【医師監修】パパに知っていてほしい!普通分娩から緊急帝王切開になるのはどんな時?

妊娠中の経過に何らかの問題があり、あらかじめ帝王切開でお産すると決定している場合や、お産の途中で帝王切開になることがあります。

「手術」というとちょっと不安が大きいかもしれませんが、帝王切開の安全性はかなり高いと言われており、赤ちゃんとママに負担がなく、安心して出産できるんです。

「帝王切開」はどのような場合に行われるのか、どのようなリスクがあるのかを見ていきましょう。

帝王切開ってどんな手術?

経膣分娩(自然分娩)が難しいと判断されたときに、ママのおなかを切開して、子宮から直接赤ちゃんを取り出す手術のことをいいます。

帝王切開は大きく分けて2種類のものがあります。

1つは妊娠中から決まっていて計画的に行う「予定帝王切開」。 

もう1つは、何らかの事情でママと赤ちゃんが危険と判断された場合に行う「緊急帝王切開」があります。

どんな時に帝王切開になるの?

上でも少しお話したように、帝王切開には「予定帝王切開」と緊急時に行う「緊急帝王切開」があります。
それぞれ、どのような場合に行われるのかを見ていきましょう。

予定帝王切開の場合

まず、予定帝王切開の場合は下記のようなケースがあります。

多胎妊娠

多胎妊娠は、2人以上の赤ちゃんを同時に妊娠することをいいます。
ちなみに1人の赤ちゃんを妊娠することを単胎妊娠といいます。

双子の場合は赤ちゃんの位置によって自然分娩も可能ですが、赤ちゃんと母体の状況によって帝王切開での分娩が決まることがあります。

前置胎盤・低置胎盤

普通は子宮内の上の方にできる胎盤が、子宮口の全部または一部を覆ってしまう位置にある状態のことを前置胎盤といいます。
また、低置胎盤の場合は、子宮の下の内子宮口から2cm以内の位置についている状態をいいます。

このような場合も出産の際にリスクが伴うため、帝王切開での出産になります。

妊娠高血圧症候群

妊娠によりママの血液量が増加し、血管への負荷が大きくなる為血圧が上がってしまう病気です。
妊娠高血圧症候群の方は、子宮や胎盤などの血流が悪くなる為、赤ちゃんは酸素や栄養が不足してしまうことがあります。

その為、一刻も早く赤ちゃんを取り出さなければ行けないと判断された場合に帝王切開の予定が組まれることがあります。

逆子

赤ちゃんはお腹の中で頭を下にしていますが、何らかの理由があって頭を上にしている場合がありこれを「逆子(さかご)」とよんでいます。

逆子の場合でも、赤ちゃんの体勢によっては自然分娩が可能な場合もありますが、帝王切開でしか取り出せない場合もあります。

児頭骨盤不均衡

ママの骨盤の形や大きさと、赤ちゃんの頭の大きさが合わないことがあります。
これを「児頭骨盤不均衡」といいます。
出産前に、あきらかに自然分娩は無理だと判断された場合は予定帝王切開になります。

ママが感染症にかかっている場合

ママが性器ヘルペスやエイズ(後天性免疫不全症候群)にかかっている場合、赤ちゃんへの感染を防ぐ為に帝王切開となります。

40歳以上の初産の場合

出産に必要な筋肉の柔軟性が失われていたり、子宮口が固くて開きにくいという理由から妊娠経過で特にトラブルがなくても帝王切開が選択されることがあります。

過去のお産が帝王切開だった

過去の出産で帝王切開で出産した経験がある場合、基本的にはその後も帝王切開で出産となります。
自然分娩が可能な場合もありますが、子宮破裂という大きなリスクを抱えての出産となります。

緊急帝王切開の場合

次に緊急帝王切開となるケースについてあげていきます。

逆子

さかごで予定帝王切開前に破水した場合は緊急帝王切開になります。

遷延分娩

お産が始まってから、初産婦では30時間、経産婦では15時間以上かかっても赤ちゃんが産まれないことを遷延分娩といいます。
これ以上お産に時間がかかってしまうと、赤ちゃんの命に影響が出てくるため、緊急帝王切開で少しでも早く赤ちゃんを出してあげます。

回旋異常

赤ちゃんが狭い産道を通るために、あごを引いて体を縮め、何度か向きを変え、回転しながら進んでいくことを「回旋」といい、この回旋がうまくいかず、うまく産道を通ることができない状態を「回旋異常」といいます。

回旋異常が起こると、産道の途中で止まってしまい、赤ちゃんの命が危険にさらされてしまいます。
その為、分娩途中で回旋異常が認められた場合は緊急帝王切開となります。

常位胎盤早期剥離

赤ちゃんは胎盤を通じて栄養や酸素をもらっていますが、胎盤は通常、分娩後15~30分程度で自然に子宮から剥がれて外に出てきます。

ところが、何らかの理由で、赤ちゃんがまだお腹の中にいる妊娠中や分娩中に、胎盤が子宮の壁から剥がれてしまうことを常位胎盤早期剥離といいます。

常位胎盤早期剥離が起こってしまうと、ママが大量出血を起こしてしまい、ママの命に危険が及びます。
その為、一刻も早く処置をしなければいけないために緊急での帝王切開が必要となります。

