陣痛促進剤によるトラブルについて

トラブルの可能性がある陣痛促進剤について

陣痛促進剤

赤ちゃんがママのおなかの中で成長するのは、40週。出産予定日を過ぎてもなかなか出てこない…出産予定日を過ぎたときや陣痛を起こさなくてはならなくなったときに使われるのが「陣痛促進剤」と呼ばれる薬です。過期産についてはこちら

陣痛促進剤というのは、その名前のとおり陣痛を促してお産をスタートさせたり、陣痛を進めるという力を持っています。先ほど述べたように、出産予定日を過ぎてもなかなか自然に陣痛が起こらないという場合に使われたり、陣痛がきたのになかなか進まない…という場合に使われます。赤ちゃんとママの出産をサポートしてくれる陣痛促進剤ですが、実は陣痛促進剤によるトラブルが起こることもあります。

昔に比べて陣痛促進剤が使われる機会が多くなった現在では、陣痛促進剤を使ったことによっておなかの中の赤ちゃんが仮死状態になってしまう…というトラブルが相次いだ時期がありました。なぜそんなことになってしまったのか、また現在使われている陣痛促進剤は本当に大丈夫なの?ということについても見ていきましょう。

陣痛促進剤の種類について

上でも少しお話しましたが、陣痛促進剤を使うことで、トラブルが相次いだ時期がありました。薬を使って陣痛を強制的に起こしていくということですから、強すぎる陣痛が起こってしまったり、一気に陣痛が起こるということが・・・。そのため、赤ちゃんにもママにも強い負担となってしまうことでトラブルになる…ということですね。陣痛促進剤ですが、実はいくつかの種類があります。

オキシトシン
もっともよく使われている陣痛促進剤で、最近では「幸せホルモン」としてもよくその名前を聞くようになりました。私たちの体の中でホルモンとしても分泌されているオキシトシンですが、実は陣痛促進剤としても使われるんです。
プロスタグランジン
注射薬・経口内服薬の2種類があります。内服薬の場合、飲んでしまうとその後は量が調節しにくいため、強すぎる陣痛が起こったりするなどトラブルになることも。

また、これらの陣痛促進剤を投与されたからといって必ずしも陣痛が起こるとは限りません。人によっては陣痛促進剤を使ってもなかなか陣痛が起こらなかったり、2~3日にわたって陣痛促進剤を使うことになる場合もあります。

陣痛促進剤によるトラブルについて

陣痛促進剤による具体的なトラブルについては、以下ようになっています。

過強陣痛(かきょうじんつう)

陣痛促進剤以外にも巨大児や軟産道強靭などの原因がありますが、陣痛促進剤によっても引き起こされることがある、強すぎる陣痛のことをいいます。過強陣痛について詳しくはこちら

子宮内圧(子宮が収縮する力)が強く、陣痛が起こる間隔も短い、さらに1回の陣痛がとても長いということが特徴です。子宮の収縮が強い上にその時間も長く、間隔が短いので赤ちゃんもママも休むヒマがありません。そのため、どちらの体にも大きな負担がかかってしまうことで、何らかの異常が起こりやすくなります。

胎児機能不全(胎児ジストレス)

過強陣痛をはじめ、何らかのトラブルから起こる赤ちゃんの危険のひとつです。たとえば強すぎる陣痛でぎゅうぎゅうと締め付けられた赤ちゃんが酸素不足になったり、へその緒やママの体に異常があった場合に赤ちゃんが酸素不足になります。そうすると赤ちゃんが低酸素状態になり、体の中に酸素が届かなくなるので臓器の働きも悪くなり、最悪の場合は赤ちゃんが死亡してしまうこともあります。

子宮破裂

全分娩の約0.1%に起こると言われている子宮破裂。こちらも、陣痛促進剤を使ったことによる過強陣痛が原因で起こることがあります。子宮破裂と聞くととても恐ろしい状態ではありますが、子宮破裂は「不全子宮破裂」と「全子宮破裂」に分けられます。

子宮破裂と聞くととても恐ろしい状態ではありますが、子宮破裂は「不全子宮破裂」と「全子宮破裂」に分けられます。

不全子宮破裂

子宮におこる裂傷が、子宮の壁にある筋層までのもの。その外側にある「漿膜(しょうまく)」までは裂傷が届いていない状態です。

全子宮破裂

子宮筋層、漿膜など子宮壁の全層に裂傷が起こってしまうため、子宮と腹腔(おなかの中)に血液や赤ちゃんが行き来できる状態になってしまいます。

このふたつの子宮破裂のうちほとんどは全子宮破裂だと言われていて、初産よりも経産婦の人がかなり多いと言われています。子宮破裂が起こる場所ですが、ほとんどは子宮頚管の上部や子宮の下部分に多いと言われています。ただ、帝王切開を経験している人など子宮に傷跡がある場合には、そこから子宮破裂が起こってしまうこともあります。帝王切開後の経腟分娩、VBACについてはこちら

