敗血症とは?症状や予防法、治療方法は?

「敗血症(はいけつしょう)」という言葉を耳にしたことがある方は少ないかもしれません。
敗血症は、身体の炎症が起こっている部分の病原体が血液に入り込んで増殖する危険な症状です。
大人だけでなく、新生児や子どもにも起こり得る深刻な病気です。

ママやパパが敗血症を識別するのは難しいことですが、どんな病気なのか、原因や治療法などを知っておくことで、もしものときに危険を回避できるかもしれません。

こちらでは、大人がかかる敗血症とあわせて、赤ちゃんや子どもに起こり得る「小児敗血症」も解説していきます。

敗血症とは

敗血症とは、肺炎や腎盂腎炎(じんうじんえん)などの感染症で炎症が起こっているときに、炎症の原因である病原体が血液に流れ込み、増殖することで起きる病気です。

体力や免疫力が低下している身体に、毒性の強いウイルスや細菌が侵入することがきっかけで起こる場合が多いようです。

敗血症にかかると、高熱や低血圧、心拍数の増加など、重篤な全身症状を引き起こします。

敗血症は2001年に欧米の専門家により「感染に起因する全身症状を伴った症候」と定義されました。
臓器障害をともなう敗血症は「重症敗血症」といわれています。
国際的な敗血症診療ガイドラインでも、この見解が採用されています。

しかし、医療現場などでは重症敗血症のことを敗血症という場面が多く、重症敗血症を定義の対象にするべきということで、2016年にできた最新の定義が「感染に対する宿主生体反応の調節不全で、生命を驚かす臓器障害」となっています。

世界では年間およそ2,700万人もの人々が敗血症を発症しており、そのうち800万人ほどが死亡にいたっています。

日本の年間患者数は30~50万人にのぼり、年間およそ10万人が敗血症で亡くなっていると予想されています。

敗血症は初期段階では識別がむずかしく、急速に進行するため、発見が遅れると死亡率が高くなるという恐ろしい病気です。

敗血症が重症化した場合

重症敗血症、敗血症性ショック、多臓器不全などで後遺症が残ったり、死に至ることがあります。
敗血症性ショックを引き起こしてしまった場合の死亡率は、年々減少傾向にありますが、それでも40%と高くなっています。

※敗血症性ショックとは…敗血症に感染することにより血流が悪くなり、体の臓器に血液が不足してしまうことで、臓器が不全になってしまう事をいいます。

発症した際に気づくのが遅れてしまうと、重症化する可能性が高くなりますので、「様子がおかしい」と思う節があれば、すぐに受診するようにしましょう。
そうすることで、敗血症の早期発見につながり、死亡率を抑えることができます。

スポンサーリンク

敗血症にかかりやすい人

敗血症は糖尿病や血液疾患、腎疾患などの持病がある人に起こるケースが多く、未熟児や高齢者、手術を受けたばかりの人もかかりやすいようです。

子どもの場合、生後3ヶ月~3歳くらいまでは細菌が体内に侵入しても菌血症にとどまり、敗血症にはなりにくいといわれています。

赤ちゃんの場合、ママのお腹の中にいる期間が短ければ短いほど、感染するリスクが高まるといわれてます。
それは、お腹の中にいる間に、ママからもらえるはずだった免疫力(抗体)を、もらう前に生まれてきたことが原因としてあげられます。

早産や未熟児で生まれた場合以外にも、低出生体重児や新生児仮死の場合なども感染率が高まるといわれています。
このことから早産・未熟児・低出生体重児などで生まれてきた子どもは、とくに注意が必要となります。

母体敗血症

まれに妊娠中や産後の女性が敗血症になることがありますが、これを「母体敗血症」と呼びます。
2006~2008年にイギリスで行われた調査によると、10万人のうち母体敗血症で死亡するのは1.13人だそうです。

母体敗血症の原因として、子宮内感染や尿路感染、乳腺炎があげられます。

母体敗血症は産科救急疾患のひとつであり、早急な治療が必要です。

世界で使用されている敗血症のガイドライン「Surviving Sepsis Campaign」では、敗血症が診断または疑われてから1時間以内に治療すべきと記載されています。

新生児敗血症

敗血症は生まれたばかりの赤ちゃんでも発症する病気です。
小児敗血症の中でも、新生児期に起こる敗血症を「新生児敗血症」と呼びます。

新生児敗血症は1,000人のうち1~10人に発症するといわれています。
ママのお腹にいた期間が短いほど発症しやすく、感染症に対する免疫力が十分でないことが主な原因です。

早発型敗血症と遅発型敗血症

新生児敗血症は、「早発型敗血症」と「遅発型敗血症」の2つに分けられます。

早発型

  • 生後72時間以内に発症したもの

遅発型

  • 生後72時間以降に発症したもの

早発型に関しては、生まれたときから呼吸の状態に異常が見られるなど、何らかの感染症に感染しているような様子がみてとれます。

いっぽうで、遅発型は「ん?何だか様子がおかしい?」と、確信が持てないほどゆっくりと症状が現れるのが特徴です。

新生児敗血症の感染経路

新生児敗血症は、早発型と遅発型でそれぞれどのようにして感染するのでしょうか。

早発型敗血症の感染経路

早発型では、ママのお腹の中にいるときに菌をもらう場合(胎内での経胎盤感染)と、出産時に産道を通過するときに、大腸菌などの菌から感染する場合(経産道感染)の2パターンがあります。

