妊娠11週目は妊娠3ヶ月最後の週です。
個人差はありますが、つわりのピークを迎えるママが多いいっぽう、つわりが終わるママもいます。
また、ホルモンの影響を受け、ママの心身ともに変化が起こります。
妊娠11週目のママと赤ちゃんの変化や、出血や腹痛があるときはどうしたらいいのかなど、この時期に気をつけたほうがよいことをまとめてご紹介します。
妊娠11週目のママの変化について
妊娠11週目はママの体調に、どのような変化があるのでしょうか。
つわりの具合やメンタル面に変化も
妊娠11週目では、つわりがピークになるか、人によっては落ち着いてくる人もいます。
つわりがつらいときは、食べられるものを食べましょう。
つわりが軽くなると、いつも以上に食欲がわいてくることも。
妊娠高血圧や、妊娠糖尿病などに気を付けて、食べ過ぎにならないようバランスのよい食事をとりましょう。
つわりの原因はホルモンバランスの影響やアレルギー反応など、いくつかの説があります。
また、妊娠中のホルモンバランスの変化はメンタルにも影響を及ぼします。
気持ちがブルーになる、ささいなことでイライラするなど不安定になるケースも。
あまり深刻にならずにゆったりとした気持ちで過ごすとよいでしょう。
お腹やバストに変化が
この時期、お腹の大きさはまだ小さいようです。
体型はあまり変わらなくても、下腹部や胸がつっぱるような感覚があるママもいます。
子宮の大きさの変化や子宮の収縮が影響しているようです。
服などであまりを締め付けないほうがよいでしょう。
胸が張るのは黄体ホルモンの分泌される量が増え、乳腺が発達することが原因といわれています。
サイズにゆとりがあるハーフトップやマタニティブラをつけると痛みが軽減する場合があります。
寝るときには横向きになるのも、対策のひとつです。
また、妊娠11週目頃には以下の変化が起こることがあります。
- 乳首が黒ずむ
- 正中線が目立ってくる
- お腹の毛が目立ってくる
黄体ホルモン(プロゲステロン)や卵胞ホルモン(エストロゲン)が皮ふや体毛に影響するようです。
対処法はありませんが、産後は少しずつに元に戻りることがほとんどです。
妊娠11週目の赤ちゃんの変化
妊娠11週目の赤ちゃんは胎芽から胎児へ「ヒト」として成長し、胎内で動きはじめます。
赤ちゃんの変化をみていきましょう。
ママのお腹の中でおこっていること
妊娠11週目の子宮は、握りこぶしくらいの大きさです。
胎盤ができあがりに近づいてきます。
はじめは「卵黄のう」から、赤ちゃんへ栄養が送られていました。
「卵黄のう」は受精卵から作られる小さな袋のようなものです。
胎盤がつくられ、だんだんと「絨毛(じゅうもう)」から赤ちゃんへ栄養が運ばれます。
赤ちゃんの成長について
赤ちゃんの身体は3頭身に成長しています。
妊娠11週目の赤ちゃんはおよそ5~9cm
赤ちゃんは5~9cmの大きさになり、体重は20~30gでイチゴくらいの重さです。
この頃に赤ちゃんの大きさを測定した結果で、出産予定日が修正されることもあります。
内臓ができ、尿を出す
妊娠11週目は赤ちゃんの内臓は土台ができあがり、肝臓や腎臓、胃が働きはじめます。
赤ちゃんは羊水を飲んで尿を出すサイクルを、繰り返しおこないます。
妊娠11週の終わり頃までが赤ちゃんの「器官形成期」です。
赤ちゃんの身体は3頭身へ
妊娠11週目で赤ちゃんの身体は3頭身になり、お尻にあったしっぽがなくなります。
しっぽは尾骨の延長といわれています。
皮ふの階層や手足の指、爪が作られはじめます。
赤ちゃんの性別はまだわかりませんが、男女それぞれの生殖器が形成されます。
歯や唇、まぶたといったパーツができ、顔がはっきりしてくるのもこのころです。
妊娠11週目のエコー写真はどう見える?心音は?
