切迫早産とは?原因と予防方法、安静度はどれくらい?

この記事の監修医師
芥川バースクリニック・院長
芥川修先生
http://akutagawa-birth.com/

日本産婦人科学会認定医。「安心 安全 満足」の理念のもと、自然分娩だけでなく無痛分娩や和通分娩、アロマ分娩など患者様の希望に合わせたバースプランを提案し、満足度の高いお産を目指しています。

妊娠中は流産や早産など、ママや赤ちゃんの身体に危険を及ぼす恐れのあることが起こり得ます。
正期産である妊娠37~41週6日より早く生まれることを「早産」と呼びますが、その一歩手前の状態を「切迫早産」といいます。

現在妊娠中の方は、切迫早産のことを理解し、実際に早産にならないために予防をすることが大切です。
ママと赤ちゃんが無事に健康で出産を終われるよう、切迫早産の原因や対処法、予防法などを見ていきましょう。

切迫早産とは?

「切迫早産」とは何かを説明する前に、「早産」について少し説明します。

早産は妊娠22~36週の間に生まれること

早産とは、妊娠22~36週までの間に赤ちゃんが生まれてしまうことです。
本来であれば妊娠37~41週6日の正期産と呼ばれる時期に生まれますが、何らかの原因によって赤ちゃんが早く生まれてしまうことがあるのです。
早産は全体の妊娠の3~5%を占めます。

現代の医療では妊娠22週という早すぎる時期に赤ちゃんが生まれたとしても、集中管理で生き延びることが可能といわれています。

しかし、まだ身体が十分に出来上がっていない状態で生まれると、障害や後遺症を発症する可能性が高くなるのです。

切迫早産は早産の一歩手前の状態

切迫早産とは、妊娠22~36週の間に子宮収縮が頻繁に起こったり、子宮口が開いたり、破水して羊水が外に漏れている状態を指します。

なお、妊娠21週までは切迫流産とされます。

これらは本来であれば妊娠37週以降に起こるため、早産の一歩手前の状態なのです。

切迫早産と診断されると、正期産に入るまでに安静にすることを指示されたり、薬を投与して早産になるのを防ぎます。

切迫早産の原因

切迫早産はなぜ起こってしまうのでしょうか。
切迫早産になる原因は、ママの身体的な問題や精神的なストレス、赤ちゃんの状態がいくつか挙げられます。

絨毛膜羊膜炎(じゅうもうまくようまくえん)

早産の主要原因として、もっとも注目されるのは前期破水です。
前期破水の原因としては絨毛膜羊膜炎の関与が注目されています。
したがって、生殖器の細菌感染による炎症が切迫早産を引き起こす原因として考えられています。

現在は、切迫早産を防ぐ研究が進められていて、治療薬も開発中です。
その他、ママ側、赤ちゃん側で以下のような原因も考えられます。

ママ側の原因

  • 妊娠高血圧症候群
  • 心臓病、腎臓病、糖尿病などの合併症がある場合
  • 子宮頸管無力症、子宮筋腫や子宮奇形など子宮そのものに異常がある場合
  • 精神的なストレス
  • 疲労

また、細菌性膣症からの絨毛羊膜炎を起こす場合もあり、原因不明とされていた早産の多くは、この「絨毛羊膜炎」が原因とわかってきました。

赤ちゃん側の原因

  • 双子以上の多胎妊娠
  • 羊水過多、羊水過少
  • 胎児機能不全

切迫早産はこれらの原因に加えて、疲労などが重なったときに起こりやすくなります。
仕事をしている場合は何かと無理をしがちです。

切迫早産で安静になった場合、旦那さんやご家族など、周りの人に家事を手伝ってもうなどのサポートをしてもらい、休める時間を多くつくり、無理をしないことが何より大切です
過労やストレス、冷えも子宮を収縮させることがあるので、十分に睡眠をとったり、夏でも体が冷えないように工夫をしましょう

特に初産婦さんでは子宮の張りの程度は自分で判断するのは難しいものです。
正常範囲の子宮収縮かと思っていたら、健診の検査で切迫早産が判明した!ということも少なくありません。
いつもと何か違うと感じたら、すぐにかかりつけの医師に相談しましょう

