母乳の飲みすぎ?赤ちゃんの満腹中枢について

母乳の飲みすぎ?赤ちゃんの満腹中枢について

完全母乳でプクプクに太った健康そうな赤ちゃん。見るからに順調そうでおっぱいが足りていることは一目瞭然です。しかし、自信満々、意気揚々と1ヶ月健診に出かけたママに思いがけない指導が入りました。

いつまでも「泣いたらおっぱい」ではダメ。しょっちゅうおっぱいを吸わせるからこんなに体重が増えてしまうのですよ。飲ませすぎは赤ちゃんに負担がかかるからちゃんと3時間あけて授乳のリズムをつけないと。

赤ちゃんがぐずるたびに1日15回ぐらい授乳していたママは、自分の育て方が間違っていたと思い込み、時計を見ながら3時間ごとの定期授乳を試みました。だけど、ものの数日でおっぱいはゴリゴリになるわ、赤ちゃんは泣きわめくわ、心身ともに完全に行き詰まってしまったのでした。

彼女のやり方は間違っていたのでしょうか。まず、赤ちゃんの生理学をおさえておきましょう。

4ヶ月ぐらいまでの赤ちゃんは満腹中枢が未発達です。無意識に身体が胃の容量を認識して、腹八分目で「もうやめておこう」と自己表現できるようになるまでには長い月日を要します。

だから生後間もない赤ちゃんは、とくに母乳で育っている子だと1日に何度もチビチビとうんちをしておむつ替えが数えきれないほどだったり、飲んだあと、マーライオンみたいに大量に吐いたり、そうすることで飲み過ぎないようにうまく調整しているんです。

放っておくと、1日中おっぱいにくっついている赤ちゃんもいます。満腹中枢が未発達ってことは、そういうことが起こり得るってことなんです。授乳回数の多さで、おっぱい不足は判断できません。

おっぱいは1時間ぐらいで消化吸収してしまうので、飲み過ぎるということがありません。対するミルクは消化に3時間ぐらいかかるので好きなだけどんどん与えればやっぱり赤ちゃんには負担です。

ですから、このケースでの1ヶ月健診での指導は、ミルク育児の場合なら正解ですが、母乳育児には当てはまらないということです。

おっぱいには制限はありませんよ。好きなだけどうぞ!もうおっぱい片付ける暇がないぐらいでもいいですよ。結果、赤ちゃんの体重がハイペースで増えていったとしてもそれは喜ばしいことであり、決して困ったことではありません。

おっぱいは何のためにあるのでしょうか?赤ちゃんのためにあるんですよね。そしてわたしたちは哺乳類なんです。ほ乳類は、お乳を飲ませて子育てをする動物ですね。

野生の動物は「おっぱい飲ませすぎ?」とか「体重増えすぎ?」とかよくわからない価値観に振り回されたりしません。本能のままにおっぱいを飲ませます。

根拠のない理論を信じておっぱい制限をしたら、本来持っている生体リズムが崩れてママのおっぱいはトラブルを起こしやすくなってしまいます。赤ちゃんも、情緒不安定になってぐずります。双方にとって、おっぱいを我慢することでもたらされる利点はひとつもないですね。

満腹中枢は必ず発達します。だからその時期をゆったりのんびり待ちましょう。わたしたちも野生の動物を見習って本来持っている本能に身を委ねてみましょう。

小林ひさこ 先生

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