妊娠中のおっぱいケアは必要ですか?

妊娠中のおっぱいケアは必要ですか?

妊娠中のおっぱいケアの是非は産院によって方針がいろいろです。

「基本的に妊娠中は何もしなくていいですよ」「おっぱいを触ると子宮が収縮して切迫早産を誘発するのでうちの産院では臨月になるまでは薦めません」そう指導されている産院も多いと思います。

だけどうちの助産院では、出産後間もなく乳輪・乳頭をズタボロにしてパンパンに張ったおっぱいで「痛い。助けて」と来院されるママが後を絶ちません。

吸わせると赤ちゃんがすぐにウトウトして体重がなかなか増えず不安になって来院されるママも多いです。彼女たちのおっぱいに共通するのは乳輪、乳頭が化石みたいに固くて乳腺のあちこちが開通していません。下地作りがまるでできていないんですね。

準備体操なしにいきなり走ったら捻挫したり転んだり危険だけどある程度身体を慣らしてから走ればしなやかに安全に走ることができますね。おっぱいも同じだと思うんです。妊娠中から意識して下準備をせずに産後いきなり授乳開始したらトラブルになっても不思議はないです。

赤ちゃんは最初から上手におっぱいを飲めるわけではありません。お産の状況、生まれたときの妊娠週数、性別などによって眠りこけてばかりでさっぱりおっぱいに興味がない子や、固いおっぱいは飲みにくいからイヤだ、と、真面目に飲まない子、意欲はあるんだけどうまく飲めない子もいます。

彼らはまだまだ体力がないですから、カチカチに固いおっぱいを差し出されても効率よく飲めなくて当然なんですよ。

妊娠中の下準備なしに授乳生活を始めると、冒頭の産後間もないおっぱいズタボロのママのように固いおっぱいをむりやり舌で巻き込んで真空状態を作ろうとするので乳頭がよじれて潰され、傷だらけになるんです。水泡ができたり、亀裂を起こしたり、ひどい人だと流血。それをさらに吸わせようとするので授乳のたびに激痛です!楽しいはずのおっぱいタイムが恐怖の時間になり、あまりの痛みに「お産より辛い」とおっしゃるママもいます。

妊娠中からおっぱいケアをしておかないと、乳腺が開通していないので、おっぱいの奥(基底部)に血液が溜まりすぎて循環が悪くなり、癒着。張るのにあまり出なかったり、飲ませても量につながらないおっぱいは、さらに固くカチンコチンに悪循環になってしまいます。

そもそも、お産がゴールになってしまってはいけないんですよ。

おっぱいのことは産後に考えたらいいや。今はそこまで考える余裕はないから。

と気楽に考えている妊婦さんも多いかと思いますが、赤ちゃんの衣類を用意したり、赤ちゃんのお部屋を整えて新しい家族を迎える準備をするのと同じように、おっぱいも準備をしておいて欲しいんです!

赤ちゃんを迎える準備は、「環境」「用品」だけじゃ足りません。赤ちゃんの命綱は、なんといってもおっぱいなんですから、「食事」の準備はちゃんとしておいてあげてほしいなぁと思います。

何に置いても、最優先事項として、妊娠中のおっぱいケアは絶対にしておいて欲しいです。産後に半泣きになっているママたちを見るたびに痛感している次第です。

産後すぐからフワフワに柔らかく、よく伸びる乳輪・乳頭なら、体力のない赤ちゃんでも効率よく舌を巻き付けて消費するエネルギーも最小限にうまく飲むことができます。乳頭損傷を起こすリスクも劇的に減ります。赤ちゃんの体重増加もグングンと順調です。おっぱいタイムがママにとっての癒しの時間になります。

スムーズな授乳生活の始まりのために、妊娠中から是非、ケアを開始しましょう!妊婦さんは、出産というドラマのあとに長く続いていく母乳育児を見据えて正しい判断で動いて欲しいと思います。

妊娠6ヶ月(20w)ぐらいになったら、助産師の指導を受けてくださいね。

小林ひさこ 先生

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