切迫早産の自覚症状や兆候

切迫早産は早産の可能性が高い状態ですが、これをママ自身で知ることはできるのでしょうか。

お腹の張りや下腹部の痛み

妊娠後期にもなるとお腹が張ることが多くなりますが、横になって休んでも治まらなかったり、下腹部に痛みを感じる際は切迫早産の可能性があります。

お腹の張りは妊婦さんによって異なりますが、いつもより張りが強いと感じたら要注意です。
30分以上も張りが続く場合は、すぐに医師に相談しましょう。

妊娠中のお腹の張りは通常は休むと治まりますが、治まってもしばらくするとまた張ることもありますので、その場合も医師に伝えることをおすすめします。

出血

出産が近づくと、「おしるし」といわれる出血が起こる場合があります。
ただし、おしるしと呼ばれるのは妊娠37週以降の正期産の場合です。

妊娠22~36週までの間に出血があれば、切迫早産の疑いがあります。

出血のしかたはさまざまで、少量の出血もあれば大量に血がでることもあります。
まれにレバー状の血が出ることもあるようです。

妊娠37週に満たない時期に出血があった際には、少量でも必ず医師に伝えましょう。

なお、出血の原因は切迫早産に限らず、ポリープや子宮膣部びらんの場合もあります。
いずれにせよ早期発見が大切ですので、大事を取ることをおすすめします。

破水

破水は胎児や羊水を包んでいる膜が破れ、羊水が外に漏れることを指します。
破水は陣痛の前後に起こり、出産が近づいている証拠です。
妊娠37週未満で破水が起こると、早産の危機が迫っています。

妊娠後期は子宮が膀胱を圧迫するため、尿漏れを起こすことがあります。
よって破水しても尿漏れと勘違いしてしまったり、またはその逆もあるのです。
破水かどうかを見極めるために、下記のチェック項目にあてはまるか確認しましょう。

  • いきまなくても漏れる
  • 水のようにサラサラしている
  • 無色で匂いがない

この3つが当てはまれば、破水している可能性が高いといえます。

正期産では破水があればすぐに病院に来るように指示されますが、妊娠37週以内でも破水と思われる症状があればすぐに病院に連絡して指示を仰いでください。

切迫早産の症状や兆候として、ほかにも茶色のおりものが出たり背中が痛くなったりすることがあります。
病院では子宮頚管の長さを測り、触診で子宮口がどれくらい開いているのかなどを診て判断します。

切迫早産と診断されたら

医師に切迫早産と診断された場合、どのような治療法があるのでしょうか。

薬や点滴を投与

切迫早産では多くの場合が子宮収縮によるお腹の張りをともないます。
お腹の張りが酷かったり続いたりするのであれば、薬や点滴でお腹の張りを和らげます。

切迫早産でのお腹の張りによく使用されているのが、ウテメリンと呼ばれる薬です。
妊娠16~37週未満の妊婦さんに使用される薬で、子宮収縮を抑える効果を持っています。

錠剤と点滴投与の2種類がありますが、症状が軽いときは錠剤、緊急性をともなう場合は点滴を投与します。
ウテメリンの副作用として、交感神経を刺激するため心臓がドキドキしたり手が震えるといったことがあります。

自宅安静

日常生活での行動を制限することで早産のリスクを回避できると判断された場合、医師から自宅安静を命じられるでしょう。
自宅安静の場合、安静度に応じて家では下記の点に気をつけることが大切です。

家事

安静度が低い場合、身体への負担が少ない家事であれば問題ありませんが、重いものを持ったり立ちっぱなしの作業はなるべく家族に手伝ってもらいましょう。

経済的に余裕があれば、家事代行サービスを利用するのもひとつの手です。

買い物

買い物では重い荷物を運んだり、お店までの距離が遠いとストレスにもなります。
最近ではネットスーパーが充実しているので、それを利用したり、家族に手伝ってもらうようにしましょう。

