食物アレルギーは遺伝するの?
妊娠中に卵・牛乳・大豆、それに小麦・米を口にすると、赤ちゃんにアレルギー症状が出るのではないかと心配し、これらを避けて食べている方がいらっしゃいます。このように、アレルゲンを避けた食事を行うことを「除去食」とよんでいます。
アレルゲンを避ける理由は以下のように様々だと思います。
- ご自分が食物アレルギーで苦労された
- アトピーで大変だった
- 身内にアレルギーをもっている人がいるから
親がアレルギーを持っている場合は、子どもも何からのアレルギーをもって生まれてくる可能性が高いという話をよく耳にします。ですが、生まれてきた子がアレルギーを持っていたとしても、両親と同じアレルギーの症状が出るとは限らないという事は知っていますか?ママが卵アレルギーだから、赤ちゃんも卵アレルギーなのかといえば、そういう事はありません。
除去食で生まれてくる赤ちゃんのアレルギー予防は出来るの?
実際には、妊娠中にアレルゲン「卵・牛乳・大豆、小麦、米」を避けることで、赤ちゃんのアレルギーを予防出来るという根拠は今のところありません。これら(卵・牛乳・大豆、小麦、米)の食品は、お腹の赤ちゃんを育てていく上で、必要な栄養素などが含まれているものも多く、除去食は母子ともに栄養不足に陥る可能性がある為、危険なので行わないように!という、文書を米国小児科学会・欧州小児アレルギー学会が発表しています。
又、厚生労働科学研究班による食物アレルギーの診療の手引き2011には「妊娠中、授乳中にアレルギー性疾患発症予防のために食物制限を行うことは十分な根拠がないために通常勧められていない。」と記載があります。
※ママが食物アレルギーを持っている場合は、危険ですのでその食品は避けて食べるようにしてください!
ピーナッツの影響とは?
アレルゲンを引き起こす食品で代表的なものの一つに「ピーナッツ」があります。過去にアメリカの研究で、妊娠中にピーナッツを食べると、胎児にピーナッツアレルギーの症状が出るという研究結果が発表されました。日本に比べ、アメリカはナッツ類の消費が多い国です。なので、ピーナッツアレルギーの患者さんも日本に比べると、圧倒的に多いといわれています。近年では食の欧米化もあり「ナッツは体にいいもの」として紹介されている為、日本でもナッツ類を間食に食べるようになった方も多くいらっしゃいます。そこで気になるのが上記でお話した「ピーナッツアレルギー」のお話です。ピーナッツアレルギーは、アレルギーの中でも重度の症状があらわれる事で知られているため、出来るだけ避けたいものです。
Webサイト「Essential MUMS」にて発表されたことによると、月に5回程度ピーナッツを食べることで、ピーナッツアレルギー発症のリスクを下げる効果があると発表されています。もちろん、それはママ・パパ・身内にピーナッツアレルギーがいない事を前提としています。
ピーナッツを月5回程度食べることで、アレルギー発症リスクを下げるという研究結果、妊娠中にピーナッツを食べる事で、アレルギーを誘発する可能性があるという研究結果、現在、全く間逆な研究結果が発表されています。
ピーナッツを月5回程度食べることで、アレルギーの発症を抑えられるという研究結果は、ごく最近の研究結果なので、後々内容が変わってくることもありますので、今はまだピーナッツは避けておいたほうが無難なのかなと思います。
ピーナッツアレルギーの症状とは?
ピーナッツアレルギーの症状は以下のようなものがあります。
- 蕁麻疹(じんましん)
- 鼻炎
- 喉の粘膜が腫れる
- 痒み
- 吐き気
- 腹痛
- 血圧の低下
- 顔面蒼白
吐き気、腹痛、血圧の低下、顔面蒼白などの症状がでる場合は、かなり強いアレルギー反応を起こしているといえます。
ピーナッツアレルギーの症状は、食べた数分後~2時間以内に発症します。一度症状が治まっても、翌日に同じような症状があらわれる事がありますので、アレルギー症状がでたら数日間は注意が必要です。
ご自身がアレルギーをお持ちの方は特に、アレルゲンに対しては慎重になっているかと思います。上でもお話したとおり、両親にアレルギーの症状がある場合は、お子さんもアレルギーになる確率は高くなりますが、同じアレルギー症状がでるという事ではありません。胎児が生まれた後に、アレルゲン検査を受けさせておくと安心です。早いうちに、お子さんのアレルギーに気づいてあげましょう。食物アレルギーの検査方法についてはこちらをご覧下さい