出産後のトラブル!弛緩出血について

赤ちゃんが産まれたあと、おなかの中で赤ちゃんに栄養や酸素を送っていた「胎盤」が出てきて、その役目を終えます。

胎盤はとっても大切な器官で、赤ちゃんに栄養を渡す役目をするだけでなく、赤ちゃんからの老廃物をお母さんに渡して分解してもらったり、さらに妊娠にかかわるホルモンを分泌するところでもあります。
無事に赤ちゃんを大きく育てて、さらに赤ちゃんがゆっくりとおなかの中で過ごすことができるよう、妊娠状態をキープできるようにしてくれます。

胎盤が剥がれたあとというのは、もちろんその面が子宮の中でむき出しになってしまっている状態です。
当然、何もしなければそこからどんどん出血してしまいますから、止血しなくてはなりませんね。

その役目をしてくれるのが子宮の収縮です。赤ちゃんも胎盤も出ていってからっぽになった子宮は、出血を止めて妊娠前の状態に戻るために、急激に収縮して小さくなっていきます。
この働きのおかげで出血は止まっていき、悪露(おろ)は徐々に少なくなっていき、出血は完全に止まります。

しかし、何らかの原因で子宮がうまく収縮せず、出血がいつまで経っても止まらない・大量出血してしまう…これを、弛緩出血(しかんしゅっけつ)といいます。

弛緩出血が起こってしまう原因って?

弛緩(しかん)というのは、ゆるむという意味。
普通なら収縮して硬くなっていくはずの子宮が、うまく収縮せずゆるんだままの状態だということです。
そのため出血が止まらず、非常に危険な状態になってしまうということもあります。

子宮はものすごく伸び縮みできる器官で、赤ちゃんが入っていた頃の大きさからわずか1週間ほどでこぶし大の大きさにまで小さくなり、さらに1ヶ月を過ぎると卵ほどの大きさに戻ります。
それだけ強い収縮のおかげで出血が止まるのですから、後陣痛で苦しむお母さんも少なくない…というのが納得できますね。


さて、弛緩出血が起こってしまう原因なのですが、以下のようになります。

  • 全身性因子:お母さんの疲労や経産婦ということ、また体質によるもの
  • 局所性因子:巨大児や多胎、子宮や胎盤に異常があるなど部分的な原因があるもの

原因となる「全身性因子」と「局所性因子」を細かく見ていきましょう。

全身性因子による弛緩出血

お母さんの疲労

難産だったり、出産がとても長引いてしまうとお母さんの体力は消耗されて疲れ切ってしまいますよね。
そもそも子宮というのは、筋肉でできています。
疲れが極端に溜まっているとクタクタになってうまく筋肉を動かすことができませんから、当然子宮もうまく収縮することができなくなってしまいます。

特に出産に時間がかかった場合というのは、赤ちゃんを長時間外に押し出そうとして何度も何度も収縮していたので、出産後は疲れきっています。

経産婦の方

2~3人ではなく4人、5人などたくさんお子さんを出産された方ほど、弛緩出血が起こりやすくなります。
これは、何度も妊娠することでそのたびに子宮が大きく伸び縮みしているため、出産後の子宮収縮がうまくいかなくなってしまうためです。

播種性血管内凝固症候群【DIC】

播種性血管内凝固症候群(はしゅせいけっかんないぎょうこしょうこうぐん)というのは、何らかの原因で血液の中にある凝固作用と線溶作用のバランスが崩れてしまうことをいいます。

常に私たちの体を流れている血液って、ケガをして出血しない限りふつうは固まったりしませんよね。
でも、出血したときには驚くほどのスピードで血液が固まっていきます。

そんな血液が何らかの原因によって血液が固まって血栓ができる・その血栓を溶かして分解する、というふたつの働きが繰り返され、体のあちこちに血栓ができてしまう…これがDICです。

お母さんの症状としては、血栓のせいでうまく血液が循環できず多臓器不全や呼吸困難、ショック状態になったり、鼻血や吐血、出血が止まらないなどの症状があります。
出産したときの大量出血や常位胎盤早期剥離といったことが原因で起こることが多いようです。