胎児心拍異常

お腹の赤ちゃんの心拍が、早かったり遅かったりする異常を指します。
妊娠36週頃になると、ママは病院でNST(ノンストレステスト)を受け、おなかの赤ちゃんが元気かどうかを調べ、異常が見つかった場合は緊急帝王切開になることがあります。

子宮内感染が心配されたとき

子宮内感染は、前期破水や細菌性膣症から胎盤を通して赤ちゃんにも感染します。

子宮内で感染を起こすと、赤ちゃんの状態が悪くなるので、早急に赤ちゃんを取り出します。

過強陣痛で子宮破裂が疑われるとき

過強陣痛は、子宮口や産道が収縮しており、開ききっていない状態でお産が進むことです。

子宮口や産道が開いていない状態でお産むが進むと、子宮破裂を起こす可能性が若干ですがあります。

子宮破裂を起こすと、母子ともに危険な状態となるので、帝王切開をして赤ちゃんを取り出します。

臍帯脱出

赤ちゃんよりも先にへその緒が出てしまうことです。
へその緒が圧迫されて赤ちゃんが酸欠状態になってしまう危険があるので、臍帯脱出が確認された場合は、緊急帝王切開を行います。

胎児機能不全

何らかの理由で、赤ちゃんの心拍が急激に低下してしまいとても危険な状態の事をいいます。
自然分娩を続ける余裕がないのですぐに帝王切開に切り替えます。

軟産道強靭

軟産道の筋肉が硬く、子宮口が開かないことを「軟産道強靭」といいます。
子宮口が開かないことには自然分娩が出来ませんので、子宮口をやわらかくする薬が効かない場合は帝王切開になります。

帝王切開で出産する事のリスクとは?

帝王切開には以下のようなリスクがあげられます。

  • 長時間ベッドで寝たきりになる為、肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)のリスクがある
  • 次の出産で自然分娩を選択した場合に子宮破裂の恐れがある
  • 麻酔薬が合わず、ショック状態になる方が稀にいる
  • 帝王切開での出産回数が増えるほど、子宮摘出や癒着胎盤の可能性が高まる
  • 帝王切開の傷口がはっきりと残ってしまう
  • 出産後数日は、赤ちゃんが新生児一過性多呼吸になる事がある

帝王切開後は、傷口が傷むため、長時間同じ体勢で過ごすこともあり、肺血栓塞栓症(別名:エコノミークラス症候群)のリスクが高まります。

着圧・弾性ストッキングを着用し、圧迫することで血栓を作らないよう予防していきます。

帝王切開後は早期離床をこころがけましょう。

上でもお話した通り、帝王切開で出産すると、次回自然分娩で出産した際に子宮破裂の恐れがあります。
また、回数を重ねるごとに、子宮摘出や癒着胎盤の可能性が高まってきます。

帝王切開での出産になったママへの接し方

自然分娩で頑張ろうと思っても医師から突然「帝王切開でのお産になります」と告げられるとママは驚きとショックを隠しきれません。

自然分娩をイメージして準備を整えているので、まさか自分が帝王切開になるなんて・・・と、予想や心の準備も出来ていなくて「自然分娩ができないことに対しての後悔」「麻酔や手術への不安」 「傷口への不安」など、沢山の不安や喪失感が一気に押し寄せてきます。

そんなママに対してパパができることは、精神面をしっかりサポートしてあげる事!自然分娩でも帝王切開であっても出産は命がけ!大仕事なんです。

帝王切開には理由がある

お姑さんやパパから「帝王切開だったから楽でよかったね」と言われ、心を痛めるママさん達がいらっしゃいます。
お産に「楽」という事はありません。

「帝王切開=ママまたは赤ちゃんの命に危険にさらされた」という事です。
医師は必要のない場合に帝王切開を選択する事はありません。

帝王切開をせざるを得ないという判断を下されたという事は、自然分娩で出産するママ達よりも危険な状態にあるという事を頭に入れておきましょう。

命を懸けて帝王切開に挑んだママ達にかけてあげるべき言葉は「楽で良かったね」ではありません。
「ママも赤ちゃんも無事で本当に良かった」「本当にありがとう」「お疲れ様」という言葉が必要だと思います。

帝王切開が生まれて初めての手術だというママも少なくはありません。
ママの不安を和らげてあげ、前向きにお産に臨めるようしっかり支えてあげてください。

5人に1人が帝王切開でのお産になっている中で、帝王切開に対する偏見はなくなりません。
どんな産み方になっても、ママは「パパとの大切な赤ちゃん」を命を懸けて出産してくれます。

不安や苦しみや痛みに耐えて頑張ったママを出産後は「がんばったね、よくやったね」「ありがとう」など沢山褒めて、労いの言葉をかけてあげましょうね♪

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