妊娠中は猫に触らないほうがいいって本当?トキソプラズマ症とは

胎児に悪影響を与える可能性のある「トキソプラズマ症」

猫がトキソプラズマ症の原因になると聞いて、「猫を手放さなければならないの?」と悩んでいる妊婦さんもいるかもしれません。
不安を抱えたままマタニティライフを送るのは、お母さんにも、おなかの赤ちゃんにもよくないことです。

トキソプラズマ症とはどのようなものか、感染の原因をはっきりさせたうえで、愛猫との付き合い方をまとめていきましょう

トキソプラズマとは

トキソプラズマとは、「原虫」とよばれる、目では見えないほど小さな寄生虫です。

トキソプラズマには、鳥類や、人間を含んだほとんどの哺乳類が感染します。
人獣共通感染症のひとつであり、「人畜共通感染病」や「動物由来感染症」と呼ぶことも。

人間が感染すると、生涯にわたってトキソプラズマ原虫が残存します。

トキソプラズマの感染経路は、おもに口です。

日本人成人の感染率は10%程度とそこまで高くありませんが、国によっては半数以上の人が感染していることもあります。
トキソプラズマは、決してめずらしい病気ではないのです。

トキソプラズマの3つの形態と感染方法

トキソプラズマの原虫には、3段階の形態があり、それぞれ感染方法が異なります。

オーシスト

オーシストとは、トキソプラズマのいわば「卵」のようなもの。
ネコ科動物がトキソプラズマに感染したときに、小腸内で有性生殖(※)により作られます。

オーシストは、猫の糞便に混ざって排出されます。
ネコ科動物以外からオーシストが排出されることはありません。

また重度の免疫不全でもない限り、オーシスト混じりの糞をするのは、はじめてトキソプラズマに感染した猫だけです。
猫のフンにオーシストが混じるのは、初感染してから数日後~2、3週間後までに限定されます。

オーシストはとても丈夫な構造をしているため、一般的な消毒剤では殺せず、排出された後も、数ヶ月のあいだは生き続けるやっかいなものです。
しかし、熱には弱く、不活化して死滅します。

感染源は、オーシストが含まれた猫の糞はもちろん、それによって汚染された土や水などです。

※有性生殖とは:
配偶子とよばれる細胞がオスとメスにわかれ、それぞれから半分ずつ遺伝子情報をもらって増殖する生殖方法。

タキゾイト

タキゾイトとは、オーシストの中にいる虫が卵から出て育ったもので、トキソプラズマに感染した宿主の体内で無性生殖(※)により急激に増殖されます。

タキゾイトは加熱はもちろん、冷凍や消毒、胃酸によっても死滅するため、口から摂取しても感染しづらいのが特徴です。
ただし、目や鼻などの粘膜や、外傷から感染することがあるため、油断はできません。

※無性生殖とは:
ひとつの身体がわかれることによって増殖する生殖方法。
クローン増殖。

シスト

シストとは、タキゾイトが集まって塊を形成したものです。
無性生殖でゆっくりと増殖し、厚くて丈夫な壁に包まれた球体を作るため、消毒しても死にません。
しかし加熱(67度)や冷凍(マイナス12度)には弱く、不活化して死滅します。

感染するのは猫だけでなく、ほとんどすべての哺乳類・鳥類です。
人の場合にも、感染した動物(豚・牛・鶏など)の生肉を食べることによって感染します。

トキソプラズマに感染すると、最終的にはこのシストの状態となって、脳や筋肉内になりをひそめることが多いようです。

トキソプラズマ症の症状

人がトキソプラズマに感染すると、どのような症状がでるのでしょうか。

症状は、感染してから5日~数週間後に発症します。
しかし健康な大人であれば、免疫がはたらくため、感染しても症状が出ることはほとんどありません

症状がでる場合にも、リンパ節が腫れたり、熱が出たり、筋肉痛が続いたりといった軽微なものが多いようです。
感染しても風邪と勘違いしたり、気づかない人もいるといいます。

妊娠中はトキソプラズマに要注意!

トキソプラズマに感染したところでほとんど症状がでないと聞くと、あまり危険な病気のようには感じられないかもしれません。
じっさい、多くの人にとっては、トキソプラズマ症による悪影響はほとんどないようです。

しかし、妊娠中の人にとっては、トキソプラズマは見過ごせないリスクとなります。
トキソプラズマに感染したことのない女性が、妊娠中に初めて感染すると、胎盤を通して赤ちゃんにトキソプラズマが感染し、「先天性トキソプラズマ症」を引き起こす可能性があるのです。

先天性トキソプラズマ症になると、最悪の場合、死産や流産に至ってしまうことも。

胎児にでる症状としては、水頭症・脳内石灰化・網脈絡膜炎(もうみゃくらくまくえん)などのほか、脳症・痙攣・黄疸などです。
出生時には無症状でも、青年期になってから網脈絡膜炎などの障害があらわれる場合もあるようです。

先天性トキソプラズマになる確率は?

