母子手帳はすぐれモノ

母子手帳の正式名称は「母子健康手帳」ですが、省略して母子手帳と呼ばれることが多いようです。この母子手帳は実はとてもすぐれモノ。

母子手帳には 妊娠中から出産、乳幼児期~小学校入学ごろまでの必要な情報が1冊にまとめられています。それだけではありません。 ママがどんな人か知ってもらえるように、家族構成から病気の既往歴、ママのお仕事や妊娠前の身長体重。さらには家族の連絡先や住宅事情まで。妊娠が分かった時からの経過、どんな出産だったか、出血は多かったか。赤ちゃんが生まれた時の状態や、黄疸や呼吸状態などの経過。母乳で育ったのか混合栄養か。 歩き始めたのはいつごろで、予防接種はどこまで受けているのか…。産院によっては、貧血の程度を示す検査結果や、どんな検査を受けたかなどの記録もしてくれます。

母子手帳は日本が誇れる文化のひとつ。他国には母子手帳の文化はありません。始まったのは戦前1942年で、物資配給が優先されるための保障や、受診しやすくする目的で使われていました。そのため、このころの母子手帳はいたってシンプル。たった数ページだけのペラペラの冊子でした。現在のように、赤ちゃんの成長記録欄がつくられたのは1980年ごろからで、まだ最近のことです。

30年くらい前にインドネシア人の医師が母子手帳の素晴らしさに着目し、現在ではインドネシア・メキシコ・パレスチナでも配布されつつあります。しかし「妊娠したら誰もが持っている」のは、世界中で日本だけ。さすが、日本!

こんな便利な母子手帳、活用しなくてはもったいない。たとえば医師や助産師に診察・相談するときは持参してほしい。医師や助産師は、母子手帳を確認し、必要な情報をピックアップしながら頭の中でアセスメントしています。しかし時々、「母子手帳を忘れた」もしくは「ママが記載するページに未記入」のことがあるのです。

「母子手帳がない」もしくは「未記入」であれば、ママに確認するための時間がかかり、医師や助産師に相談できる時間が短くなってしまいます。医師や助産師がチェックしているのは、分娩経過や発育状態だけではありません。

たとえば母乳相談の場合、その方に合ったアドバイスをするためには「母乳指導に熱心な産院で出産したのか」「どのような授乳指導を受けていたのだろうか」は事前に知りたい情報です。しかしママに直接確認しても、その方にとってはその産院での体験がすべてですから「ふつうだった」と思っている。こちらが得たい情報にたどりつくまで時間がかかってしまいます。しかし、母子手帳を確認すれば一目瞭然。たとえばこんなページを確認しています。

  • 「出産の記録ページに助産師名が載っているか」←助産師が立ち会わず看護師だけの場合は空欄です。助産師が不足している産院の場合、授乳指導が手薄だった可能性が高いのです。
  • 「赤ちゃんの退院時の体重は、生まれた時よりも増えているか」←母乳指導の時間が短く、ミルク会社の指導が熱心な産院の場合、出生直後からミルクを追加するため生理的体重減少がありません。

母子手帳を確認ペラペラと確認すると、これら「母乳育児に熱心な産院で出産したのか」「どのような授乳指導を受けていたのか」について、大体の推測ができるのです。

そして、時々「大体覚えているから、母子手帳がなくても聞かれればこたえられる」と考えているママもいます。

しかし、「医師・助産師が知りたい情報」と、「ママが必要と感じている情報」は一致していないことが多いものです。たとえば、妊娠中毒症のママさんから母乳相談を受けた場合、以下の情報を確認しています。

  • ママの年齢
  • 妊娠前の体重
  • 出身地
  • 妊娠何週ごろから蛋白尿が出ているか
  • 妊娠前の仕事は立ち仕事だったのか
  • 出産時の出血量
  • 出産直後のママの血圧と体重

