母乳不足?母乳不足感?

母乳不足?母乳不足感?

「おっぱいが足りないから泣いてばかりいるんです」「母乳の出が悪いので」…と、母乳不足を「確信」しているママからの相談を受けることがよくあります。そのようなママに必ず確認することは、母乳が出ていないと思う「理由」。とくに初めての母乳育児の場合、基準となるのは「そのママの持っているイメージ」。「母乳が滴らない」「飲ませ終わっても泣いている(指しゃぶりをしている)」「おっぱいが張らない」「搾ってもほとんど出ない」…だから「母乳が出ていないのです」と確信しているママが多い。

そして、多くのママが思い描いている母乳がよく出るイメージはこれらの逆。「ポタポタ滴って」「飲ませ終わったら赤ちゃんがコテッとよく眠り」「常におっぱいが重く張り」「搾るとぴゅーぴゅーと出てくる」…。

残念ながらそのような人はほとんど存在しません。母乳はママの血液からつくられます。ビタミン・鉄分・カルシウム・ミネラル…すべてバランス良く含まれて栄養満点。つまり、ママの体にとっても大切な栄養がつまっています。大切なわが子のために作りたいけれど、必要以上にあふれさせるほどは作りたくない。それが現実。そのため、常にポタポタ滴らせるほどの量は作らないことが多いのです。

また、「飲ませ終わったらすぐにコテッと眠る」、これは幻想です。胃が母乳で膨れて血液が集まれば眠くはなりますが、実はほとんどの赤ちゃんは一人で寝かせたら泣いてしまう事がほとんど。母乳をたくさん飲ませて寝かせてもすぐに泣く赤ちゃんについてはこちら

そして、「常におっぱいが張っている」症状は、出産後3~4日におこる「産後の乳房うっ積」のころを過ぎると減っていきます。おっぱいが張るというのは、飲ませる量よりも作る量の方が多いから溜まっている状態。しっかり吸わせていれば溜まることなく、常に鮮度のいい母乳を飲ませているので「常に張る」という症状は起こりません。また、「張っている」といのは主観的な症状なので、実際は張っているのに「張っていない」と感じているだけのこともあります。

さらに「搾ってもほとんど出ない」というのは、搾り方の技術も理由のひとつ。牧場の牛の乳しぼりを初体験してうまく搾れなかったら、「慣れていないから上手に搾れない」と思いませんか?「この牛は母乳の出が悪い」とは思わないはずです。それなのに、おっぱい搾り初体験で量が少なかったら「出ていない」と考えるのは早合点。

つまり、これらの症状で「母乳不足」を感じる時は、「母乳不足」ではなく「母乳不足感」のことが多いのです。

本当に「母乳不足」かどうかを正確に診断するためには以下の3点を確認しないと分かりません。

  • 乳房の状態
  • 赤ちゃんの体重増加
  • 赤ちゃんの吸い方

この中の1点だけを見て母乳不足と判断することはできないのです。たとえば、「赤ちゃんの体重増加が少ない=母乳が足りない」とは限りません。母乳はよく出ているけれど、「赤ちゃんの吸い方」が浅い、またはゆがんでいるために上手に飲めていないだけ、ということもあります。

「母乳が出ていない」と感じる時には、きちんとおっぱいに触れてくれる助産師に判断してもらってくださいね。人間は哺乳類。健康な女性が母乳が出ないケースは少ないのです。「母乳不足感」で「母乳不足」を確信してしまわない事を願っています。

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