Rh式血液型不適合妊娠とは?赤ちゃんはどうなるの?対処法は?

お母さんと胎児の血液型が異なる場合、血液型不適合妊娠となる場合があります。

今回はそのなかでもRh式血液型不適合妊娠について、原因や赤ちゃんへの影響、予防や対応策などをまとめてみました。

Rh式血液型不適合妊娠とは

ママとおなかのなかの赤ちゃんの血液型が適合しない場合、血液型不適合妊娠となることがあります。

血液不適合妊娠とは、母体に胎児の赤血球に対する抗体ができることが原因で、胎児の健康に影響をおよぼす可能性のある妊娠のことです。

血液型不適合妊娠には、主にABO式血液型不適合妊娠Rh式血液型不適合妊娠があります。

不規則抗体というABO式、Rh式以外の赤血球抗体による不適合妊娠もありますが、数も少なく、重症化するものもまれです。

もっとも重症化する頻度が高いのはRh式血液型不適合妊娠です。

今回はそのRh式血液型不適合妊娠について原因や管理、対応などを詳しくみていきましょう。

Rh式血液型の意味

赤血球の表面には、さまざまな抗原が付着しています。

さまざまな抗原の型によって血液を分類したのが、血液型とよばれるものです。

よく知られているABO式血液型では、A抗原を持つ場合をA型、B抗原を持つ場合をB型、両方持つ人をAB型、どちらも持たない場合とO型としています。

一方のRh型とは、1940年にラントシュタイナーによって発見されたRh抗原の有無による血液型の分類です。

Rh因子にはC、c、D、E、eなどがあります。

そのうちのD抗原がある場合をRhプラス(陽性)、ない場合をRhマイナス(陰性)といいます。

Rhというよび方は、この血液型を検出するために使われた抗血清を作るために使われた免疫動物が、アカゲザル(Rhesus monkey)だったからです。

アカゲザルの名前の頭文字から、「Rh」と呼ばれるようになりました。

日本においては、Rh陰性の人の割合は全体の約0.5%しかいません。

欧米ではRhマイナスの人は約15%といわれていますので、それに比べるとかなり低い頻度であるといえます。

ちなみに、Rh陽性の人は輸血を受けるとき、Rh陽性、陰性どちらの血液でも輸血できます。

一方Rh陰性の人は、Rh陰性の血液しか輸血することができません。

Rhマイナスの人がRhプラスの血液を輸血されると、抗D抗体が形成される可能性が高いためです。

抗D抗体が作られると、輸血副作用や血液型不適合妊娠の原因となってしまいます。

参照:日本赤十字社 兵庫県赤十字血液センター「血液型について」参照:愛知県医科大学病院「輸血について」

パパとママの血液型の組み合わせによる胎児のRh式血液型

予想される胎児の血液型は、パパとママの血液型の組み合わせによって変わってきます。

以下の図をみてください。

パパとママの血液型別、考えられる赤ちゃんのRh式血液型

父 Rh+ 父 Rh-
母 Rh+ Rh+Rh- Rh+Rh-
母 Rh- Rh+Rh- Rh-

父、母ともにRhマイナスの場合はRhマイナスの子どもしか生まれません。

とはいえ、両親がともにRhプラスの場合でも、Rhマイナスの子どもが生まれることはあります。

その理由は、染色体は2本でワンセットになっているためです。

Rh陽性の人は第1番の染色体にD遺伝子をもっています。

染色体は2本でワンペアになっていますが、両方か、片方にD遺伝子があればRh陽性です。

つまりRh陽性には、第1番染色体の両方にD遺伝子がある人と、片方だけにある人の2種類があるのです。

片方だけD遺伝子を持つカップルの組み合わせの場合に限り、Rh陰性の子どもが生まれる可能性あります。

参照:日本赤十字社 兵庫県赤十字血液センター「血液型について」
参照:愛知県医科大学病院「輸血について」

Rh式血液型不適合妊娠になる母子の組み合わせ

パパとママの血液型別、考えられる赤ちゃんのRh式血液型の図からわかるように、ママと赤ちゃんのRh式血液型は一致しないことも多いです。

ただし、すべてのRh式血液型の組み合わせを不適合妊娠と呼ぶのではありません。

血液型不適合妊娠とは、ママの体内で、胎児の血液に対する抗体が作られ、それが赤ちゃんの赤血球を攻撃する可能性のあるケースのことです。

Rh式血液型の場合は、ママがRhマイナスで、赤ちゃんがRhプラスの場合が攻撃性のあるケースにあたります。

Rh式血液型不適合妊娠による赤ちゃんへの影響

ママがRhマイナスで、おなかのなかの赤ちゃんがRhプラスの場合に、赤ちゃんの血液がママの体内に入ると、D抗原に対する抗体(抗D抗体)がママの体内で生産されます。

これを母体感作といいます。

通常であれば、母体と胎児の血液が混ざることはありません。

とはいえ、分娩時や切迫早産(流産、中絶も含む)などで絨毛が損傷したり、胎盤が剥がれて傷つくと、その部分から赤ちゃんの血液が母体に混入することがあります。

赤ちゃんの血液が母体に混入することを母子間輸血といい、母体感作の原因となります。

ただし、1度目の妊娠では、赤ちゃんの健康への影響はほとんどありません。

注意すべきは、2回目以降の妊娠時です。

すでに母体に抗D抗体が存在している場合、抗D抗体が胎盤を通して胎児の体に入り、抗原抗体反応を起こし胎児の赤血球を破壊します。

