母乳の栄養はなくなっていく?

母乳の栄養はなくなっていく?

子どもが1歳を過ぎても授乳していると母乳の栄養はもはや全くなくなり、水みたいなモンだと言う人がいます。なかには、離乳食を開始する理由が母乳の栄養がなくなったからだと思いこんでいるママもいたりします。

定義上は、1歳のお誕生日を迎えると乳児から幼児に昇格です。なんの根拠もないけれど、なんとなくそろそろおっぱいとバイバイしなければならない時期に来たように考えられがちです。でも、おっぱい大好きな親子にとって、1歳になったからといって簡単に授乳をやめることなどできませんよね。

産後1週間ほどは、「初乳」と呼ばれる栄養と免疫物質たっぷりの特殊な母乳が分泌されます。その後、初乳は成乳に変化し、色も黄色から白へ変化していきます。母乳の成分は赤ちゃんの月齢に合わせて、赤ちゃんの必要な栄養量に合わせて微妙に変化していくんです。

首の据わっていない未熟な赤ちゃんには、それに適した成分の母乳が飲めるようになっているし、離乳食を食べている赤ちゃんにはそれに見合った栄養の母乳が飲めるように効率よく変化していくのです。わたしたちの身体はなにひとつ無駄なくいのちを育むことができるように機能するのです。

母乳は血液の加工品で、「白い血液」とも言われます。ママが食べたものが血液となり、それがさらに母乳になるのだから、栄養のない母乳などあるわけないんですよ。

母乳育児の子どもはあまり風邪を引きません。たとえ風邪を引いたとしても治るのが早くて助かります。産後何年経っても、授乳を続けているかぎり、どの時期の母乳にも免疫成分が含まれ続けるから母乳っ子は身体が強いのかもしれませんね。

他にも、身体を健康に維持するために必須な栄養素、ビタミンやミネラル、たんぱく質や脂質なども、母乳を通していつまででも、子どもに与え続けることができる仕組みになっています。赤ちゃんが成長し幼児になる頃、母乳だけでは補いきれなくなる栄養素(主に鉄)が出てきます。不足分は離乳食から摂取しましょうというのが、本来の離乳食の目的だと思います。なので、1歳になるまではろくに食べてくれずおっぱいばかり欲しがってもそれほど心配しなくてもいいと思います。

過去には厚生省は生後9ヶ月から1歳ぐらいでの断乳を勧めていましたが、現在は母子手帳から「断乳」の二文字が削除されています。母乳は子どもの身体の成長のための栄養であるのと同時に、心も健やかに育つための大切な栄養だという意味合いが重要視されるようになりました。

ユニセフ/WHOでは、母乳育児は2歳まで続けましょうと提言しています。メインの栄養は母乳。その補佐的な役割として離乳食を開始すればいいという考え方です。

長期間の母乳育児は子どもにとって絶対的な安心感と信頼感を得るためのホッとリラックスできる場所です。栄養がなくなるどころか、ママから離れて独り立ちする子どもの、精神安定剤的な意味があるのですね。

人は、身体だけではなく心も成長していくのです。母乳は子どもの心にも栄養を与え続けてくれます。

だから、離乳食を始めたからといっておっぱいをやめる必要はないし、1歳を迎えたからといってやめなければいけないものでもありません。ママと赤ちゃん両方が、満足するまで、いくらでも続けてかまいません!

子供がおっぱいから自然に離れていくその日まで、母乳育児を楽しんでくださいね。母乳の栄養がなくなることなんてことは絶対にありませんから♪

小林ひさこ 先生

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