妊活や妊娠中は「葉酸」という言葉をよく聞きます。
おなかの赤ちゃんのために絶対必要! と、まわりから葉酸サプリをおすすめされたひとは多いのではないでしょうか?
とはいえ、「そもそも葉酸のはたらきが分からない」というひとは多いものです。
妊娠中は栄養を十分に摂りたい時期ですが、葉酸サプリやビタミン剤を飲み合わせてよいのか気にしている女性は少なくありません。
そこで今回は、葉酸のはたらきやビタミンとの関係性について解説します。
葉酸はビタミン類の仲間

葉酸は「水溶性ビタミン」「ビタミンB群」の仲間です。
全部で13種類あるビタミンは、水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンに分けられます。
水溶性ビタミン | 水に溶けやすく熱に弱い性質がある |
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脂溶性ビタミン | 油脂に溶けやすい性質がある |
葉酸は水溶性ビタミンに分類されるビタミンB群に含まれています。
ビタミンB群とは?
ビタミンB群は、葉酸を含む8種類の栄養素があります。
ほかの栄養素の代謝を促進して、エネルギーを産生するサポートをします。
ビタミンB1 | 疲労回復効果 |
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ビタミンB2 | 皮膚や粘膜の健康維持 |
ナイアシン(ビタミンB3) | 脂質や糖質の分解に関わる |
パントテン酸(ビタミンB5) | たんぱく質や糖質、脂質の代謝をおこなう |
ビタミンB6 | 皮膚や粘膜の健康維持 |
ビタミンB12 | 造血作用・貧血予防 |
葉酸 | 新しい細胞を作り出すのに必要 |
ビオチン | 皮膚の健康を維持する |
水溶性ビタミンであるビタミンB群は尿と一緒に排出されるため、体内に貯蔵できず毎日摂取する必要があります。
葉酸は体内に留まらず排出されるため過剰症になりにくいいっぽうで、欠乏症をおこしやすく悪性貧血をまねく可能性があります。
ビタミンB群は相互に作用しあい、身体の健康を守る栄養素です。
それぞれのビタミンに固有のはたらきがあるため、葉酸に限らずビタミンB群全体をバランスよく摂取するように心がけましょう。
葉酸のおもな働きとは

ビタミンB群に属する葉酸は、次のようなはたらきがあります。
- DNAなどの核酸をつくる
- 血液をつくる
葉酸はDNAなどの核酸をつくり、タンパク質や細胞をうみだす作用があります。
赤血球の形成を助ける働きがあり、胎児の正常な発育に欠かせない栄養素です。
妊婦さんや胎児に欠かせない葉酸は欠乏すると、貧血や胎児の先天異常をまねくリスクがあります。
葉酸はDNAを合成して細胞分裂をうながす働きがあるため、不足すると神経障害がおこる危険性があります。
とくに妊娠初期は葉酸が欠乏すると、胎児の神経管閉鎖障害やダウン症のリスクが高まります。
ビタミンB12とともに悪性貧血を予防する
妊娠中、貧血に悩む妊婦さんは多くいます。
貧血の原因でよく知られるのは、鉄分不足による「鉄欠乏性貧血」ですが、貧血の原因は鉄分だけではありません。
葉酸・ビタミンB12にはともに血を作る働きがあるため、これらの不足は、悪性貧血(巨赤芽球性貧血)の原因になります。
足りていない栄養素を見極め、食事やサプリメントで補充していきましょう。
また、ビタミンB12には葉酸の吸収率をあげる働きがあるといわれています。
一緒に飲むことで相乗効果も期待できるので、別々のサプリメントで摂るよりも同時に摂取できるサプリを選びましょう。
妊娠中の葉酸必要摂取量は通常時の2倍
厚生労働省によると、一般成人の葉酸推奨摂取量は240μg。
この量は、バランスのとれた普通の食生活を送っていれば、クリアできる量といわれています。
しかし、妊娠中の女性となると話は別です。
妊婦さんの摂取目安量は、一般人の倍である480μg*です。
野菜などの食品でとるには限界があり、サプリメントで1日400μgを補うことが推奨されています。
大量に葉酸が必要となる妊娠中は、サプリメントをうまく利用して葉酸を摂取する必要があるのです。
*μg=マイクログラム(1mg=1000μg)
ビタミンB6とともにつわりを緩和させる
つわりは、ほとんどのママが経験します。
何を食べても吐いてしまい、体重はがた落ち…きちんと栄養が摂れているのか心配になる妊婦さんは多くいます。
また、つわりを経験したことがない周りの人に理解してもらえない場合には、余計しんどいでしょう。
つわりを軽くするためにとくに摂りたい栄養素は、葉酸とビタミンB6です。
つわりでなかなか食べられないかたは、葉酸サプリで補いましょう。
選ぶポイントとしては、ビタミンB6が含まれているサプリや、粒が小さかったり、ニオイがない飲みやすいものがオススメです。
他のサプリメントを併用しなくてもいいように、葉酸が400u(厚生労働省からの推奨量)含まれているものを選びましょう。
もっとビタミンB6の重要性について知りたい方は、こちらの記事がオススメです。
ビタミンCと亜鉛は葉酸のはたらきを助ける
ビタミンB群以外にも、葉酸のはたらきを助ける栄養素があります。
亜鉛は葉酸を体内に吸収するのに必要なミネラルです。
食物中から摂取できるポリグルタミン酸型葉酸は、酵素のはたらきで体内に吸収されやすいモノグルタミン酸型葉酸に変換されます。
モノグルタミン酸型葉酸に変換するのに必要なコンジュガーゼという酵素のはたらきを助けるのが亜鉛です。
ビタミンCは、葉酸の吸収を助けます。
ただし、ビタミンCは過剰摂取しないようにしましょう。
ビタミンCの過剰摂取は下痢を引き起こす可能性があります。
そのため、葉酸とビタミンCを一緒に摂る場合には、知らないうちにとり過ぎないよう、ひとつの葉酸サプリで同時に摂取することをオススメします。
葉酸はうつ病改善効果も
国立国際医療センターによると、葉酸には、うつ症状をやわらげたり、予防する効果もあるようです。
同センターが示唆する研究結果からは、葉酸が不足すると、神経伝達物質である“モノアミン”が相乗的に不足し、これによってうつが発生するという仮設が成り立ちます。
調査によると、うつ症状のある人のうち80%が葉酸不足に該当。
治療に際しても、薬と同時に葉酸をとるようにしたほうが、薬単体よりもうつ症状の改善があらわれやすいようです。
葉酸には、自律神経を整えるはたらきもあるようですから、オンオフの切り替えがうまくできずに不調になっているような人にも効果があるといえます。
葉酸の効果について、詳しくはこちらの記事も合わせてご覧ください。
葉酸サプリとビタミン剤を同時に飲んでも良い?

