【子宮外妊娠】兆候や原因、症状とは?手術は必要?検査方法は?

この記事の監修医師
四ツ谷レディスクリニック
小林秀文院長
http://www.yotsuya-lc.com/

四ツ谷レディスクリニックは、女性のための病院です。 専門医が、万が一の妊娠を考えて、胎児にも影響のない薬を処方するなど、女性のカラダに配慮した治療を心がける「痛くない、こわくない、産婦人科の相談室」です。

「子宮外妊娠」という言葉を耳にすることがあるのではないでしょうか。
頻度としては大体全妊娠数の約1~2%くらいの発症のため、言葉は聞いたことがあっても、詳しくは知らないという方が多いようです。

そこで、今回は、子宮外妊娠の原因や兆候、検査方法、その治療についてまとめてみました。

子宮外妊娠とは

通常、卵巣から排卵された卵子は、精子と受精し、卵管を通って、子宮へと向かいます。
しかし、子宮に到達する前に、別の場所で着床してしまうことがあります。

このように、本来ならば子宮内膜に着床するはずの受精卵が、子宮内膜以外の場所に着床してしまうことを、子宮外妊娠といいます。

受精卵が着床する場所で、もっとも多く見られるのは、子宮と卵巣を結ぶ卵管で、子宮外妊娠全体の約98%を占めるといわれ「卵管妊娠」とよばれます。
残りの2%は、卵巣(卵巣妊娠)や、子宮頸管(子宮頚管妊娠)、腹膜(腹腔妊娠)になります。

正常妊娠と子宮外妊娠の見分け方?

子宮内膜以外の場所に受精卵が着床した場合も、通常の妊娠と同様に生理が止まり、女性ホルモンの分泌が増えるため、妊娠検査薬で陽性の反応がでます。

このように初期段階では、正常妊娠とほぼ同じ症状のため、正常妊娠か、子宮外妊娠かは確定できません。

超音波(エコー)検査で子宮内に胎嚢が確認されれば、正常妊娠であることが確定されます。
胎嚢の確認ができるのは、だいたい6週目をすぎたあたりです。

妊娠の継続は可能なの?

子宮外妊娠の場合、妊娠という言葉を使ってはいますが、通常の妊娠とは異なり、赤ちゃんが育つことはできません

受精卵が正常に発育できるのは、子宮内膜に着床したときのみなのです。

子宮内でなければ、胎児を維持することはできません。
自然に、卵管流産することもよくあります。
しかし、卵管破裂になる可能性もあり早期発見、早期治療が重要です。

ですから、妊娠検査薬で陽性が出たら、早めに産婦人科医の診察を受けて、胎嚢の確認をすることが大切になってきます。

続いて、子宮外妊娠の兆候や原因をみていきましょう!

子宮外妊娠の兆候や原因

子宮外妊娠の確率は、100人にひとりと言われています。
誰にでも起こりうることですので、油断は禁物です。

子宮外妊娠の兆候があらわれはじめるのは、6週目あたりくらいからです。
また、正常妊娠であれば、6週目すぎには、エコー検査によって、子宮内の胎嚢が確認できる時期になります。

この時期に、産婦人科の診察を受ける必要があるのは、そのためです。
ここでは、子宮外妊娠の場合、具体的にどのような兆候や症状が見られるのかを、その原因とともに詳しく見ていきましょう。

子宮外妊娠の兆候

子宮外妊娠の場合、6週目をすぎたあたりから、以下のような症状がじょじょにあらわれはじめます。

不正出血

正常な妊娠でも、不正出血することはありますが、それよりも出血の量が多いのが特徴です。
また、最初は、少ない量だったのが、じょじょに出血量が増えていく傾向にあります。

下腹部の痛み

子宮外妊娠でもっとも多いのは、卵管での着床です。

しかし、卵管には収縮性がありませんので、卵管内で受精卵が成長を始めると、下腹部痛を感じるようになります。

痛みの感じ方には個人差があります。
生理痛のような痛みがあったという女性もいれば、突き刺すような痛みがあったという女性もいます。

また、放っておくと、卵管破裂を起こし、気を失うほどの痛みやショック症状をおこすこともあります。

腰痛

卵管内で受精卵が成長することによって、下腹部に痛みを感じる場合もあれば、腰痛を感じる女性もいます。
腰がだるい感じがするという声もあります。

子宮外妊娠の原因

子宮外妊娠となるのは、次の3つのことが原因していると考えられています。

卵管の異常

卵管とは、受精卵を卵巣から子宮へと運ぶ管のことです。

しかし、その卵管が、子宮内膜症や、性感染症、過去の開腹手術によって癒着をおこしている場合があります。
卵管内に癒着があると、受精卵が卵管を移動できずに、卵管で着床してしまうのです。