妊娠11週目のエコー写真は、発達した赤ちゃんの背骨や手足が見えるようです。
ママのお腹の中で身体を動かし、脚を交互に動かし歩くようなしぐさを見せることも。
このしぐさを原子反射といい、反射行動のひとつです。
エコー検査では赤ちゃんの心拍がしっかり見えることが多いようですが、心音は聞きとれないケースもあります。
妊娠11週にできる出生前診断
妊娠11週に受けられる出生前診断は以下です。
胎児超音波スクリーニング(NT)
胎児超音波スクリーニング(NT)は、ダウン症などの染色体異常や心臓病の確率を調べます。
超音波を使用して、赤ちゃんの頸部浮腫(けいぶふしゅ)というむくみががあるかをみる検査です。
調べる場所は、赤ちゃんの首の後ろです。
むくみの厚さによってダウン症などの染色体異常や心臓病の確率がわかります。
とはいえ、赤ちゃんのむくみは、その後の再検査で正常な厚さに戻るケースもあるようです。
新型出生前診断(NIPT)
新型出生前診断(NIPT)は母体血胎児染色体検査ともいいます。
ママの血液の中から胎児のDNAを採取して、ダウン症の確率を調べます。
21トリソミー症候群、18トリソミー症候群、13トリソミー症候群を検出します。
絨毛検査
絨毛検査は胎盤の絨毛を採取して、染色体異常を調べます。
検査をおこなうことで、早産や流産のリスクが0.3~0.5%あるといわれています。
妊娠11週は腹痛や腰痛のマイナートラブルに注意
妊娠11週目は、腹痛や腰痛といったマイナートラブルに悩む方が多いようです。
腹痛
妊娠11週の腹痛は、便秘や黄体嚢胞(おうたいのうほう)が原因になるケースがみられます。
便秘が原因の腹痛
妊娠中は、子宮によって腸が圧迫されたり、ホルモンバランスの影響があり、便秘になるママも多いようです。
便秘は規則正しい食事やトイレに行く習慣づけ、朝起きて最初に水を飲むなどの改善方法があります。
整腸作用が期待できる食物繊維や、オリゴ糖を摂取するのもよいでしょう。
腸の働きをよくするために、同じ姿勢を長時間続けないようにしたり、無理のない程度に運動をするのも大切です。
便秘が改善しないときは産婦人科で相談をして、妊婦が飲める薬を処方してもらいましょう。
腹痛が続いたり出血がある場合は、放置せずに早めに受診しましょう。
黄体嚢胞(おうたいのうほう)が原因の腹痛
黄体嚢胞(おうたいのうほう)は卵巣に液体がたまるものです。
黄体嚢胞は自覚症状がほとんどありません。
妊婦検診のときに発見されるケースが多いようです。
自然に消える場合もありますが、まれに腹痛の原因になることがあります。
嚢胞がねじれたり破れたりすると、手術することもあります。
検診で嚢胞があり痛みを感じるときは、医師に相談をしましょう。
腰痛
ホルモンの作用が原因で、腰痛になることもあります。
妊娠をすると卵巣や子宮から、リラキシンというホルモンの分泌が増えます。
リラキシンは、出産のときに赤ちゃんが産道を通りやすくするために、関節やじん帯をゆるませる作用があります。
そのため、腰に負担がかかります。
また、子宮が周りを圧迫するため、腰に違和感を感じる場合もあるようです。
腰に負担をかけすぎないように、重いものを持つのをできるだけ避け、立ちっぱなしにならないようにしましょう。
正しい姿勢を保つだけでも、腰への負担を軽くすることができます。
頻尿
頻尿は子宮が膀胱を圧迫して起こる症状です。
我慢しないでこまめにトイレに行きましょう。
便秘や脱水症状の予防に水分が必要なので、トイレが近いからといって水分を控えるのはよくありません。
脳貧血
妊娠11週目は胎盤を作るために、ママの血液を大量に使います。
血液が子宮周囲に集まるため、脳に必要な血液が足りず、脳貧血になることがあります。
ホルモンバランスが変わることで自律神経が乱れることも原因のようです。
脳貧血になると、立ちくらみやめまいが起こります。
立ちくらみやめまいがしたら横になって安静にするか、座って休憩をとりましょう。
安静や休憩は、脳に血液を送るためと、倒れないようにするためです。
血液の流れをよくするために、水分をこまめに摂取することも大切です。
眠くなる
妊娠11週目頃は十分に睡眠をとっていても、黄体ホルモンの分泌量が増えたことで強い眠気が続くことがあるようです。
つわりの一種として「眠りつわり」になる方は多いようです。
眠気を抑えることはできないので、必要な休憩と考えてゆっくり過ごしましょう。
強い眠気がある場合は、車の運転はやめましょう。
冷たい水で顔や手を洗ったり、ガムをかむことで気分転換ができるようです。
出血は!? 妊娠11週で気をつけること
妊娠11週目は、出血や感染症に気をつけて過ごしましょう。
出血は初期流産や切迫流産のサイン?
