羊水検査にリスクはある? 流産や破水の確率は?

高齢出産になればなるほど、赤ちゃんが先天性異常の割合が増えるといわれます。
そのため、30代後半~40代の妊婦さんで、羊水検査を希望する人が増えているようです。

しかし、羊水検査は費用が高いだけでなく、流産などのリスクも高まるという声もあります。
そこで、今回は、羊水検査のリスク、流産や破水などの確率についてまとめてみました。

高齢出産とダウン症の発症


昨今の日本では、結婚する年齢が高齢化するにともない、妊娠、出産する年齢も高齢化しています。

厚生労働省の2015年の調査報告によると、平均初婚年齡は、男性が31.1歳、女性が29.4歳。
そのため、初めて出産する年齡は、年々高くなる傾向にあります。

なかでも、35歳以上で初めての出産となる場合は、さまざまなトラブルがおこりやすくなるため「高齢出産」とよばれています。
高齢出産の場合は、注意深く妊娠の経過を観察する必要があります。

なぜなら、流産、早産、妊娠高血圧症候群などがおこる確率や、赤ちゃんにダウン症などの染色体異常がおこる確率が高くなるためです。

妊娠年齢とダウン症の割合

先天性染色体異常のなかでも、日本でもっとも多くみられるのはダウン症です。

統計によれば、ダウン症候群の赤ちゃんの生まれる割合は、ママの年齡が上になるほど高くなることがわかっています。

母親の年齡と胎児のダウン症の子が生まれる割合

 

母親の年齡 ダウン症の子が生まれる確率
20歳 0.6% (1/1167)
25歳 0.8% (1/1250)
30歳 1.1% (1/952)
35歳 2.6% (1/385)
40歳 9.4% (1/106)
45歳 33.3% (1/30)

表をみると、20歳の女性の場合は、ダウン症の子どもが生まれる割合は、わずか0.6%にすぎません。

しかし、35歳となると、その確率は2.6%となり、20歳の女性に比べるとリスクは約4倍です。
さらに、40歳の女性の場合は、ダウン症の子どもが生まれる確率は、9.4%約11人に1人という高い確率となっています。

先天性の染色体以上としては、ダウン症以外にも、18トリソミーや13トリソミーなどがありますが、これらの染色体異常も含めた場合、染色体異常の赤ちゃんが生まれる割合はさらに高くなります。

これらから、35歳以上の高齢妊娠となる女性の間では、あらかじめ、ダウン症の診断が可能な羊水検査への関心が高まってきています。

羊水検査とは


羊水検査は、出生前診断のひとつで、胎児の染色体異常を調べるための検査です。

子宮に針を刺して採取した羊水から胎児の細胞を培養し、染色体を検査するという方法がとられます。

羊水検査の精度とリスク

羊水検査は、ダウン症をはじめとする、赤ちゃんが染色体異常かを確認する検査のなかでは、もっとも精度が高い検査です。

しかし、破水や、合併症、流産をおこすリスクが高まるともいわれます。
というのも、羊水検査では、ママのお腹に直接、針を刺す必要があるからです。

羊水検査以外にも、出生前診断の検査はあります。

「母体血清マーカーテスト」や「新型出生前診断」と呼ばれるものです。
それらは、ママの血液を採取しておこなう検査であり、流産のリスクはありません。

リスクがない代わりに、羊水検査に比べて精度が低く、陽性の疑いが高い場合は、確定診断として羊水検査を受ける必要がでてきます。

羊水検査で流産のリスクが高まるといわれるのは、子宮の中に針を刺し、小さいながら、羊膜に穴を開けてしまうためです。

流産を誘発する原因のひとつは、針を刺すという刺激により子宮が収縮することが挙げられます。
もうひとつの原因は、針によって開いた穴から破水がおこり、感染症をひきこすこためです。

そのため、破水や感染による合併症の予防として、検査当時は念のために入院して安静にすることを推奨する病院も多くあります。

また針を刺す作業は、専門医により慎重に行われるのが普通で、感染予防と子宮収縮抑制の服用薬が数日分、処方されます。

羊水検査の対象は?

流産のリスクが全くないとはいえない羊水検査は、通常、医者側から推奨されることはありません。
妊婦全員を対象としたものではなく、希望者のみが受ける任意の検査です。

ただし、高齢出産の場合は、主治医から、羊水検査の説明を受けることもあります。
高齢出産以外でも、以下の条件に当てはまる人は、羊水検査を受けるかどうか意志の確認をされることがあるようです。