まれに、卵管結紮などの卵管不妊手術を受けている女性が子宮外妊娠になるケースも見られます。

受精卵の輸送時の問題

卵巣から飛び出した受精卵は、卵管采によって卵管内に取り込まれるのが通常です。

しかしこのときになんらかの原因で、受精卵が卵管内に取り込まれず、腹腔内に飛び出して、腹腔内や卵巣の外側に着床してしまうことがあります。

子宮の問題

過去に、中絶の経験があったり、避妊具を子宮内に装着していたことがある場合、子宮内の環境がなんらかの変化を起こし、子宮外に受精卵が着床することがあります。

子宮外妊娠になりやすい人

子宮外妊娠は、誰にでもおこる可能性がありますが、以下にあてはまる場合、そうでない人よりも子宮外妊娠になりやすいと言われています。

腹部手術を受けた経験がある人

開腹手術を行った場合、術後に腹腔内で癒着がおこる可能性が高くなります。
手術の影響で、卵管が炎症、癒着をおこすこともあり、それが子宮外妊娠をひきおこす原因になる場合もあります。

性感染症にかかったことがある人

クラミジア感染症などの性感染症にかかると、骨盤内で炎症がおこりやすくなります。
その時、卵管炎を併発することも多く、それが卵管の癒着をひきおこします。
また、卵管内に癒着がない場合でも、炎症によるダメージで、卵管の繊毛運動が弱まって、受精卵をスムーズに子宮まで運ぶことができなくなることもあります。

子宮内膜症の人

子宮内膜症は本来は子宮内にできるはずの内膜が子宮の外にできてしまう病気で、悪化すると、子宮とその周りにある卵管や、卵巣、腸が癒着してしまうこともあります。

子宮外妊娠の経験者

過去に子宮外妊娠を経験し、卵管保存手術を受けている場合は、再発する可能性が高くなります。

子宮外妊娠の検査方法

子宮外妊娠でも、受精卵の着床はおこるので、正常な妊娠と同じように妊娠検査薬は陽性を示すということは、先に説明した通りです。

また、早い時期に卵管で自然流産してしまう場合もあり、痛みがほとんどないケースでは、生理とかんちがいされることもあります。
では、どのようにして、子宮外妊娠と判断すればいいのでしょうか。
以下に詳しくみてみましょう。

妊娠検査薬での検査

妊娠検査薬での検査は、正常妊娠、子宮外妊娠ともに陽性を示します。
ですので、妊娠検査薬の結果だけでは、正常な妊娠かどうかという判断はできません。

また、どちらでもなく、ただ生理が遅れているという場合には、陰性となります。

超音波検査

妊娠検査薬が陽性になっただけでは、正常な妊娠か子宮外妊娠かの判断はできませんので、胎嚢が子宮内にあるかどうか確認する必要があります。

この時、被曝の危険のあるX線ではなく、安全な超音波を使った検査が行われます(エコー検査と呼ばれることもあります)。

超音波検査には、膣の中にプローブと呼ばれる探触子を入れて調べる経膣超音波検査と腹部の上からプローブをあてる経腹超音波検査があります。

胎嚢が確認できるのは、はやくて5週目、遅くとも6週目と言われています。
このような初期の段階では、小さな胎嚢を見つけやすい経膣超音波検査が行われます。

この検査で子宮内に胎嚢が確認できれば、子宮外妊娠の可能性はなくなります。

しかし、妊娠周期は人によって、個人差があります(生理の周期が一定でない人ほど確定は困難になります)。
ですので、妊娠はしているが、まだ胎嚢が小さすぎて確認できない可能性もあり、この段階で胎嚢が見えないだけでは、子宮外妊娠とはいいきれません。

hcg検査

超音波検査で子宮内に胎嚢が確認できなかった場合には、採血してhcgというホルモン値を測定するhcg検査も平行して行われることになります。

正常な妊娠の場合は、hcg値は妊娠10週目くらいまで倍々に急増するものです。
しかし、減少傾向にあったり、横ばい傾向にある場合は、子宮外妊娠や、流産が疑われます。

子宮外妊娠の診断は、上記のような検査を組み合わせておこなわれることになります。
正常妊娠の診断は、胎嚢が子宮内に確認されれば簡単にできるのですが、子宮外妊娠の診断は、それ以上に難しいものです。

しかし、子宮外妊娠を放っておくと、卵管破裂や、それにともなう腹腔内大量出血で命を落とす危険もあります。
そのような危険を回避する意味でも、妊娠が疑われる場合は、早めに産婦人科に診察に行くことが重要になってきます。