等々・・・

母子手帳には、これらの情報が全てちりばめられており、ペラペラとめくりながら1分弱で頭の中でアセスメントしています。

しかし母子手帳がない場合、ひとつずつ聞きながら確認しなくてはいけません。時には、こちらが知りたい情報と、ママが答えた方がいいと考える内容がずれることもあり、その場合はすべてを確認するのに最低でも10分以上かかってしまいます。もちろん医師や助産師のトーク力によっても変わりますが、必要以上の時間を要することは確かです。その時間がなければ、ママにより具体的なアドバイスを進められるのに…と、もったいなく感じるのです。

また、ママが記載するページが未記入の場合も確認しなくてはいけません。たとえば、家族の名前が書いていない。たとえば、妊娠前の体重や結婚年齢が書いていない。たとえば、職業欄が書かれていない。

このような情報は「ママの健康や育児のアドバイスに必要なことがある」から記入欄があるわけで、個人的な好奇心から知りたいわけではありません。しかしその情報が、時には相談内容に関係なく、カルテ記載上確認しているだけのこともあります。

しかし未記入の場合は、「どんな漢字を書くのですか?」「ここに書いてもらえますか?」「ご主人は何歳ですか?」と確認しなくてはいけません。

このように、「母子手帳を忘れた」「空欄のページがある」場合、確認するための時間がかかり、「この時間がもったいないな」と感じるのです。決して、確認の労力を惜しんでいるわけではありません。限られた時間の中で、もしこの時間がなければ、「もっと具体的なアドバイスができたのに」と、歯がゆく感じるのです。

たった1冊に、必要な記録や情報がギュッと凝縮されているすぐれモノの母子手帳。医師や助産師に相談する限られた時間の中で少しでも自分に合った有益なアドバイスを得るためにも、持ち歩くことをお勧めします。そして、未記入のページがあればご自身で記載をお願いいたします。ママと赤ちゃんの記録・情報がギュッと凝縮されている母子手帳を大いに活用してくださいね。

こちらも合わせてご覧下さい母子手帳の受取方、見方、母子手用ケースの紹介

執筆者:さら助産院 直井亜紀

直井亜紀先生の母乳育児コラムはこちら

妊娠中のママに役立つページ

  • 妊娠中の過ごし方-月別・週別
  • 妊娠中知っておきたい知識
  • 出産について
  • 仕事をしているママ
  • 妊娠中のトラブル
  • 妊娠関連情報ページ

妊娠中に知っておきたい基礎知識について

妊娠中の基礎知識


注目ページ!

新着記事

世界の子育て事情や体験談、話題の動画を配信赤ちゃんの部屋エンターテイメント 赤ちゃんの部屋エンタメ(エンターテイメント)のすべての記事 妊娠したらマタスタ マタスタのすべての記事
出産したらママスタ ママスタのすべての記事 パパになったらパパスタ パパスタのすべての記事
妊娠・出産・育児コラム
赤ちゃんの部屋コラム

赤ちゃんの部屋コラム

妊娠、出産、育児にはいろいろな悩みや疑問、発見や不思議、喜びや驚きなど今まで知る事のなかった世界があります。目からウロコが出るような妊娠・出産・育児に関するコラムをお届けしていきます♪

赤ちゃんの部屋コラム
母乳育児コラム

母乳育児コラム

あき助産師と助産院ばぶばぶ院長の小林ひさこ先生による母乳育児コラム。母乳育児を始める頃から卒乳までに役立つ様々な情報満載で、母乳育児の疑問や悩みを解決してくれます。

母乳育児コラム
イヤイヤ期コラム

イヤイヤ期コラム

NLP心理学を学び、一時保育所で働きながら100人以上のイヤイヤ期の子供の行動パターンや心理状態を日々観察することで、イヤイヤ期の対応法を体系化したイヤイヤ期専門家の西村先生によるコラム。

イヤイヤ期コラム
ベビーサインコラム

ベビーサインコラム

一般社団法人日本ベビーサイン協会代表理事の吉中みちる先生によるベビーサインコラム。手や指を使ったベビーサインのコミュニケーション手段を覚えて赤ちゃんとコミュニケーションをとりましょう!