出血があると、初期流産や切迫流産ではないかと心配になるママが多いようです。
しかし、少量の出血などがあったとしても問題のない場合もあります。
妊娠11週目は胎盤を作っている途中です。
未完成の胎盤は状態が安定せず、出血するケースもみられます。
身体の状態を確認し、異常があれば医療機関へ相談しましょう。
初期流産
初期流産のほとんどは、胎児の染色体に異常があることが原因です。
心配しすぎる必要はありませんが、以下の症状があるときは医療機関で診断を受けましょう。
- 量が多い不正出血
- 強い痛みがともなう出血
- 腹痛や腰痛が長く続く
切迫流産
切迫流産と診断されたら安静にすることが大切です。
家族や勤務先に協力してもらい、できるだけ動かないようにしましょう。
切迫流産になると、医師の判断で入院する場合もあります。
感染症は予防を徹底
妊娠中にママが感染症にかかると、赤ちゃんに感染して重症化することがあります。
予防を徹底して感染症にならないようにしましょう。
気をつけたい感染症
妊娠中に気をつける感染症は以下です。
水痘(すいとう)
水痘(すいとう)は水疱瘡(みずぼうそう)ともいいます。
妊娠11週目などの妊娠初期にママが感染すると、赤ちゃんが先天性水痘症候群になることがあります。
先天性水痘症候群は胎児の発育が遅れたり、発達障害や低体重出生、小頭症を起こす可能性があります。
風疹
妊娠20週までにママが風疹に感染すると赤ちゃんに感染する確率が高く、先天性風疹症候群になることが増えます。
先天性風疹症候群にかかると、白内障や先天性疾患、難聴になることがあります。
インフルエンザ
高熱や激しい咳のような症状で、切迫流産になる可能性があります。
インフルエンザかもしれないと感じたら、病院やクリニックに行く前に電話でインフルエンザの可能性があることを伝えましょう。
先に伝えておくことで、ほかの方への感染をおさえられます。
りんご病(伝染性紅斑)
ママが感染すると、赤ちゃんが胎児水腫(たいじすいしゅ)にかかる場合があります。
流産や早産になるケースもみられます。
リステリア菌
リステリア菌がママから赤ちゃんに感染すると、新生児髄膜炎(ずいまくえん)になる可能性があります。
流産や早産のリスクも高くなります。
ママへの感染経路
感染症のママへの感染経路は以下があります。
- 空気感染
- 飛沫からの感染
- 接触による感染
- 血液感染
- 性行為による感染
感染症の予防策
感染症にならないように、次にあげる予防策を徹底しましょう。
- 規則正しい生活で体調を整える
- 人が多いところに不用意に出掛けない
- 外出から帰ったらうがい・手洗いをする
- インフルエンザが流行する時期はマスクをする
- 加熱していない食品は控える(特に生肉は食べない)
- 土を触ったら手を洗う
- 性行為を控える(行う時はコンドームを使用する)
妊娠11週目のおすすめの過ごし方
妊娠11週目のおすすめの過ごし方をご紹介します。
定期検診は4週間に1回に
1~2週間に1度だった妊婦定期検診は、妊娠11週目頃から4週間に1度に変わります。
回数が少なくなっても忘れずに定期検診を受けましょう。
また、出血などがあって不安を感じたときは、必要に応じて受診したり、電話で相談することも検討しましょう。
だいぶ安定してきたとはいえ、流産の確率はゼロではありません。
出血や強い腹痛はすぐに医療機関へ行きましょう。
Rh-のママは血液型不適合妊娠検査を
ママがRh-(マイナス)の血液型であれば、血液型不適合妊娠検査を受けましょう。
とくに2度目以降の妊娠は、Rh抗原に対する抗体が作られているため「血液型不適合妊娠」になるママが多いようです。
赤ちゃんがRh+(プラス)の場合に「胎児新生児溶血性疾患」がおきることがあります。