最後に、子宮外妊娠の治療について詳しくみていきましょう。

子宮外妊娠の治療

子宮外妊娠の場合、98%が卵管内での着床のケースとなります。
そのため、主な子宮外妊娠の治療は、卵管破裂を防ぐための治療が行われることになります。
治療方法は、患者の症状や受精卵の状態によって、待機療法、薬物療法、手術などがあります。

待機療法

子宮外に着床した卵が成長せずに、そのまま自然に流産してしまうケースは意外と多いと言われています。

受精卵の大きさが破裂するほどになっておらず、血液中のhcg値が低い場合は、経過観察になることもあります。

hcgの値が低いということは、流産する可能性が高いのです。
このような初期の段階での自然流産は、子宮外妊娠の経過としては、もっとも望ましいものです。

薬物療法

症状が軽く、出血などの問題もなく、hcg値が低い場合には、薬物療法がとられる場合もあります。
細胞の増殖を抑える薬を卵管に投与するという方法です。
卵管を傷つけずに治療できることはメリットといえますが、抗がん剤が使われることが多く、副作用もあるため、不安になる女性もいるようです。

手術

hcg値が高い場合は、受精卵が成長していることが考えられます。
その場合は、薬物で抑えることが難しくなり、胎嚢を除去する手術が必要になってきます。
手術の方法は、卵管を残す温存手術と、卵管ごと切り取る根治手術があり、どちらになるかは胎嚢の大きさや症状により変わってきます。

卵管圧出術

胎嚢がまだ小さく、出血が見られない場合におこなわれる温存手術です。

腹部に小さな(5〜10mm)の穴を数カ所あけ、腹腔鏡と呼ばれるカメラを使って観察し、卵管内の胎嚢を搾りだすという方法がとられます。
卵管を傷つけることがないため、手術後に卵管が正常に機能する確率が高くなります。

卵管線状切開術

卵管圧出術では除去できない大きさであるが、まだ出血が見られない場合は、腹腔鏡下手術による切開術が選択される場合があります。

腹部に小さな穴を開け、卵管を切開し、胎嚢を除去したあとに、卵管をまた縫い合わせます。
卵管を残したまま胎嚢を除去することが可能な温存手術のひとつです。

卵管切除術

胎嚢がかなり大きくなっている場合や卵管がすでに破裂している場合には、卵管ごと除去する卵管切除術が用いられます。

腹腔鏡下手術でできる場合もありますが、腹腔内出血などが大量に見られる場合には、開腹手術になることがほとんどです。

卵管ごと切除しますので、切除した側の卵巣からの妊娠は望めませんが、卵巣はふたつありますので、もう一方からの卵巣からの妊娠の可能性は残っています。

子宮外妊娠後の妊娠の可能性

子宮外妊娠のために、片方の卵管を切除したとしても、残りの卵管が機能していれば、妊娠は不可能ではありません。

ただし、子宮外妊娠の経験者の場合、次の妊娠で子宮外妊娠が再発する確率は10〜15%と言われています。

子宮外妊娠を完全に予防する方法はありませんが、子宮外妊娠の手術を受けたことがある人で、妊娠を望む人は、卵管の状態をチェックする子宮卵管造影検査を受けることをおすすめします

子宮卵管造影検査

卵管造影検査は、不妊治療を行う場会に、不妊の原因を調べるために用いられる検査ですが、子宮外妊娠が再発しやすいかどうかを確認するためにも使われます。

子宮から造影剤を入れて、レントゲンで造影剤の広がりを確認するという方法が取られます。
これにより、卵管の詰まりや、卵管の狭窄部、卵管膨大部があるかどうかを確認することができます。

ただし、この検査で痛みを感じるという女性もいます。

造影剤の注入にはふたつの方法あります。
子宮頸管にチューブを固定する方法と、子宮内にチューブを入れる方法ですが、子宮頸管にチューブを固定する方法の方が、痛みを感じやすいと言われています。

しかし、子宮外妊娠の再発を防ぐためにも、自身の卵管の状態を確認する卵管造影検査は、ぜひおこないたい検査です。

さいごに

子宮外妊娠を確実に予防する方法は、現在のところありません。
しかし、子宮外妊娠は、放っておくと、卵管破裂などをおこすこともあり、命を落とす危険もあります。

ですから妊娠が疑われる場合には必ず、産婦人科の受診をすることが重要です。

また、子宮外妊娠を経験した女性の中には、次の妊娠が不安になるという方も多くいます。
しかし、子宮外妊娠に一度なったからといって、妊娠できないわけではありません。
担当の医師やご家族と相談しながら、次の妊娠に向けて、前向きに取り組んでいただきたいと思います。

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