遅発型敗血症の感染経路

遅発型に関しては、肺炎球菌が喉などに入ることで感染したり、傷口から菌が入り込むなどして感染します(出生後の水平感染)。

小児敗血症は、未だに罹患(りかん)率(*1)や死亡率が高い病気として知られており、小児死亡の主な原因のひとつに挙げられます。

日本では年々減少傾向にあるものの、まだまだ小児敗血症で亡くなる子どもがいるのが現状です。

*1:罹患率とは・・・一定期間にその病気にかかった人の、その病気にかかる危険にさらされた人口に対する比率

敗血症の症状

敗血症の症状は、以下の通りです。

  • 38度の高熱、または36度以下の低体温
  • 多呼吸
  • 頻脈(通常、脈は1分間に50~70回程度だが、90回以上と多くなる)

などの症状が現れます。
病院で血液検査をしてもらい、白血球が増加していると、感染している可能性は、より高くなります。

なお、新生児敗血症では下記の症状もみられます。

  • 元気がない
  • 発熱
  • 母乳を飲まない
  • 無呼吸
  • 皮膚が紫色になる

敗血症の診断基準

上記の症状に加えて、「SOFAスコア」と呼ばれる呼吸器や肝臓、腎臓などの臓器障害をスコア化したものを基準に敗血症かどうかを診断します。

なお、上記のスコアはICUにて使われるためのものですが、一般外来や救急外来など、ICU外の場所では「qSOFAスコア」というより簡単なスコアリングシステムが使用されています。

敗血症の治療法

敗血症は死亡率の高い病気ですが、治療が早ければ早いほど生存率が高くなります。

大人の場合、敗血症と診断されてから6時間以内に治療を開始することが望ましいとされています。

小児敗血症においては、診断から1時間以内に治療を始めることで改善されやすく、大人よりも敏速な対応が求められます。

抗生物質の投与

敗血症の基本的な治療法は抗生物質の経口または点滴です。
抗生物質は、敗血症の原因となっている感染症によって異なります。

抗生物質を投与する前に血液検査や尿検査を行いますが、結果が出るまでに数日かかるため、最初の点滴では数種類の細菌に効果がある抗生物質が使用されます。

検査結果で原因菌を特定できたら、その細菌に対してより効果のある抗生物質が投与されます。

全身管理

薬の投与でも病態改善が思わしくなく、さまざまな臓器がうまく機能しない状態(多臓器不全)であれば、死亡率が高くなってしまいます。

この場合、入院して集中治療室にて全身管理を行います。
全身管理では、人口呼吸器や透析(とうせき)、輸血がほどこされます。

敗血症の予防法

敗血症の原因は感染症にかかることであり、感染症を予防することが敗血症を防ぐポイントです。

予防接種で免疫力を高める

感染症の予防法のひとつに、予防接種を受けて特定の病気に対する免疫力を高める方法があります。

子どもは生まれてから、さまざまな予防接種を受ける機会があります。
任意の予防接種はなるべく受けさせたくないという保護者もいらっしゃいますが、感染症の中には死亡率の高いものがあります。
敗血症を防ぐためにも、予防接種はなるべく受けさせるようにしましょう。

特にHib(インフルエンザ菌b型)感染症と肺炎球菌感染症は、子どもがかかりやすく、敗血症を引き起こす可能性が高いため、このふたつの予防接種は必ず受けることをおすすめします。

うがいと手洗いを徹底する

普段からできる予防法として、うがいと手洗いがあります。

手洗いは、医学的にさまざまな感染症の予防において効果があると証明されています。

うがいはのどについた菌を減らす効果は認められていませんが、口の中の細菌を殺すことが実装されており、同時にのどの保湿にもつながります。

感染症は空気の乾燥や人混みから移るため、外出後のうがいと手洗いを徹底しましょう。

虫歯の予防・治療

敗血症は虫歯から発症することもあるのです。

2013年にイタリアのシチリア島に住む女性が、虫歯を放置したことで敗血症にかかり死亡したという事例があります。
虫歯を放置することで病巣が拡大し、そこから菌が侵入し血液中で増殖して敗血症にかかるかもしれません。

虫歯は大事な歯を失うことにもつながります。
日々の歯磨きを丁寧に行い、また歯の健診を定期的に行いましょう。

注目記事

まだ無添加が良いと思ってる?【本当におすすめしたい葉酸サプリベスト3】効果・値段で徹底比較!

葉酸の含有量や一緒にとれる栄養成分など、あらゆる角度から調べ、本当におすすめしたい葉酸サプリメント3つを選びました!

賢いママは知っている?妊活中から産後までにやっておきたいお金の準備まとめ

妊活・妊娠・出産…いったいお金はいくらかかってどう準備したらいいの?そんなお金の話をチェック!

気に入ったらシェア

スポンサーリンク

スポンサーリンク