  • エコーなどでなんらかの異常の可能性が認められた
  • 染色体異常の胎児を妊娠した経験のある
  • 家族に遺伝子がある

上記のような場合は、赤ちゃんに障害がないかどうか、心配する気持ちのまま妊娠期間をすごすよりも、検査を受けて、はっきりとさせたいと考える人も多いようです。

羊水検査の具体的な方法


具体的な羊水検査の流れは以下のようになります。

  1. 妊婦さんは診察台で仰向けに寝る
  2. お腹を消毒
  3. 超音波(エコー)にて、子宮の様子や胎児の位置を確認して、羊水の採取場所を決定する
  4. 局所麻酔をする(麻酔しないでおこなう病院もある。その場合の痛みは普通の筋肉注射程度)
  5. ほかの臓器に傷をつけないように慎重に針を差しこむ
  6. 羊水を吸引(約20ml程度)する
  7. 終了後、超音波にて、子宮、胎児の状態を確認

開始から終了までは、10分から20分。
そういうと、かなり簡単な検査のように思われるでしょう。

しかし子宮のまわりには、かなり重要な臓器が集まっているので、それらの臓器を傷つけないように針を刺すには、慎重をに行わねばなりません。

子宮の上の方には小腸、子宮の手前には膀胱、さらに子宮の裏には直腸があります。

エコーの画像を見ながら針を刺す場所を決定するのですが、エコーの画像で全てがクリアにわかるわけではないので、慎重さが求められます。
もし誤ってそれらの臓器を刺してしまったら、最悪、開腹手術が必要なケースもあるようです。

また、まわりの臓器を傷つけないためには、胎盤に針を差しこむことになってしまい、どうしても多少の刺激を胎盤に与えることは避けらません。

羊水検査後におこりうるトラブル


羊水検査の後で、もっとも気をつけなければならないトラブルは破水です。

破水すると、そこから雑菌が侵入するために、感染症を引き起こす可能性があり、最悪流産となるケースもないとはいえません。

羊水検査による流産の可能性

羊水検査を行う病院では、事前に、羊水検査の内容やリスクについての説明があります。
そのときに必ず説明されるのは、羊水検査による流産の可能性です。

説明される確率は病院によってまちまちで、1,000人中1〜3人という病院もあれば、300人に1人という病院もあります。

しかし、羊水検査を行うのは妊娠15週から18週が多く、この時期は、羊水検査をおこなわなくても自然流産するケースがあります。
とくに、先天性の染色体異常がある赤ちゃんは、この時期に自然流産となることが多く、流産の原因が羊水検査であるとは断言できないのです。

母親の血液を採取するそのほかの検査に比べると、子宮に直接、針を刺しこむ羊水検査は、まったくリスクがないとは言い切れません。

流産のリスクが高い女性とは

羊水検査は流産のリスクを高めるといわれますが、羊水検査のリスク度や、難易度は個々の女性の健康状況によって大きく左右されます。

なかでも以下のような要因を持つ女性は、そうでない場合に比べて、とくに注意が必要です。

1:子宮筋腫がある場合

子宮筋腫があると、針を刺す場所が限定されてしまいます。

なかでも子宮の前側(おへそ側)に子宮筋腫があると、針を刺すのが困難で、子宮を収縮させてしまう危険性がないとはいえません。

2: 臓器の癒着がある場合

以前に、子宮筋腫や卵巣嚢腫など子宮近辺での手術をしたことがある方は、臓器癒着をおこしている場合があります。

臓器癒着によって思いがけない場所に臓器が存在していると、針を刺せる場所がほとんどないという可能性もあります。

3: 腹腔内に炎症がある場合

子宮内膜症や子宮腺筋症、クラミジア感染症にかかっている場合、針を刺すことによって、腹腔内の炎症は悪化する可能性があります。

また、発症している場所によっては、針を刺しにくいことはもちろん、子宮内に炎症をひきおこすリスクが高まります。

上記のような危険因子をもっている女性は、羊水検査のリスクは高まるので、羊水検査を受けるかどうか決める前に、医師と十分に相談する必要がでてきます。

わからないことは担当の先生に質問したり、遺伝カウンセリングを受けるなどして、ご夫婦ともにリスクも十分に納得した上で、羊水検査を受けるかどうか判断してください。

夫婦でじっくり話し合うことが大切


出産前に「赤ちゃんの異常を知る方法があるなら知りたい」と思う気持ちは、自然なものといえます。
しかし、羊水検査を受けるには上記のようなリスクがある上に、ある種の覚悟も必要です。

というのも、もし、検査の結果が陽性だった場合、妊娠を継続するのか、中絶するのか、を妊娠22週目に入る前に決めなければならないからです。

ご夫婦の考えが分かれることもあるでしょう。
妻が産みたいというのに、旦那さんが反対するというケースもみられます。
ご夫婦の両親に反対されることもあるようです。

陽性の結果が出たために、精神的に追い詰められて、検査を受けなければよかったと後悔する人もいるでしょう。
妊娠中、ずっと不安なまま、心配して過ごすよりは、思い切って検査を受けてよかったという女性もいます。

リスクを考慮した上で検査を受けるかどうか、そして、検査の結果をどう受け止めるかは、人それぞれで考え方は違うものです。

いずれにしても、夫婦それぞれが、自分の気持ちに正直になって、じっくり話し合って決めることが大切ではないでしょうか。

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