妊活中や妊娠中に必要な栄養素は、葉酸だけではありません。
体や胎児に気をつかってサプリメントやビタミン剤など、さまざまな栄養素を摂りたいと考えている妊婦さんは多いでしょう。
とはいえ、いろいろなサプリやビタミン剤を同時に摂るのは心配です。
葉酸サプリとビタミン剤の飲み合わせについて解説します。
基本的に飲み合わせは問題なし
ビタミンB群は相互に働きあう作用があるため、飲み合わせに注意が必要な栄養素はありません。
とはいえ、サプリやビタミン剤の飲み合わせによる過剰摂取や添加物の摂りすぎに注意が必要です。
飲み合わせで上限量を超えて摂取していないか注意
ビタミンの中には摂取量に上限がなく、過剰に摂取しても尿などで排出されるものもあります。
しかし、上限量が決まっており、過剰摂取につながる栄養素も存在します。
いくつかのサプリやビタミン剤を併用して飲む場合は、どちらにも含まれる成分を過剰摂取していないか確認する必要があります。
上限摂取量や、それぞれのサプリの成分を把握していないといけません。
それは大変ですよね…。
添加物の摂りすぎに注意
過剰摂取にはならなくても、添加物を摂り過ぎてしまう心配もあります。
何種類ものサプリをとれば、それだけ添加物の摂取も避けられません。
添加物は、赤ちゃんのためにはできるだけ避けたいところです。
欲しい栄養をとりつつも、「過剰摂取にならない・添加物を摂り過ぎない」ためには、どのようにサプリを選べばよいのでしょうか?
飲み合わせの心配を減らす!おすすめの葉酸サプリは?

一緒に摂取したいサプリの成分を一つひとつ書き出して、計算して…となると、かなりの労力を使います。
たくさん栄養素が含まれる良質な葉酸サプリは、コストがかかっているぶん、不要な添加物が少なくて済みます。
ちなみに、厚生労働省もサプリメントの併用は薦めていません。
なぜなら、自分に合ってないサプリを飲んで体調を崩しても、どのサプリが原因かわからないからです。
大事な身体に毎日摂取するわけですから、含まれている成分にはこだわりたいというのが多くの方の本音でしょう。
妊娠中摂取NGの成分が入っておらず、かつ他のサプリと合わせて飲まなくても、きちんとビタミンも摂れる葉酸サプリは、下記の記事に「おすすめしたい葉酸サプリ」としてまとめています。
ぜひチェックしてみてください。
必要なビタミンが同時摂取できる葉酸サプリを選ぼう

妊活や妊娠中は葉酸だけではなく、さまざまな栄養素が必要です。
ビタミン剤やサプリメントの併用は成分の重複で過剰摂取や添加物のとりすぎにつながる可能性があります。
また別々のサプリを同時に飲んでいると自分の体に合わなかったときに、どのサプリが原因か分からなくなってしまいます。
そのため、厚生労働省はサプリの飲み合わせを推奨していないのです。
葉酸やビタミン類がバランスよく含まれた葉酸サプリを上手に活用していきましょう。