言葉の出始めから言葉がつながるまでのコミュニケーション

言葉の出始めから言葉がつながるまでのコミュニケーション

言葉の出始めから言葉がつながるまでのコミュニケーション

前回は言葉が出始める前に、どのような関わりをしてきたかについてご紹介しました。おもちゃや本を選択できるようになることで、自分の気持ちが伝えられるようになった子どもは、“ママに伝わらない(怒)!!”が減りました。当然、親子関係も楽になりましたね。そして、指さしで要求を伝えられるようになり、言葉の理解も広がっていき、いよいよ言葉を発するようになりました。

ただ、言葉が出るようになる前段階として、言葉の理解、言葉の貯金がたくさん必要です。しかし、貯金してある言葉は本当に少しずつしか話せるようになりません。話したいのにうまく話せないもどかしさを親子で感じる時期から、言葉をつなげて話せるようになる時期までの我が家での様子について、今回はご紹介したいと思います。

この頃、気をつけていた点は、次の6点です。

  1. 子どもの発した言葉にとにかく応じる
  2. 子どもの言葉や行動を真似する
  3. 言葉を伝えたり、ジェスチャーを見せる
  4. 子どもの気持ちや行動を言語化する
  5. 大人の気持ちや行動を言語化する
  6. プチお手伝いを頼む

2.4.5.はインリアル・アプローチの技法です。インリアル・アプローチについてはこちら

それぞれ一つ一つ解説していきます。

1.子どもの発した言葉にとにかく応じる

我が子の初めて話した言葉は「ママ」でした。寝る前、あまりのおっぱい欲しさに泣き叫ぶかのように言いました。嬉しかったのを覚えていますし、すぐに授乳タイムとなったのは言うまでもありません。子どもが話せるようになった後は、返事をする、欲しいものは渡す、やって欲しいことはする、というように応じるようにしました。物の名前の場合には、「〇〇なんだね」と声かけをしてから渡すようにしたり、“言葉でママに伝わっているよ”ということをフィードバックするようにしたり、少しだけ大げさに返すこともありました。子どもが“もっと話したい”という気持ちを抱けるように、そう思っていました。

2.子どもの言葉や行動を真似する

これは、ずっと継続して行っていたインリアル・アプローチの『ミラリング』『モニタリング』という技法です。言葉が話せるようになるためには、言葉の理解に加えて、口や舌を器用に動かせるようになることも必要です。まだまだ言葉にならない声も大人は真似をして、どんどん出してもらうようにしました。また模倣することも大事な力です(動きも言葉も)。まずは大人が子どもの動きを真似して、子どもが“大人の真似をしたい”と思うように仕向けていきました。話し始めたばかりの子どもに、「○○って言いなさい(真似しなさい)」と無理に真似させることは、私的には禁止!だと思っています。

3.言葉を伝えたり、ジェスチャーを見せる

子どもが話し始める前から物の名前を教えていましたが、この時期は語彙を増やしていくために、より幅を広げていきました。ただやみくもに教えていけばよいのではなく、子どもの興味・関心あるものを中心に、ということがポイントでした。これは、言葉がゆっくりなお子さんを持つ保護者の方にもアドバイスしていたことですが、子どもにとってわかることが大事で、わかって楽しいことが一番覚えるわけです(大人も一緒ですね)。食べ物が好きな子、車が好きな子、電車が好きな子、動物が好きな子、あるキャラクターが好きな子、それぞれに合わせることが大事なのです。

そして、できるだけ物の名前は実物と共に教えていくようにしました。絵本の読み聞かせは生後半年を過ぎてから日課になっていましたが、あくまでも実際の物を体験しながら理解することが一番で、難しい物は絵本や絵カードを使う、という認識で行っていました。

