いわゆる「完全母乳」は危険?

いわゆる「完全母乳」は危険?

※「完全母乳」という表現は言葉は本のタイトルに合わせて使っているだけであり、ふだん著者はこの表現を使わないようにしています。その理由は以下の【「完母」という表現について】をご覧下さい。「完母」という表現について

「『カンガルーケア』と『完全母乳』で赤ちゃんが危ない」という本が2014年11月に出版されました。著者は産婦人科医の久保田史郎氏。

この本には以下のような内容が書かれています。

「出産直後、母親の母乳はほとんど出ません。赤ちゃんに必要な量が出るのは平均して3~5日目から。しかし、完全母乳を推奨する医師や助産師の多くが『赤ちゃんは3日間分の栄養を体の中に持っているので大丈夫』と信じて母乳以外与えようとしないため、深刻な栄養不足に陥るケースがある」「低血糖が進むと呼吸停止の危険性がある」「カンガルーケアと完全母乳が、発達障害の多発を招いている」などなど。

妊娠中や出産直後にこの本を読んだママが、「完全母乳で育てると、低血糖で危険な状態になるのではないか」「発達障害児になるのではないか」と、不安を感じるのは当たり前のこと。

この件について、ラクテーションコンサルタント協会は声明を出しました。ラクテーションコンサルタントとは、「母乳育児を成功させるために必要な一定水準以上の技術・知識・心構えを持つ母乳育児支援専門家」のことで、世界96カ国で国際的に正しい母乳情報を発信している団体です。

ラクテーションコンサルタント協会の見解から。

—以下引用—

「一般的に母乳だけで育てることは自然で理にかなったことであり、赤ちゃんにもお母さん自身にもたくさんの利点があります。世界保健機構(WHO)/ユニセフや国内国外の小児科関連学会は、生後6カ月までは母乳だけで、その後は離乳食を食べながら母乳は少なくとも2歳まではやめないよう、その後も母子が母乳を必要としなくなるまで続けるように勧めています。

赤ちゃんとお母さんが同じ部屋で過ごして、生まれた後できるだけ早期から、適切な抱き方と飲ませ方で、ほしがるだけ頻回に(8~10回以上/日)授乳することは、低血糖を予防し、母乳の分泌を最大限に引き出す理にかなった方法として勧められています。予定日近くで生まれた健康な赤ちゃんはエネルギーを維持する仕組みをもっているため、生後すぐに飲む母乳の量が少量であるというだけで低血糖を起こすことはないといわれています(※ABM臨床指針第1号:2014年改訂版から)。

ここでいう「母乳だけで育てること」は、母乳が出ていない場合にも人工乳を補足しないことを推奨することではありません。 本当に赤ちゃんに必要な母乳が飲めていない場合には、より多くの母乳を飲みとれるような支援や、さらに分泌を増やす支援とともに、必要な期間は搾った母乳や人工乳の補足をすることが必要とされます(※ABM臨床指針第3号:2009年改訂版から)

また、母乳だけで育てることによって、認知能力がよくなりIQが高くなるということは多くの研究で根拠が示されています(※American Academy of Pediatrics2012から)。成長後の感情や行動の問題が少ないという新しい研究もあり(※Lind JN, Li N, Perrine CG, Schieve LA 2014から)、母乳だけで育てることが発達障害と関係するという主張には根拠がなく、専門家の共通認識もありません」

—引用ここまで—

最後に私個人の意見として、
人間のいのちは哺乳動物として母乳を飲ませながら脈々とつながってきました。粉ミルクという商品が使われるようになって、まだたかだか60年程度。医療の発達によって乳幼児死亡率が低下してきたのは事実ですが、ここ数十年のデータだけで哺乳類としての偉大な力に物申すことが畏れ多いように感じています。粉ミルクが使われはじめるずっとずっとはるか太古の昔から、生まれてすぐ母乳を飲み、母乳だけを飲んで育ち、今の私たちに命がつながっている…。哺乳類だけに与えられた「母乳育児」には、医学や知識では計り知れない奥深さがあると思えてならないのです。

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