料理

キッチンに立ちっぱなしという状態にならないようにすることが大切です。
できるだけ短時間で作れるメニューを選ぶようにしましょう。

一度に大量に作っておいて、冷凍しておくのもひとつの手です。
安静度が高い場合は家族に作ってもらうか、宅配弁当サービスを検討してください。

上の子の育児

上の子どもがいると、抱っこをせがまれるなどで、ママの身体に負担がかかることがあります。

無理をして子どもにいつも通りに接すると、心身ともに疲れが出てしまうかもしれません。
なるべく、子どもにわかりやすいようにママの現状を伝えてあげましょう

抱っこができない代わりに抱きしめてあげるなど、スキンシップを取ってあげることで、子どもに寂しい思いをさせずに済みます。

安静度が高く、基本的に横になる必要がある場合も、近くにいてあげることで「ママがいつも一緒にいる」という安心感を与えてあげられます。

仕事

自宅安静が必要な状態であれば、職場に報告して有給休暇を取得できる場合は利用しましょう。

医師からの診断書に自宅安静を要する旨が書かれていたら、職場に提出することでスムーズに休みが取れます。
出勤する際は、出社時間や退勤時間を調整してもらうように掛け合ったり、休憩を多めに取ってもいいか交渉することも可能です。

デスクワークでも、同じ姿勢を長時間続けることで身体に負担をかけますし、精神的なストレスも切迫早産を悪化させる要因です。
切迫早産の間はママ自身の身体を優先しましょう。

入院

重度の切迫早産と診断され、緊急を要すると思われた場合には、入院せざるを得ない状況になります。
数日の場合もあれば、数週間入院しなければならないときもあるのです。

入院になった場合、家のことや上の子はどうすればよいのでしょうか。

家事は家族に任せる

入院すると退院するまで家に戻ることはできません。
家事はママがいつもやっているというご家庭は、このときだけは家族にすべて任せましょう
実家がそれほど遠くないという場合は、実家に住む家族にきて家事を手伝ってもらうことも考えましょう。

上の子を預ける

入院中は上の子の面倒を見ることもできません。
心苦しいでしょうが、早産を回避するために一時的に預け先を探しましょう

すでに保育園や幼稚園に入園している場合、日中の預け先には困りませんが、在園児でない場合は、家族や親せきにお願いするか、次の選択肢があることを覚えておきましょう。

  • 一時保育や緊急保育
  • 地域のファミリーサポートセンター
  • ベビーシッター
  • 友人や近所の人にお願いする

退院後に自宅安静を指示されることも

切迫早産で入院して症状が落ち着いて退院できたとしても、医師からしばらくの間は自宅安静をするように指示されることがあります。
正期産に入るまでは安心できませんので、退院後も自宅ではあまり無理をせず、家族に頼れるところは頼りましょう。

切迫早産になった場合のお金

切迫早産になると、安静度が低くても多少の費用がかかります。
場合によってはお仕事を休まないといけませんし、入院となると医療費がかさみます。
もしもの時のために、健康保険組合が提供する制度を把握しておきましょう。

傷病手当金(社会保険のみ)

病気やケガで連続4日以上仕事を休んだママは、勤め先の健康保険から給料の3分の2が支給されます。

切迫早産で4日以上休むと、求職4日目以降から傷病手当金の支給対象になるのです。
支給期間は4日目から最長1年6ヶ月までとなっています。
切迫早産で4日以上仕事を休む際に最初の3日間は有給休暇を利用したとしても、4日目以降が無給であれば支給されます。

妊娠中の場合は切迫早産以外でも、重度のつわりや流産などでも支給対象になります。

傷病手当金をもらうには、勤め先の健康保険または共済組合に加入していることが条件です。
国民健康保険に加入している場合やパパの扶養家族になっている場合は、支給されません。

なお、切迫早産で休む時期と産休の時期が重なった場合は、出産手当金が優先されます。

2016年3月までは出産手当金と傷病手当金に差額が発生してしまい、実際に受け取れる支給額が少なくなってしまうことがありました。
2016年4月以降は、傷病手当金よりも、出産手当金のほうが多ければ、差額を支給されます。

