し、前日に入院する。
  2. 超音波、ノンストレステストなどの診断をおこなったうえ、ミニメトロ(風船のようなもの)を子宮口に入れる。
  3. 点滴で陣痛促進剤(誘発剤)を注入する。
  4. 翌日、子宮口がある程度まで開いているのを確認してから、カテーテルを挿入し麻酔の準備をする。(カテーテルを挿入するタイミングは施設によって異なる。)
  5. お産の進み具合に従って、麻酔薬を調整する。
ケースその(2)

  1. あらかじめ出産予定日を決めて分娩を予約し、前日に入院する。
  2. 必要な場合は子宮口にミニメトロを入れる。(入れるかどうかは内診所見によって判断される。)
  3. カテーテルを留置・挿入し麻酔の準備をする。
  4. 点滴で陣痛促進剤(誘発剤)を注入する。
  5. 妊婦さんが痛みを感じて希望があれば、麻酔を開始する。
  6. 分娩の進み具合を確かめながら、妊婦さんが痛みを感じないように麻酔をコントロールする。

このような流れで計画的に無痛分娩がおこなわれます。

しかし、予定よりも早く自然陣痛が起きてしまったり破水してしまったときは、計画通りに無痛分娩ができない場合もあるようです。

自然陣痛を待つケース

次に自然陣痛が起きるのを待ってから、無痛分娩をおこなうケースをみていきましょう。

  1. 陣痛が開始してから入院する。
  2. 子宮口がある程度まで開いている、または妊婦さんが感じる痛みの強さを確認してから、カテーテルを挿入し麻酔の準備をする。(カテーテルを挿入するタイミングは施設によって異なる。)
  3. 点滴で陣痛促進剤(誘発剤)を注入。
  4. 分娩の進み具合に従って、麻酔薬を調整する。

自然陣痛を待つケースで対応できないのは、お産の進行が早くて麻酔のチューブ(カテーテル)設置が間に合わない場合です。

麻酔が開始されるまでは、通常の出産と同じなので痛みを感じます。

カテーテルの準備をした後は、ベッド上で過ごしますので、食事はせずに点滴で管理されます。

無痛分娩中は、陣痛をお腹の張りとして感じることができるので、自力でいきんで出産します。

もしも、いきむタイミングがうまくつかめなくても、医師や助産師が手伝うので心配はいりません。

いずれのお産の場合も、お産の進行状況によっては、急遽帝王切開になることがあるようです。

これは、ママと赤ちゃんの安全を最優先にするために、無痛分娩だけでなく、すべてのお産に共通したことです。

無痛分娩の後

無痛分娩の際、会陰切開をする確率はかなり低くなるようです。

もし会陰部に傷が生じても麻酔をしているため、痛みを感じることはありません。

傷の縫合などの処置を終えてから、麻酔用に取り付けたチューブを抜きます。

その後は普通分娩の場合と同じ痛みを感じるので、点滴や飲み薬の痛み止めで対処してもらいます。

産後、赤ちゃんとの過ごし方は施設によっても異なりますが、すぐに赤ちゃんを抱かせてもらえるなど自然分娩とまったく同じです。

授乳についても、無痛分娩が妨げになることはありません。

赤ちゃんに対する母親としての気持ちも、無痛分娩だから感じ方が違うということはないようです。

むしろ自然分娩の痛みから疲れ切ってしまうママもいるので、「自然の産みの苦しみ=愛情の深さ」とはいえません。

無痛分娩は出産するとき、どの痛みを和らげる?


出産は、段階的に痛みがあります。

まず陣痛(子宮収縮の痛み)と、赤ちゃんの頭によって広げられる膣、外陰唇と会陰、圧迫を受ける肛門などにでる痛みです。

無痛分娩は、これらの痛みを総合的に和らげる効果があります。

経験者の体験談によると「まったく痛みを感じなかった」という方から、「我慢できる程度の痛みは感じた」という方まで、さまざまな感想があります。

無痛分娩の鎮痛方法は2種類


現在は、一般的に「硬膜外麻酔(こうまくがいますい)」と「静脈点滴」の2種類の鎮痛方法があります。

硬膜外麻酔(こうまくがいますい)

硬膜外麻酔は、下半身麻酔のなかでとてもポピュラーな麻酔のひとつです。

無痛分娩に使用するときは、背中の腰に近い部分に痛み止めを注射します。

そこから針を入れ、硬膜外腔にカテーテル(細いチューブ)を挿入してから、針を抜きます。

柔らかいカテーテルだけが体の中に残り、背中にテープで固定します。
ここから麻酔薬を注入し、脳へ痛みのもとが伝わるのをブロックします。

このとき、副交感神経が優位に働くので、妊婦さんはリラックスしてお産ができます。

医療機関によっては硬膜外麻酔と、足などの手術で使われる「下半身麻酔」の脊髄くも膜下麻酔をあわせて使うところもあります。

静脈点滴

硬膜外麻酔が使えない人の場合、医療用麻薬を点滴から静脈の中に投与します。
また、ガスの麻酔薬を吸うケースもあります。

麻酔の種類別のリスクは?