妊娠中に初感染したとしても、胎児が必ず先天性トキソプラズマ症を発症する訳ではありません。
胎児への感染率と先天性トキソプラズマ症の症状は、お母さんが感染した時期によって変わってきます。

妊娠初期では、胎児への感染率は10%以下と高くはありませんが、症状は重くなりがちです。
妊娠中期になると20%、後期では60~70%と感染率は高くなってきますが、症状があらわれなかったり、軽症で済むことが多くなります。

妊娠6ヶ月前に感染していれば胎児感染しない

妊娠する6ヶ月より前にトキソプラズマに感染したことがある人は、胎内感染を心配する必要はありません
いちど感染すれば体内に抗体ができ、血中に虫体が出てこないため、胎児に影響はないからです。

逆にまだ感染したことがない人は、感染率10%程度(※)とはいえ、感染する可能性があります。

※日本においては、トキソプラズマに感染している人の割合が10%程度といわれているため。

トキソプラズマは妊娠初期の血液検査でチェックできる

実際に自分がトキソプラズマに対して免疫を持っているかを知るためには、どのようにしたらよいでしょうか。

妊娠初期の妊婦健診には、血液検査があります。
この血液検査では、妊婦が感染していると胎児に影響を及ぼす可能性のある病気を検査しますが、じつはその中にトキソプラズマの検査項目もあるのです。

しかし、トキソプラズマの検査は任意のため、実施されない場合もあります。
気になる人は、診察を受けている病院に問い合わせましょう。

また妊娠を望んでいる人も、心配なようなら、先天性トキソプラズマ症のリスクがあるか把握しておくために、抗体検査を受けてみることをおすすめします。

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トキソプラズマ症の治療方法

検査の結果、妊娠中や妊娠6ヶ月前までにトキソプラズマに感染していることがわかった場合には、どのようにすればよいでしょうか。

赤ちゃんにうつってしまう可能性がある場合には、母子感染を防ぐために、アセチルスピラマイシンという薬をつかった治療をするのが一般的です。
この薬をママが飲んでも、胎児への感染を完全に防ぐことはできませんが、胎内感染の確率を下げられます。

早期にアセチルスピラマイシンを飲めば、感染を防ぐ確率も上がるので、早期発見することが重要です。

アセチルスピラマイシンは、胎児への危険性はないとされています。

注意が必要なのはトキソプラズマに【未感染】の妊婦と猫

治療法があるとはいえ、完璧なものではありませんし、リスクはなるべく排除したいところです。

そこで、トキソプラズマに注意が必要な要素をまとめてみましょう。

【トキソプラズマに要警戒!】

  • トキソプラズマに未感染の妊婦(もしくは妊娠を希望する女性)
  • トキソプラズマに未感染の猫

妊婦さんのなかでも、過去にトキソプラズマに感染している人は、とくに心配することはありません。
トキソプラズマに「未感染」の妊婦さんは、リスクがある状態といえます。

また、一般的な感覚からすると、トキソプラズマに感染している猫のほうが危険に思えるかもしれません。
しかしじつは、これから感染する可能性のある「未感染の」猫に注意をはらうべきなのです。

これら2つの「未感染」要素があわさったときには、トキソプラズマに対して十分警戒する必要がでてきます。

トキソプラズマ症の予防方法

トキソプラズマを予防するには、具体的にはどのようにしたらよいのかをみていきましょう。

愛猫のトキソプラズマ感染歴を検査する

猫はトキソプラズマに感染して2~3週間で抗体ができ、オーシストを排出しなくなります。
つまり、妊娠期に気をつけなければならないのは、猫が初感染してから2~3週間のみということです。

まずは状況を把握して対策をたてるためにも、飼い猫にトキソプラズマの感染歴があるかどうかをチェックしましょう。

猫がトキソプラズマに感染したときの症状

猫がトキソプラズマに感染しても、成猫の場合はほとんど無症状です。

しかし他の病気の影響で免疫力が低下しているときや、子猫の場合には、一過性の下痢が見られたり、食欲がなくなったりします。

まれに中枢神経に障害が生じて麻痺や運動失調を起こすと、まっすぐに歩けなかったり、ふらついたり、同じところをぐるぐると回転する「慢性トキソプラズマ症」を引き起こすこともあります。

症状が重ければ気づくことはできますが、気づかないうちに感染していることも多いでしょう。
やはり、病院で感染歴を検査してもらうのがいちばん確実です。

猫のトキソプラズマ検査費用は?