我が子は手遊びや動きの模倣があまり多くなかったため、ジェスチャーはいくつかしか示しませんでした。ただ、「もう一回」や「バイバイ」のジェスチャーを使うようになると、その言葉も出るようになってきたので、ジェスチャーは言葉を促すものだと実感しました。“言葉をつなげて話す”には、「ママ、ワンワン(いた!の意味を含む)」「ブーブー、あった」「ぴょん、する」のように名詞、動詞、形容詞がつながっていく場合があります。子どもの指さしに応じて物の名前と動き・様子の言葉を教えるようにしていきました。

4.子どもの気持ちや行動を言語化する

前述の3.にあるように、子どもに言葉を伝えることと重なる部分もありますが、大人が子どもの気持ちや行動を言葉で表すようにしました(インリアル・アプローチの『パラレル・トーク』)。物の名前だけでなく、動きのある言葉を話したり、言葉をつなげて話したり、自分の気持ちを伝えられるようになるためには大事なことです。“子どもの泣きが減るといいな”という大人の思いから「眠いね」「痛いね」「びっくりしたね」という言葉、“一緒に共感できると嬉しいな”という思いからは、「楽しいね」「嬉しいね」「あったね」等、よく用いていました。

5.大人の気持ちや行動を言語化する

インリアル・アプローチでは『セルフ・トーク』という技法ですが、言葉のレパートリーを広げていくために、大人が何をしているか言語化しながら行動するようにしました。特に、家事をしていて直接子どもの相手ができない時に。黙って家事をするよりも「ママは~しているよ」と声をかけることで、子どもにとっても、“気にしてもらえている”“~しているんだ”と思えるように、と期待していました。洗濯物を干す時には「タオル」「くつした」「シャツ」「ズボン」と言いながら、食器を洗う時には「スプーン」「おさら」「おちゃわん」と、調理する時には「にんじん、トントン」「おなべにいれて」等、本当によくしゃべっていました...

また、大人の気持ちについては、少し大げさに表情をつけて「嬉しい!!」「悲しい(涙)」「ママは嫌なの」と伝えるようにしました。自分以外の人の気持ちを理解できるようになるのは先ですが、少しずつ気付いていって欲しいという願いも込めていました。そして、子どもの行動を「ダメ」と注意するのではなく、“本当はこうして欲しい”という言い方をすること、“ママは危ないと思う”のような言い方をすることも頭の片隅に置いていましたね(どのくらい実践できていたかは、微妙な所ではありますが...)。

6.プチお手伝いを頼む

「プチお手伝い」と書くと大げさに聞こえるかもしれませんし、“この時期から?”と驚かれるかもしれませんね。難しいことではありません。ハイハイをしたり、伝い歩きをしたり、自分で歩いたり、と自分で動くようになったお子さんであればできます。よくある“タオル持ってきて”“ゴミ、ポイしてきて”“パパにどうぞして”ということです。言葉を理解しているかどうか確認するために、話始める前から行っていましたが、その種類を増やすようにしていきました。言葉をつなげて話すためにも、“物の名前+動きの言葉”の両方を理解して覚えておくことも大事になってきます。できて褒められると嬉しそうにしたり、誇らしげにしたり、と子どもの自信にもつながります。

コミュニケーションを育てる以外にも「プチお手伝い」の意味は大きく、我が家では色々とやってもらってきているので、また改めてご紹介したいと思います。

いかがでしたでしょうか?すでに皆さんが行っていることもたくさんあるかもしれませんが、新たなヒントとなったり、また、言葉が出始めた子どもパパが関わる時にできそうな事を提案したり、そうなると嬉しいです。

言葉が出て欲しい、増えて欲しいと思うのが親心ですが、その前提として、“伝えたい気持ち”“(言葉が出ない段階でも)通じ合う嬉しさ”をたっぷり実感することが大事だと思っています。言葉が出てからも、それが大事だということは変わらないはずです。振り返ってご紹介していますが、今の親子関係にも通じると改めて自分自身に言い聞かせて、また我が子に向き合いたいと思います。

斑目雅美先生

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