局所性因子による弛緩出血

子宮の病気

子宮筋腫や子宮の奇形があった場合、出産後にうまく子宮が収縮できないことが多いので弛緩出血になりやすいと言われています。

子宮内の遺残物

胎盤や卵膜がうまく剥がれず残ってしまっているため、子宮の収縮を邪魔している状態です。
また、血の塊が子宮に残ってしまっているなどの原因も考えられます。

子宮の伸び過ぎ

赤ちゃんが巨大児だったという場合、双子など多胎妊娠、さらに羊水過多などで子宮がより伸びてしまっていた…という場合です。この場合も子宮がじゅうぶんに収縮しにくくなると言われています。


子宮筋の疲労

微弱陣痛が続いていたときや、陣痛が長引いて子宮収縮促進剤を投与される場合があると思います。
あまり陣痛が長引くと赤ちゃんもお母さんも危険な状態になってしまいますので、早めに出産をして妊娠を終えなくてはなりません。

そういった場合、一気に陣痛(子宮の収縮)が起こったり、もともと陣痛が長引いて疲れてしまっていた子宮は、より疲れが溜まってクタクタになってしまいます。
出産後、うまく子宮が収縮できなくなってしまうため、弛緩出血につながるということなんです。

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弛緩出血が起こってしまったら?予防法は?

以下のような場合に弛緩出血と診断されます。

  • 胎盤が出たあと、血の塊を含む暗めの色をした出血が続く場合(500ミリリットル以上)
  • 子宮の収縮が悪いとき

弛緩出血の治療は、その原因にもよって違ってきます。たとえば、子宮の中に胎盤がまだ残っているなどの場合は遺残物除去を行い、子宮が弛緩している(ゆるんでいる)場合は子宮収縮促進剤を投与します。

また、出血がひどい場合には子宮の中に手を入れ、さらにもう片方の手でおなかの上から子宮を抑えて強く圧迫して止血したり、ガーゼを膣内に入れて圧迫して止血します。DICなど他の症状があるというときには、さらにその症状に応じた治療をしていきます。

弛緩出血の予防としては、まず子宮が収縮しやすい状態を作っておくことが大切です。
たとえば、尿や便が溜まっていると、子宮が収縮して骨盤の中にうまくおさまることができなくなってしまいます。
出産前に浣腸をしたり導尿をするというのは、出産のときの衛生面だけでなく、子宮の収縮をうまくいくようにするという意味もあったんですね。

さらに、出産後に医師がおなかの上からぎゅうぎゅうと強く押すことがあります。
出産直後のお母さんとしてはこれもまた痛みで悶えてしまうこともあるかと思いますが、これは子宮の収縮具合を確認するだけでなく、マッサージすることで子宮の収縮を促すことにもつながっています。
強い痛みはありますが、しっかりと子宮を収縮させるためにも欠かせないことだったんですね。

弛緩出血で保険金はおりるの?

妊娠中、弛緩出血にかぎらずさまざまなトラブルがあるかと思います。
特に多いのが、帝王切開での出産、つわりでの入院、切迫早産での入院…。これらのために入院や手術をしなくてはならなくなった場合、保険に加入していれば保険金の請求をすることができます。
人工妊娠中絶をのぞく流産や死産の処置にも、保険金は請求対象になります。

そして、弛緩出血の場合も、出血多量で輸血や治療を行ったり、入院が伸びたという場合、保険金が請求できることが多いようです。
ただでさえ大変なお産で、弛緩出血によってさらに体に大きな負担がかかってしまう…入院費用はもちろん、その後赤ちゃんを育てていく生活のためにも、加入している保険についてはしっかりと調べておくと良いでしょう。


このように、出産というのは赤ちゃんを産んだら終わり!ではなく、そのあと胎盤が出てくるときやその後もさまざまな危険があるものです。
弛緩出血のように、出血が多くショック状態になれば命を落としかねないというものもあるのが事実です。
恐ろしい症状ではありますが、しっかりと休息をとって何か異変があればすぐ医師に相談してくださいね。

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