トキソプラズマの感染検査は動物病院できますが、一般的ではないため、あらかじめ病院に連絡をいれておくとよいでしょう。
検査費用は病院ごとにまちまちですが、5,000~6,000円程度が相場のようです。

検査の結果、すでにトキソプラズマ症に感染していた場合には、とくに心配に思うことはありません。

愛猫の感染を防ぐ

検査の結果、飼い猫がトキソプラズマ未感染であった場合には、これから感染することを防ぐ必要があります

猫は完全室内飼いにする

まず、猫は外に出さないようにしましょう。

トキソプラズマ症は人獣共通感染病であるため、どんな動物でもうつります。
もし、外で運悪くトキソプラズマに感染したネズミや鳥類を捕らえて口にしてしまえば、あなたの猫まで感染してしまうかもしれないのです。

また、外ではよその猫とふれあう機会があるでしょうが、その猫がオーシストの入ったフンを出しているかもしれません。
オーシスト混じりの土で遊んで帰ってくることもあるでしょう。

このケースでは、すでにトキソプラズマ感染歴のある猫でも、フンや土を経由して飼い主さんにトキソプラズマをうつしてしまうリスクがあります。

猫は、感染歴の有無にかかわらず、完全室内飼いにするべきでしょう。

飼い猫に生肉を与えない

猫に生肉は与えないようにしましょう。

感染している牛・豚・鶏を食べると感染する可能性があるのは、猫もおなじです。
肉を餌にする場合には、必ず加熱してから与えましょう。
トキソプラズマ原虫は、加熱すれば死滅します。

愛猫から人への感染ルートを断絶する

猫から人へトキソプラズマがうつるときには、フンを経由します。
そのため、つぎのことに注意しましょう。

飼い猫のふんは、24時間以内に片づける

猫の糞が感染経路のひとつと言われても、猫を飼っている人からすれば放置することはできません。

じつはオーシストが感染力をもちはじめるのは、糞として排出されてから2~3日後となります。
24時間以内であれば、未熟のため感染力はありません。

トイレ掃除は少なくとも1日1回、可能ならば2回を心がけるとよいでしょう。

飼い猫のふんには、できるだけ接触しない

猫のフン処理は、妊婦さんはしないのがベスト。
どうしても避けられない場合には、マスクや手袋を着用してなるべく糞には触れないようにし、掃除後は十分に手を洗い清潔にしましょう。

オーシストは少なくとも数ヶ月生きています。
もし猫の糞が乾燥して舞い上がり、土や水に混ざると被害が広がります。

糞の入った袋はしっかりと密閉して捨てるようにしましょう。
猫のトイレ容器を洗う際の排水にも注意が必要になります。

日常生活でも、生肉や土いじりには注意する

トキソプラズマの感染源は、飼い猫だけに限られません。
日常生活をおくるうえでは、つぎのことに注意しましょう。

  • 生肉は食べない。
  • なるべく土いじりをさける。

トキソプラズマには、猫も人も同じように感染することは、すでにお話したとおりです。
そのため、トキソプラズマ症に感染している動物の肉を食べたら、人も感染してしまう可能性があります。

生肉には直接触らず、食べないことを心がけましょう。
肉を食べる際にはよく火を通し、使った調理器具もキレイに洗うことが大切です。

ガーデニングなどで土いじりをする人もいるかもしれませんが、そこにもオーシストが紛れている可能性があります。
妊娠中だけでも土いじりをさけるか、する場合には必ず手袋を着用しましょう。
作業が終わった後は、入念に手洗いすることをお忘れなく。

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トキソプラズマに注意が必要なのは、感染経験のない妊婦さんと猫です。
一般的には、感染してしまっている猫を警戒しそうなところですが、じつは逆であることを覚えておきましょう。

正しい知識を身につけ、万全に対策をすれば、猫もトキソプラズマもおそれる必要はありません

妊娠中は普段の身体とは異なるため、ストレスを感じることも多々あるでしょう。
そんな時には、ペットは心の癒しにもなります。
トキソプラズマへの理解を深め、猫ちゃんとともに楽しいマタニティライフを過ごしてくださいね。

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