実は意外と多い臍帯(へその緒)の異常について知っておこう

へその緒って、実はとっても重要だった!

へその緒の異常やトラブル

お母さんとおなかの中の赤ちゃんとをつないでいるもの、それは臍帯…いわゆるへその緒ですね。産まれてくるまでお母さんと一心同体だったということで、赤ちゃんとの絆を感じるもの、そして出産の記念としてその一部がお母さんに渡されることが多いと思います。赤ちゃんが大きく育つためには、このへその緒から渡される栄養が必要不可欠。つまり、へその緒になんらかの異常があった場合には赤ちゃんにも異常が起こってしまう…ということになります。へその緒のトラブルはあまり聞きなれないかもしれませんが、実はとても危険な状態になってしまうことが多いため、注意が必要となります。

へその緒ってどんな役割があるの?

臍帯(へその緒)は、太さは約2センチ、長さは50センチから60センチくらいになっていて、その中には2本の動脈と1本の静脈が流れています。その周りをワルトン膠質(こうしつ)というゼリーのようなものが満たしています。

ワルトン膠質というのは、胃腸や鼻、目の表面といった粘膜などを覆っているどろっとした物質、ムチンが含まれています。さらに、線維や肥満細胞が含まれていて、これらがへその緒の中を通る3本の動脈・静脈を守るクッション役をしていると考えられています。

赤ちゃんのおへそと子宮の中にある胎盤とをつないでいて、そこから酸素や栄養などを赤ちゃんに渡していき、逆に赤ちゃんの老廃物や二酸化炭素をお母さんに渡します。赤ちゃんは自分で老廃物や二酸化炭素などを処理することができないので、お母さんに渡して処理してもらう…というわけなんですね。出産後の赤ちゃんは自分で呼吸をして、自分の口で栄養を摂り始めるため、へその緒を切ってその役目を終えます。

へその緒のトラブル

赤ちゃんが育っていくためにとっても大切なへその緒ですが、さまざまな異常が起こり得ます。どのような異常やトラブルがあるのかを見て行きましょう。

過長・過短臍帯

先ほど、へその緒の長さは約50~60センチ程度だと言いましたが、長さが70センチ以上だと「過長臍帯」、逆に25センチ以下だと「過短臍帯」となります。へその緒は赤ちゃんに酸素や栄養を送る役割がありますが、長すぎるへその緒は上手に栄養などを運ぶことができなくなってしまいます。逆に、赤ちゃんも胎盤へと老廃物を送り返さなくてはなりませんが、心臓のポンプで血液を循環させて送り返すのですから、大きな負担がかかってしまいます。短いへその緒の場合、赤ちゃんはおなかの中を動き回ることが難しくなります。

また、いざ陣痛がきて出産!という場面になっても、へその緒が短くてなかなか赤ちゃんが下がってこられないという問題があります。そのため、出産が長引いてしまったり、微弱陣痛につながることもあります。

臍帯巻絡(さいたいけんらく)

よく、産まれてきた赤ちゃんの首にへその緒が巻き付いていた!ということを耳にしませんか?これは臍帯巻絡といって、赤ちゃんのどこかにへその緒が巻き付いてしまうことをいいます。ほとんどが首に巻き付いている状態で、全分娩の約2割ほどにみられるということです。多くは絡み方はゆるいものだったり、へその緒のワルトン膠質のおかげで血管が圧迫されることなく、特に症状もなく出産することができます。

しかし、臍帯が圧迫されることで血流が悪くなり、赤ちゃんに酸素が行きわたらなくなってしまいます。みるみる赤ちゃんの状態が悪化してしまうので、胎児機能不全(胎児ジストレスといいます)などとても危険な状態となります。臍帯巻絡についての詳細はこちら

臍帯下垂(臍帯脱出)