ベビーサインコラム
マタニティ整体と産後の整体コラム

マタニティ整体と産後の整体コラム

マタニティ整体と産後の整体について助産師・看護師・ママズケア認定ベビーマッサージ講師・アラウンドバースセラピスト・受胎調節実施指導など様々な分野で活躍する佐藤先生が詳しく解説するコラム。

マタニティ整体と産後の整体コラム
産後の骨盤調整・尿漏れ・便秘・ダイエットに効くエクササイズ

産後のエクササイズコラム

Beauty Space代表、日本マタニティフィットネス協会ママフィット認定インストラクターの荻野則子先生による産後の骨盤調整・尿漏れ・便秘・ダイエットに効くエクササイズを動画でわかり易く解説。

産後のエクササイズコラム
ベルタ葉酸サプリ ベルタ妊娠線 ベルタ酵素
ベビーマッサージコラム

ベビーマッサージコラム

ははこぐさ治療室院長の奥山麻理先生と助産師・保健師・看護師の石坂晶先生によるコラム。お2人が紹介するベビーマッサージはママズケアのメソッドで、1日1回30秒から始められるベビーマッサージ。

ベビーマッサージコラム
ベビーマッサージコラム

ベビーマッサージコラム

RTA指定スクールでぃんぷる代表の関本涼子先生とRTA指定スクールPoco a Poco代表の吉野陽子先生によるコラム。生まれたての赤ちゃんと最初の意思疎通、それは肌と肌を通じて行うタッチケア。

ベビーマッサージコラム
絵本の読み聞かせコラム

絵本の読み聞かせコラム

愛着形成に大変効果的とされる絵本。絵本の選び方や絵本の読み聞かせの効果、読み聞かせ方のコツやオススメの絵本などを絵本の読み聞かせ専門家の平松祐美子先生が紹介。

絵本の読み聞かせコラム
小児歯科医が教えるマイナス1歳(妊娠中)からの虫歯予防

小児歯科医が教えるマイナス1歳(妊娠中)からの虫歯予防

「ムシ歯ゼロで元気なお口」を育むために、マタニティや0歳の赤ちゃんの頃からできることを、小児歯科の専門家としてお伝えするコラム。

虫歯予防コラム
子どもとのコミュニケーションや発達障がい

子どもとのコミュニケーションや発達障がいのお子さんとの関わり方

コミュニケーションや発達障がいのお子さんとの関わり方について臨床発達心理士の斑目雅美先生が子育て実践例を交えて解説。

臨床発達心理士コラム
お腹の中の赤ちゃんと絆作りコラム

お腹の中の赤ちゃんと絆作り

臨床心理士の飯島ゆみこ先生によるお腹の中の赤ちゃんと絆作りコラム。おなかの赤ちゃんとママとの絆を深め、子育ても楽しめるようになるヒントを臨床心理士の視点からお伝えしていきます。

臨床心理士コラム
~幸せのレシピ~人間関係トレーナー高島大のコラム

人間関係トレーナー高島大のコラム

人間関係トレーナー高島大による身近で大切な人との幸せな関係を築く情報コラム。大切な人と幸せな関係を築ける『考え方』と『心の習慣』を『言葉』にして贈らせて頂きます。

幸せのレシピコラム
抱っこの専門家が伝える楽な抱っことおんぶのお話

楽な抱っこやおんぶの仕方

抱っこの専門家が楽な抱っこやおんぶの仕方から腱鞘炎・腰痛などの問題まで詳しく解説!乳幼児期の抱っことおんぶを、より快適に、気持ちよく、自由に楽しめるポイントを学びましょう。

楽な抱っこやおんぶの仕方
言葉を覚えるのが遅い子どものコミュニケーションや発音を育てるトレーニング

言葉を覚えるのが遅い子どものコミュニケーションや発音を育てるトレーニング

「周りの子に比べてことばが少し遅い」「コミュニケーションがうまくいかない」そんな悩みを解決するコミュニケーションや発音を育てるトレーニングコラムです。

言語聴覚士コラム
子どもごはん

偏食・食べないを乗り切るご飯作り

偏食の子も食べない子も悩まないごはん作りを子どもごはんの専門家、美紀ピア先生が教えます。子どもごはんをサポートする食セッションで食の大切さを学びましょう。

子どもごはんコラム