帝王切開の傷跡。痛み、かゆみ、ミミズ腫れ・・・予防と治療について

傷痕が治らない…帝王切開後のケロイド

帝王切開の傷跡

虫刺されを掻きむしったあと、切り傷のあとなど、体に傷痕があるという方は多くいらっしゃると思います。ですが、多くの傷痕は時間が経つと自然にきれいに消えていくものですよね。私たちの体というのは、傷痕ができてしまった時には、まず血液が固まって出血を止め、次に細胞が傷痕の修復を始めます。しばらくすると、気が付いたときにはもうきれいさっぱり傷痕がなくなっている…ということが多いと思います。

しかし、なかなか傷口が消えないどころかいわゆるミミズ腫れのような状態になってしまっている…ということもあります。女性の場合、帝王切開で出産したときに傷痕が「ケロイド」になってしまったという方が多くいらっしゃいます。ケロイドというのは先ほども言ったとおり傷口がミミズ腫れの状態になっているものをいいますが、本来なぜ起きてしまうのか知っていますか?

また、ケロイドができやすい人・そうでない人など体質によっても違ってくるんです。ではケロイドというのはどんなもので、ケロイド体質の方は帝王切開のときにどんな対策をすれば良いのでしょうか?

「ケロイド」ってなんなの??

そもそも、ケロイドとは何なのでしょうか?私たちが傷を負ったときというのは、その組織がダメージを受けて死んでしまっている状態になります。ただ、そこを修復してカバーしようとするため、小さな線維や組織が集まっていきます。この痕を「瘢痕(はんこん)」といいます。ここできれいに治れば良いのですが、そこで何らかの異常が起こって瘢痕が赤く盛り上がり、さらに周りの健康な皮膚にも広がってしまう…これがケロイドです。

瘢痕が赤く盛り上がってぷっくりとする「肥厚性瘢痕」というものもありますが、見分け方が難しい場合があると言われています。ケロイドは長期間傷痕が赤く腫れあがってしまい、その状態がまたしばらく続きます。傷痕ができてからふさがって瘢痕ができるまで、そこから約半年ほどかけてぷっくりとしたミミズ腫れのような状態が出来上がっていきます。約半年ほどで傷口の厚みがピークになり、そこから年単位でほんの少しずつ小さくなっていきます。

しかし、それまでは傷口は真っ赤ですし、特に帝王切開をした部分というのは衣服が傷口にスレてしまって強く痛みを感じることも。

また、傷口が赤く盛り上がってかゆみが強く感じられることも多く、夜に眠れない…ということも少なくありません。

肥厚性瘢痕の場合は症状が似ているのですが、赤みは次第に薄くなっていき、傷口の厚みもごくわずかずつではありますが小さくなっていきます。そして数年で赤い傷口は白色に変わっていきます。

一方のケロイドですが、残念ながら赤みが引くこともなく、それどころかじわじわと広がってしまうということも。 先ほども言いましたが、肥厚性瘢痕の場合には傷口の部分に、ケロイドは傷口の周辺など健康な皮膚にまで浸食が及んでしまうのが特徴です。 残念ながら、ケロイドは自然治癒はほぼ難しいと言われています。

ケロイドと酷似!肥厚性瘢痕との難しい見分け方

ケロイドと肥厚性瘢痕の見分け方は以下のようにして見分けます。

  • 帝王切開から何年も経ったにも関わらずまだ傷口が赤い
  • 傷口の周囲の健康な皮膚が赤くなっている
  • 傷口が大きくなっている

肥厚性瘢痕の方の場合、帝王切開のあとは傷口が次第に赤みが引いて白っぽくなり、あまり目立たなくなっていきます。しかしケロイド体質の方であれば赤みがいつまでも引かず、さらに傷口が大きくなっていくということがあります。

しばらくして赤みも傷口の厚みも小さくなれば、ケロイド体質ということではなく肥厚性瘢痕だった…ということですね。ですから、術後すぐや2~3ヶ月では肥厚性瘢痕かケロイドかどうかというのは、医師でもほとんど見分けがつかないということになります。

ケロイドがかゆくて掻きむしってしまうと傷口の中で感染を起こしてしまい、膿が出たりさらに傷口が広がってしまうこともあります。

ケロイドができてしまう原因なのですが、何らかのアレルギーを持っているという方や皮膚の色が濃い方、また遺伝的な原因もあると言われています。またホルモンが関係しているとも言われているので、思春期や妊娠中・産後はケロイドが悪化しやすいとも言われています。帝王切開の傷口で悩んでしまう方が多いのは、このせいなのですね。

ケロイドになったときの治療方法は?

ケロイドになってしまったら、どうしたら良いのでしょうか?治療法としては、以下のようになります。

  1. 外科的療法
  2. 保存的療法

1の外科的療法は、手術で傷痕をきれいにするというものです。ケロイドは傷口だけでなく周囲の皮膚にも影響があるため、大き目に切除していくということになります。この手術をしたときにもまたケロイドが再発してしまう可能性が高いので、医師としっかり相談していきましょう。

2の保存的療法ですが、以下のようになります。

外用療法
特殊なテープを傷口に貼ります。ステロイド剤が入ったテープを貼ったり、水分を閉じ込める働きのあるテープを貼って傷口を保湿します。ただ、このテープは人によってかぶれてかゆくなったりすることがあるので、医師と相談しながら自分に合ったテープを探すと良いでしょう。
局所注射療法
ケロイドの部分に直接、ステロイド剤を注射する方法になります。
圧迫療法
傷口をテープで固定したり、シリコンのシートによって圧迫して傷口の膨らみを抑えていきます。
内服療法
喘息やアレルギー性の病気に効果があると言われている「リザベン」という薬が使われます。傷口をきれいに治すという働きもあるので、肥厚性瘢痕やケロイドの治療によく使われている薬です。ただ、産後授乳中の場合は避けた方がいい薬だとも言われていて、実際に薬の注意書きに妊婦に投与してはいけないとの記載もあります。これはラットでの実験で、母乳に薬の成分がうつってしまうことがわかっているからです。しかし、医師の中には授乳中にも関わらずリザベンを処方する方もいらっしゃいますので、不安が大きい場合にはしっかりと相談してみてくださいね。
放射線(電子線)療法
手術でケロイドの傷痕を取り除いたあとというのは、ケロイドが再発しやすいと言いましたね。ここで、放射線治療といってケロイドを作ってしまう細胞の増殖を抑える治療を併せると、再発防止につながるということなんです。痛みもなく、ごくわずかな時間で治療ができるというメリットがあります。

帝王切開のケロイド、予防はできるの?

残念ながら、帝王切開のときにケロイドを予防する方法というのはありません。ケロイドができやすいかどうかというのは、それまでにケロイドがあちこちにできているという方ならわかるかもしれませんが、そうでない場合はなかなかわかりませんよね。

また、だからといって帝王切開を中止するというわけにもいきませんので、帝王切開でのケロイドを予防するよりも術後のケロイド防止に努めていくようにしましょう。保存的治療の中にもあった、テーピングで傷口を固定する方法が自分でもやりやすく、また衣服とこすれるということも防ぐことができますね。

また傷口がなかなか治らない・痛みがある・かゆみが強いなどのトラブルがある場合には、早めに医師に相談するようにしましょう。授乳中であってもテーピングをはじめ、できる治療はありますので我慢しないようにしてくださいね。

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