「完母」という表現について

「私は完母です」と、嬉しそうに話しているママによく会います。「完母」とはつまり「完全母乳」を指し、「母乳オンリーで粉ミルクを使わずに授乳していますよ」という意味。誇らしげに「完母です」と話しているママに会うと、「頑張っているんですね」とほほえましい気持ちになるとともに、少しモヤッとした気持ちになることがあります。

それは、「完全」の対義語は「不完全」だから。

つまり「完全母乳」でなければ「不完全な母乳」になってしまうのかな?と、そんな気持ちになるからです。この「完母」という表現について、ちょっと考えてみたいと思います。

もともと、この「完全母乳」のもとになった英語は、exclusive breastfeedingです。そこには、いわゆる「完璧」perfectとか「完全」completeという意味はありません。そのまま「母乳だけをあげている」という意味だけです。世界保健機関(WHO)の定義によると、水も糖水も、もちろんジュース、お茶、おかゆなどもあげていない状態が、exclusive breastfeedingなのだそうです(薬はOK)。医学的な研究の場合は、24時間以内に母乳以外のものを何かあげているかどうかで、「母乳だけ」exclusiveかを判断することが多いようです。が、ある時点の24時間以内の栄養法での「母乳だけ」の率は、当然ながら生まれてからずっと母乳だけだという率とは違います。もし仮に「母乳だけしか飲んでいない赤ちゃんは有意に病気にかかりにくい」ことを証明するために調査研究するとしたならば、本当に生まれてからずっと母乳だけしか飲んでいないのかを確認することが必要なのです。

参照:

(国際認定ラクテーション・コンサルタント(IBCLC)本郷寛子さんのブログ記事(掲載はフェイスブック「母乳育児のポリティクス」)

このような理由から、本格的な医学研究にとっては「完全に母乳だけ」なのかどうかは重要です。しかし、本来母乳育児は、研究目的ではなく生活の一部。いつから飲ませても、何回飲ませても、母乳育児は母乳育児です。

さらに、冒頭に書いたように、「完全」の対義語が「不完全」であることも気になります。「完母ではない」≒「不完全母乳」というニュアンスになってしまいかねないのです。

日本では、産院が不足している背景、または産院の方針で、最初から「母乳だけ」で育てることが困難な背景があります。そのため、生まれてから「100%母乳だけ」で育てられている赤ちゃんはごく少数。母乳で育てたいという思いがあっても、産院のルティーンや医師の方針など様々な理由でできなかったケースは、「不完全な母乳育児」のように聞こえてしまう可能性があるかもしれません。

しかし、どのような飲ませ方をしていても、母乳育児は母乳育児。混合栄養で育てていても、たとえ1日に1回だけの母乳育児も、ママと赤ちゃんにとって幸せな時間が流れることは変わりません。

さらに言えば、そのママが「母乳を飲ませたい」と思い行動している時点で「母乳育児をしています!」と胸を張ってほしい。幸せな育児において、母乳をいつから飲ませたとか、何回飲ませているかについては些末なこと。

ママたちだけではなく医療従事者も気楽に使っている、「完母」という誇らしく聞こえる表現。しかし上記のような理由から、「完母」という表現を使わないようにしていきたいと思っています。

※このコラムは本郷寛子さんの記事を参考にしています。元の文章はこちらを参照ください。https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=430821363794397&id=297891240420744&fref=nf

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