出産手当金の支給期間が終了しても、傷病期間が続いている場合は、傷病手当金を受給できます。

傷病手当金の手続きの流れ

  1. 自宅安静または入院
  2. 医師からの診断書を以って勤め先に報告
  3. 傷病手当金支給申請書を入手して医師に記入してもらう
  4. 必要な書類を以って勤め先または健康保険の窓口に提出
  5. 傷病手当金の入金

申請書は健康保険のホームページからダウンロードするか、勤め先や健康保険の窓口から入手します。
そのほか必要な書類については健康保険によって異なる場合があるので、事前に確認してください。

高額療養費

1ヶ月の医療費が自己負担限度額を超えた場合、健康保険から払い戻される制度を「高額療養費」といいます。
1ヶ月の間に複数の病院を受診したときや入院と外来の両方を利用した際でも受けられる制度です。
高額療養費は社会保険でも国民健康保険でも利用できます。

妊娠・出産は健康保険の適用外なのですが、切迫早産や帝王切開など病気とみなされ適用されるケースがあります。

自己負担限度額は、下記のように所得に応じて設定されます。

所得区分 自己負担限度額(1ヶ月)
上位所得者
(月収53万円以上の方など)
150,000円+(医療費-500,000円)×1%
一般 80,100円+(医療費-267,000円)×1%
低所得者
(住民税非課税の方)
35,400円

医療費が高額になりそうな場合は、事前に健康保険に「限度額適用認定証」の申請をしておくと、会計時に自己負担額を超えている際に自己負担限度額のみを支払うことになります。

事前に申請をしていない場合は、医療費の3割を支払った後に高額療養費の申請をすれば2~3ヶ月後に支給されます。

申請手続きには申請書のほかに健康保険証、医療機関の領収書などが求められます。
領収書は破棄せずに保管しておきましょう

切迫早産はいつ、どの期間入院・通院するか予測がつきにくいものです。
万が一に備えて、上記のような制度があるということを把握しておくと、あとあと経済的な余裕ができます。

民間の医療保険

切迫早産で入院した場合、加入している医療保険や共済によっては給付金の対象になります。

入院日額と日数で給付されるものや、女性特約などで給付金が増えるケースもあるので、加入している医療保険の保険会社に問い合わせるとよいでしょう。

切迫早産の予防

切迫早産の原因はママの持病やお腹の赤ちゃんの状態などやむを得ないものもありますが、日々の生活の中で気をつければ予防できるものもあるのです。

妊婦健診はきちんと受ける

妊婦健診ではお腹の張りの状態から羊水の量、子宮頚管の長さまで幅広く診ます。
ママに自覚症状がなくても、健診で異常が見つかる場合もあるのです。
お腹の赤ちゃんが健康で育つためにも、妊婦健診は毎回受けましょう

冷えを防ぐ

身体が冷えると、血管が収縮してお腹が張りやすくなります。
寒い冬に身体を温めなかったり、夏場にクーラーをかけすぎたりすると、切迫早産のリスクを高めてしまいます。
妊娠中は身体が冷えないように室内でも靴下やスリッパを履くなど、常に温かくするとよいでしょう。

重い荷物を持たない

重い荷物を持っているとお腹に力が入り、張りが起こってしまいます。
家事や買い物では、なるべく重いものは家族に持ってもらうようにしましょう。

職場で重い荷物を運ぶ作業をしているママは、別の作業に切り替えるように職場に依頼しましょう。
労働基準法第64条では、「妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性(妊産婦)を、妊娠、出産、哺育等に有害な業務に就かせてはならない」という規定があります。

ストレスや疲れを溜めない

ストレスや身体の疲れも切迫早産の原因で、溜まっているとお腹の張りにつながることがあります。
妊娠中はなるべくリラックスすることを心がけ、ストレスや疲れを感じた際にはこまめに休憩を取ることが大切です。

切迫早産は早産の一歩手前の状態なので、ママはお腹の赤ちゃんが無事健康に生まれてくるか心配になるでしょう。
原因や症状、対処法を知っておくことで、切迫早産になった場合に冷静に対処することができます。

しかし、やはり切迫早産にならないことがベストです。
そのために、日常生活の中で身体に負担をかけないようにすることが求められます。

お腹の赤ちゃんを守れるのはママ自身ということを念頭において、妊婦生活を安全に過ごしてくださいね。

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