どちらの子宮破裂の場合も、ママ・赤ちゃんともに危険な状態になってしまいます。特に全子宮破裂の場合にはママの大量出血と激痛によるショック状態に、そして赤ちゃんは子宮の外(腹腔)に出てしまうことで胎児機能不全になり、最悪の場合はどちらも死亡してしまうことがあります。万が一子宮破裂が起こった場合は、帝王切開で赤ちゃんをすぐに取り出してからママの緊急手術となります。この場合、不全子宮破裂ならば裂傷した部分の縫合で済むこともありますが、全子宮破裂の場合には子宮摘出となることも…。

微弱陣痛

過強陣痛とは反対に、陣痛が弱くなってしまいお産がストップしてしまうことをいいます。過強陣痛とは関係ないように思われますが、陣痛促進剤を使って過強陣痛になったり、長時間陣痛促進剤を使うことで子宮が疲れてしまうことで収縮が弱まってしまいます。微弱陣痛について詳しくはこちら

このように、陣痛促進剤を使うことで起こりうるトラブルというのはたくさんあるんですね。ママにも赤ちゃんにも危険がおよぶ可能性がある陣痛促進剤ですが、本当に使って大丈夫なのでしょうか…?

陣痛促進剤のマイナスイメージについて

ママのお産に対する希望、バースプランにおいて「陣痛促進剤を使わないで」という方が多くいらっしゃいます。バースプランについてはこちら

この原因ですが、先ほどのように陣痛促進剤によるトラブルがあるということ、さらに誤った使用量や使用方法によるトラブル、偏った情報などによって悪いイメージを持っているということにあります。たとえば、陣痛促進剤を使いながら赤ちゃんの心拍をモニタリングできる装置をつけるのは必須ですが、そういった手順を踏まず多く点滴してしまった…など、間違った使い方によるトラブルは避けることができますよね。

つまり、「陣痛促進剤=悪い薬」というわけではありません。

微弱陣痛でなかなかお産が進まないとき、予定日を過ぎてもなかなか陣痛が起きないときなど、ママや赤ちゃんの負担をやわらげる薬にもなるのが陣痛促進剤なんです。また、先ほど述べたようなトラブルが相次いだこともあって1992年・1993年に陣痛促進剤の最大使用限度量が改定されています。

それでもやっぱり不安が大きい…という場合には、このようなポイントをチェックしてみてください。

  • 陣痛促進剤を使う前に、医師が母体と赤ちゃんの状態を確認しているかどうか
  • 家族やママ本人にしっかりと陣痛促進剤の使用について説明をしているかどうか
  • 陣痛促進剤を使うときに分娩監視装置(モニター)などが使われているかどうか

この3つをチェックしておけば、万が一陣痛促進剤を使っている最中になんらかの異常があっても、すぐに対応することができます。

陣痛促進剤での出産、経験談

人によっては陣痛促進剤を使ったからといって陣痛がなかなかつかない(起こらない)人もいますし、逆にすぐに陣痛がきた!という人も。陣痛促進剤を使うと、自然に陣痛がつくよりも痛みが強い…ということも言われていますよね。実は、筆者も陣痛促進剤を使っての出産をした一人。しかも、3人目にして初めての陣痛促進剤の使用でした。

上の2人はほぼ予定日に生まれたのですが、3人目は予定日を過ぎても陣痛が来ず。上の子たちの行事や入院のスケジュールを考えて、予定日の2日後に陣痛促進剤を使っての誘発分娩となりました。

私の場合は当日に内診するとなんと6センチも子宮口が開いていたにもかかわらず、自然な陣痛が一向に始まらなかったので大変驚かれました。点滴で陣痛促進剤の投与が開始されると、10分ほどで陣痛がスタート。もともと子宮口が6センチ開いていたので割と強い陣痛が始まりました。上の2人は陣痛からのスタートだったので痛みを比べられましたが、陣痛促進剤のほうが痛い!ということは感じませんでした。

経産婦ということで子宮口の開きも早かったので、30分ごとに点滴量を増やされ、痛みも増し… 点滴開始から2時間半でのスピード出産となりました。とても安産だったのであまり参考にはならないかもしれませんが…ただ、やはり陣痛促進剤を使って陣痛を起こすということに不安は大きく、医師にもその点はきちんと説明してもらいました。特に経産婦のほうが過強陣痛になりやすいということでしたので、不安があるという方はしっかりと納得できるまで医師に説明を求めて、できるだけリラックスした状態で出産に臨んでくださいね。

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