使用される麻酔の種類による特徴やリスク、赤ちゃんへの影響をみていきましょう。

硬膜外麻酔
(局所麻酔)
静脈点滴やガスの麻酔
(全身麻酔)
鎮痛効果 高い やや弱い
ママの状態 意識がはっきりしている 眠気が起こる
呼吸が弱くなることもある
ママへの副作用 脚の感覚がなくなる
一時的な血圧低下
排尿困難
頭痛
かゆみ、など
喉の痛み
声のかすれ
頭痛
吐き気
めまい
腰痛
目の違和感、など
赤ちゃんへの影響 ほとんど現れない 眠そう(眠気が起こる)
呼吸が弱くなることもある

長時間同じ体勢を取るため腰痛や、涙が不足するため異物が入ったように感じる妊婦さんもいるようです。

このように、直接的に麻酔の影響ではない場合もあります。

硬膜外麻酔は、胎盤を通過して赤ちゃんへ作用しないので、スリーピングベイビーになる心配はありません。

静脈点滴は、ママの血管を通って薬剤が身体に回るので、胎盤を通じて赤ちゃんへも作用が出ます。
静脈点滴が終わり、薬の影響がなくなればママも赤ちゃんも元気になります。

副作用は、個人差があるので、どのように出るかはわかりません。

無痛分娩を選択する際は医師から十分な説明を受けて、疑問点があれば質問しておくとよいでしょう。

無痛分娩のメリットとデメリット

無痛分娩の鎮痛方法は2種類あり、それぞれの特徴があるとわかりました。

それでは無痛分娩のメリットとデメリットは、どのようなものがあるのでしょうか。

痛くない、体力の回復が早いなどメリットが多い!

ここでは無痛分娩で多く使われる、硬膜外麻酔でのメリットをみていきましょう。

  • 分娩中の痛みが軽減される。
  • 痛みのストレスから解放される。
  • 体力の消耗が少なく、産後の回復が早くなる。
  • 副交感神経が優位なので、産道が広がりやすく、会陰切開も減る。
  • 陣痛はお腹の張りとしてわかるので、自分でいきんで出産ができる。

このように、無痛分娩のメリットはかなり大きく、分娩中や産後の負担がかなり軽くなることがわかります。

陣痛が弱まりやすいことがデメリット

無痛分娩のデメリットはどうでしょうか。

  • 陣痛が弱まりやすい(微弱陣痛)

無痛分娩では陣痛が弱くなり、吸引分娩(鉗子分娩)になる割合が高くなるといわれています。

すべての妊婦が、無痛分娩を受けられるわけではない

無痛分娩を希望しても、だれもが受けられるわけではありません。
妊婦さんやお腹の赤ちゃんの状態によって、無痛分娩に適応できるか判断されます。

例えば、血が止まりにくい、背骨に変形がある、神経の病気がある、または硬膜外腔にカテーテルを入れる箇所にうみ(膿)が溜まっている、などのケースでは 無痛分娩ができません。

一方、妊娠高血圧症候群の方や妊娠経過で疲労が強い方は、医師から無痛分娩をすすめられる場合もあるようです。

無痛分娩を扱う医療機関は約300施設


日本全国で約300施設が無痛分娩に対応していますが、そのほとんどは東京などの都心部にあります。

そのため、妊娠がわかったら、なるべく早い段階で産婦人科の医者に相談をしましょう。
担当医から、無痛分娩が可能な医療機関を紹介してもらえる場合があります。

無痛分娩は高度な技術が必要とされているため、専門の麻酔科病院や医師をしっかり選ぶことが大切です。

自分で無痛分娩に対応できる医療機関を探すなら、数ヶ所ほど候補を選び内容を比較するとよいでしょう。

各医療機関に直接問い合わせて、疑問点や不安などしっかり話して説明を受けておくと安心できます。

無痛分娩対応とホームページに書いてあったとしても、なかには、初産婦は自然分娩だけで、経産婦のみが無痛分娩をできる医療機関もあるようです。

無痛分娩をおこなった方のブログや体験談を、参照にするのもよいでしょう。

ご自宅の近くに無痛分娩ができる医療機関があるかを確認したい方は、日本産科麻酔学会で「無痛分娩施設リスト」をご参考ください。

無痛分娩、費用はどのくらい?


無痛分娩の費用は、普通分娩の費用に加えて3万~20万円くらいですが、分娩する医療機関によって差があります。

無痛分娩をおこなうには、産婦人科医や経験のある麻酔医、助産師、看護師などが必要です。

病院や産院によってスタッフの人数や設備などに違いがあるため、費用もさまざまに異なります。

おわりに


無痛分娩に関するさまざまな情報をお届けしました。

無痛分娩ではお産の痛みがなく体力の回復が早いため、産後の育児を楽にはじめられるというメリットがあります。

痛くないお産だから赤ちゃんに愛情を感じないということはありません。

体力を温存し、子育てにパワーをかけるのもひとつの方法です。

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