「胎児新生児溶血性疾患」と診断されたら再検査をして、必要であれば治療がおこなわれます。
貧血を防ぐ、胎児の先天性異常を防ぐために葉酸を摂取
妊娠中は胎児の分まで血液から栄養を摂取する必要があるため、母体の血液が不足し貧血の症状を訴える人も多くいます。
貧血には鉄分不足による「鉄欠乏性貧血」、葉酸とビタミンB12の不足による「巨赤芽球性貧血」の2種類があり、妊娠期にこれらの不足している栄養素を基準値まで摂ることは、体調管理をするうえでとても大切です。
とくに葉酸は、造血作用だけでなく赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを低減させる効果もあるので、積極的にとりたい栄養素です。
厚生労働省は、妊娠1か月以上前~妊娠3か月までは、食事でとる葉酸(推奨量240㎍)のほかに毎日400㎍を栄養補助食品(サプリメントなど)から摂取することを推奨しています。妊娠4か月目からは、食事から240㎍+栄養補助食品から240㎍の摂取を推奨しています。
葉酸は妊娠期に必要な栄養素ですが、実際食事に含まれる葉酸は水溶性で熱にも弱く、基準値を摂取しようと思うと難しくなります。
そこで、足りない分はサプリメントを併用すると、必要量の摂取を楽に続けられるのでおすすめです。
妊娠線の予防ケアはお腹が大きくなる前に
お腹が大きくなることで皮膚の内側がさけてしまう「妊娠線」。
産後少しずつ薄くなりますが、ひび割れや皮膚のたるみに悩む人も多いようです。
予防には肌のうるおいと弾力を高めのびやすい状態に整えておくことが大切です。
そのためにはお腹が大きくなる前の時期から、妊娠線ができやすいお腹や胸、太もも、お尻などに保湿ケアをしていきましょう。
ママ&キッズナチュラルマーククリームやベルタマザークリームなど、妊娠線ケアのための専用クリームも人気です。
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エコー写真を保管して思い出に
妊娠11週目は定期検診の回数が減り、つわりが落ち着いてくるママが増えてくるようです。時間や気分に余裕がうまれやすいので、エコー写真を整理するよいタイミングといえるでしょう。
定期検診でもらったエコー写真は感熱紙のため、印刷がぼやけてくることもあります。
ぼやけないうちにデータにしたりフォトブックを作ると、きれいなまま保管できてオススメです。
激しい運動は避ける
妊娠11週目は、まだ胎盤ができあがっていないため、激しい運動はしないほうがよいでしょう。
疲れを感じたら休み、無理をせずに身体をいたわることが重要です。
一般的に運動をはじめてもよい時期は、安定期とされています。
軽いウォーキングや、妊婦のためのマタニティヨガ、マタニティスイミングなどは妊娠初期からできる場合もあるようです。
運動をおこなうときは、医師に相談してからにしましょう。
アルコールやタバコは厳禁
妊娠中を通して、アルコールやタバコはやめましょう。
アルコールやタバコはお腹の赤ちゃんにもリスクがあります。
赤ちゃんが低体重で生まれたり、障害の可能性が高まります。
流産や早産につながることもあるので、妊娠中は禁酒・禁煙で過ごしましょう。
ホルモンの影響を受けやすい妊娠11週はリラックスを心がけて
妊娠11週目ではホルモンバランスが変わるのを受けて、身体や心の変化もあらわれます。
つわりもホルモンが関係しているといわれます。
妊娠11週目を過ぎるとつわりが落ち着くことが多いようなので、つわりがひどいというママは、もう少しの辛抱と考えて乗り越えましょう。
つわりが治まってきたママは、急に食べ過ぎないように気をつけてください。
また、胸の張りや腹痛、腰痛などの症状もホルモンバランスが少なからず影響しています。
さまざまな症状と対策を知って不安を減らし、リラックスして過ごしましょう。