おっぱいの出ない体質?

おっぱいの出ない体質?

産院の助産師に「あなたは母乳が出にくい体質のようだからミルクを足してね」と指導され、自分は母乳育児ができない体質なんだと思い込んで完全ミルクで育てたというママにしばしば遭遇します。

母乳が出ない体質の人って本当にいるのでしょうか。

たいていのママは「母乳不足」ではありません。「思い込み母乳不足」なのです。

先天的に乳腺の発達に問題がある場合には改善の余地なく真の母乳不足になってしまうケースもありますが、実際わたしはそのような人はあまり見かけたことがないです。まな板に梅干し(笑)みたいな小さなおっぱいのママでも、その奥にある乳腺がしっかり機能していれば母乳は十分に出るものです。おっぱいの大きさは乳腺を取り囲む脂肪の量の問題なので、母乳の分泌量とは関係ありません。

母乳は血液の加工品なので、そのような場合には母体は赤ちゃんに美味しい母乳作ってあげたい一心でまず自分の身体の回復を優先します。中途半端に栄養価の低い薄い母乳を作ってあがいても、空回りするだけですよね。だからあえて母乳のために働くホルモン分泌を一時停止、先に母体回復を優先します。あっちもこっちも…と欲張らず、優先順位を見極めて効率よく働くわたしたちの身体は素晴らしいですね!!

母乳が足りなくなるのは知識が足りないがゆえに授乳の仕方を間違えるのが原因の人が多いです。乳腺にはまったく問題はないのに、二次的な理由があっての、とても残念な後天的な母乳不足。

産後しばらくは、授乳間隔があくとおっぱいに母乳が溜まって重く張ってきます。赤ちゃんの母乳必要量と母体の母乳供給量が一致せず、母体ががむしゃらに母乳を作りすぎてしまうわけです。張ったおっぱいで授乳をすると明らかに軽くなり、張りがおさまるのでママの感覚では「飲ませることができた!」と安心しますね。

でも人間の身体というのはよくできたもので、おっぱいは次第に学習していきます。無駄におっぱいタンクに母乳を溜め込んでも母体がしんどいだけだということに気づき始めます。

おっぱいはそれを境にして無駄に張らなくなってきます。吸われたときに始めて作るおっぱいに変化していきます。

溜まり乳から差し乳へ。効率のいい乳房の神秘です。これは母乳育児が軌道に乗り始めた証拠。

ママの感覚では、あれだけパンパンに張っていたおっぱいが張らなくなってきた。母乳が足りないのでは?と不安に陥りますが、張るおっぱい=よく出るいいおっぱい ではありません。

完全母乳で効率のいいおっぱいとは・・・張りません。搾って出ません。母乳パットに漏れません。おっぱいの存在を忘れます。吸われて初めて分泌します(差し乳)。

溜まり乳は、例えるならば大量に作ったおかずが余ったのでラップかけて冷蔵庫保存。それを翌日にチンして食べる。というイメージ。

作りたてではないので味は落ちるし、新鮮とは言えませんね。作りたてのお料理はアツアツで美味しいけど、チンして食べると温めムラができちゃったり。

おっぱいも同じなんですよ。タンクに溜まっている母乳は新鮮ではないし、作りたておっぱいよりも温度も低め。においもイマイチ…。

わたしたちはほ乳類だから、乳頭・乳輪に傷ができて激痛、というようなトラブルがないのなら、深く考えずに本能のままにどんどんおっぱいを吸わせればいいんです。張らないから出ない、ではありません。吸わせれば吸わせるほど、そこで初めておっぱいは反応するようになってきて、新鮮でできたての美味しい母乳を赤ちゃんに提供することができるのです。

母乳が出ない体質の人などほとんどいません。

「おっぱいが出るから飲む」のではないですよ。「飲むからおっぱいが出る」のです。

母乳は最初から勝手に出るものではなく、出るようにしていくものだということをお忘れなく、1日10回以上は最低でも吸わせましょう。

そして食事はしっかり摂りましょう。ストレスもなるべく溜めないように。そんな基本的なことでも母乳の量は減ってきてしまいます。

おっぱい出しっぱなしでかまいません。どうせ1日中おっぱい、おっぱい、おっぱいで終わっていくんだから。(笑)それが母乳育児の神髄なんだから。

「おっぱいが張ってから飲ませましょう」「授乳は3時間ごとに」「おっぱいだけで足りるはずない」 どれもちょっと違うと思います。

あれこれ中途半端に頭を使って、あれは正しい、これは間違ってると白黒決めつけてがんじがらめにストレス抱えて子育てするよりも、生物学的にプログラミングされた本能に従って生きてみるのもいいモンです。

おっぱいは赤ちゃんのためにあるのですから、好きなだけおっぱいを吸わせてあげてください。そうしているうちに、母乳はどんどん出るようになっていきます!

小林ひさこ 先生

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