出産のとき、お母さんのおなかの中から出てくる順番としては赤ちゃん・へその緒・胎盤という順番になりますよね。しかし、このへその緒が明らかに赤ちゃんよりも先に出て来そうというときを臍帯下垂、出てきてしまった場合に臍帯脱出といいます。特に骨盤位、いわゆる逆子や横位の状態の赤ちゃんにみられることがあると言われていて、破水前にへその緒が卵膜を通じて透けて見えたり、内診でわかったときに診断されます。臍帯下垂の場合は、赤ちゃんもへその緒も羊水に浸かっているため特に圧迫されることはほとんどありません。

ですが、いざ破水してしまうとへその緒が先に出てきてしまい、その上から赤ちゃんがのしかかってしまうため臍帯が圧迫され、血流が一気に悪くなります。分娩時に臍帯下垂や臍帯脱出がわかった場合、緊急性が高いので帝王切開に切り替えられます。

臍帯結節

おなかの中の赤ちゃんは、羊水に浸かっていて自由に動き回ることができます。手足をバタバタと動かすだけでなく、ぐるぐると回ったり。しかし、その時まれにへその緒が絡まって結び目をつくってしまうことがあります。これを臍帯結節といいます。

結び目がゆるければ良いのですが、これが万が一ぎゅっと締まって血管を圧迫してしまったら、取り返しのつかないことになってしまいます。臍帯結節はごくごくまれなものではありますが、実際に赤ちゃんがおなかの中で突然死してしまい、原因が臍帯結節だったということも少なくありません。

万が一結節ができてしまっても、残念ながら処置することはできません。赤ちゃんが小さなころに結び目ができて、出産間近になり結び目が締まって亡くなる…というケースもあるようで、非常に恐ろしいものとなります。

また、臍帯結節には真結節と偽結節があります。真結節は先ほどのようにへその緒に結び目ができてしまったものをいいますが、偽結節のほうは臍帯が大きくなるときの異常となります。パッと見ると結節のように見えますが、実は部分的にワルトン膠質がこぶのようになっていたり、その中に血管がぐるぐると伸びて固まっていたりします。ですので、偽結節は本当にへその緒が絡まっているわけではないので特に問題はありません。

前置血管

妊娠中の危険な症状のひとつとして挙げられるのが「前置胎盤」です。前置胎盤についてはこちら

胎盤が赤ちゃんの出口をふさいでしまっていたり、出口にごく近いところにできてしまうことをいいます。これと同じく、へその緒から通じる血管が赤ちゃんの出口に面している状態を前置血管といいます。前置胎盤と同じように、破水したり内診のときの刺激によって大出血してしまう危険性があります。

卵膜付着

先ほども言いましたが、へその緒というのは胎盤にくっついているものです。まるで傘のように胎盤の真ん中あたりから伸びているものですが、ごくまれに胎盤の端の方についてしまったり、胎盤から外れたところ…つまり卵膜についてしまうことがあります。これを、卵膜付着といいます。

ごくまれな症状になりますが、もし卵膜に付着してしまった場合にはどうなるのでしょうか?普通は、へその緒の血管の周りはワルトン膠質で覆われていると言いました。ですが、卵膜についてしまった場合にはワルトン膠質で覆われなくなってしまうので、卵膜の下に潜り込むようにして血管が走ります。ワルトン膠質はクッションのような役割をしていますから、それがないということは赤ちゃんの胎動などで簡単に血流が圧迫されてしまうということになります。

ちょっとでも様子が違う場合、病院へ!

このように、へその緒の異常というのはとてもたくさんあるものなんです。出産のときに何らかの異常があったというとき、妊娠高血圧症候群などお母さん自身の問題はもちろんですが、胎盤やへその緒が原因だったということがよくあります。

また、これらは出産前に発見することが難しいものばかりとなっています。特に臍帯真結節は治療の手立てがなく、また発見も難しいためおなかの中で赤ちゃんが突然死してしまう原因のひとつとしても問題になっています。

そのほかにも、出産時にはたくさんのトラブルが起こりうるため、注意しておきたいものですね。分娩時に起こりうるトラブルについて知っておこう

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