胎児の赤血球を破壊してしまう状態を胎児(新生児)溶血性疾患といいます。

2回目以降の妊娠では、前回の妊娠ですでに母体感作されている可能性が高くなるため、十分な管理と観察が必要です。

ただし、はじめての妊娠の場合でも、Rh陽性の輸血の経験があるママの場合は、すでに感作されている(抗D抗体が母体に存在する)可能性が高くなります。

その場合は、初回の妊娠でも赤ちゃんへの影響は避けられません。

十分な管理と治療が必要になってきます。

参照:日本医科大学「血液型不適合妊娠」

母体の症状

抗D抗体が作られていてもいなくても、母体には何の症状もありません。

とはいえ母体にとくに症状がないからといって、赤ちゃんに影響がないとは言いきれません。

Rhマイナスのママの場合は、定期的な検査などを行い、きちんと管理、観察していくことが大切です。

参照:日本医科大学「血液型不適合妊娠」

胎児および新生児にあらわれる可能性のある症状

ママの体内で作られた抗D抗体は、赤ちゃんの体のなかに入ると赤ちゃんの赤血球を攻撃します。

抗体抗原反応により赤ちゃんの赤血球が破壊され、数が減少してしまう症状を、胎児(新生児)溶血疾患といいます。

溶血性疾患の具体的な症状は、貧血、黄疸(高ビリルビン血漿)、全身浮腫(水腫)などです。

胎児や新生児にあらわれる症状の度合いは、母体の抗体価(抗原に対する抗体の量)の高さに影響され、抗体価が高くなればなるほど赤ちゃんへの症状も重くなっていきます。

溶血性貧血

抗D抗体により赤血球が破壊されると、赤血球の数が減少し、胎児が貧血の状態になってしまいます。

母体の抗体価が高い場合は、重症の貧血となる場合があるため、へその緒から胎児の採血をし、貧血の度合いを調べます。

貧血の度合いが高い場合、子宮内胎児輸血が必要です。

溶血性黄疸

赤血球が大量に破壊されると、赤血球からビリルビンという物質が大量に流れ出します。

ビリルビンの分解は肝臓でおこなわれますが、胎児や新生児の肝臓は未熟で、大量のビリルビンを処理しれきません。

体内で処理しきれないほどビリルビンが増加した状態でおこるのが「黄疸」です。

重症の新生児黄疸の場合、まれに脳の中枢神経核と延髄の神経核にビリルビンが沈着する「核黄疸」を起こすこともあります。

一般的にビリルビン値が25mg/dl以上になると、核黄疸をおこすリスクが高くなるといわれています。

核黄疸は放っておくと、脳細胞が壊死し、脳性麻痺などの後遺症を残すこともあるため、治療として交換輸血が必要です。

胎児水腫

水腫とは、皮下組織や胸や腹部などに不必要な水分がたまり、全身がむくんでいるような状態のことです。

胎児が極度の貧血と循環不全を起こしていると、水腫がひきおこされることもあります。

放置すれば胎内で赤ちゃんが亡くなることもあります。

参照:日本医科大学「血液型不適合妊娠」
参照:順天堂大学医学部 産婦人科講師宮崎亮一郎「Rh 不適合妊娠の管理およびその治療」

Rh式血液型不適合妊娠の管理と予防

Rhマイナスの女性が妊娠した場合、経過観察と管理が重要になってきます。

診断

妊娠初期に必ずおこなう検査に、血液型検査があります。

妊婦がRhマイナスだった場合、夫の血液検査をおこないます。

夫の血液型がRhマイナスだった場合、胎児の血液型はRhマイナス以外にありえないため、Rh式血液型不適合妊娠になることはありません。

問題は夫の血液型がRhプラスの場合です。

その場合は、以下のような手順で診断することになります。

問診

今まで妊娠や出産の経験があるか、輸血経験があるかを調べます。

出産経験がある場合は、新生児に黄疸などの症状がなかったかどうかの確認も必要です。

妊娠(流産、中絶も含む)、分娩歴がある場合は、その時に予防治療を行ったどうかも重要です。

間接クームス試験

母体血中に抗D抗体が存在するかどうかを、チェックするために間接クームス試験をおこないます。

母体に抗D抗体がない場合(間接クームス陰性)の場合、胎児溶血性疾患はおこりません。

とはいえ、妊娠中に母子間輸血による感作がないとは言い切れません。

妊娠中期、後期と定期的に間接クームス試験をおこない、母体が感作されていないかどうか常にチェックする必要があります。

間接クームス試験で陽性の場合、すでに母体は感作されており、母体血中に抗D抗体が存在しているということです。

胎児溶血性疾患発症の可能性が高いため、抗D抗体価測定を2〜4週間ごとにおこない、状態の変化があれば素早く対応する必要があります。

参照:日本医科大学「血液型不適合妊娠」
参照:順天堂大学医学部 産婦人科講師宮崎亮一郎「Rh 不適合妊娠の管理およびその治療」

抗D抗体がない場合の予防治療

間接クームス陰性の場合、まだ母体に抗D抗体が存在していないということです。

抗D抗体の母体内における産生を予防するために、妊娠28週ごろに抗Dヒト免疫グロブリンの投与がおこなわれます。

なぜ妊娠28週ごろかというと、29週以降だと赤ちゃんの血液がお母さんの血液に入り母体で抗D抗体が作られるリスクが高まるからです。

抗Dヒト免疫グロブリン製剤は、お母さんの血液に入った赤ちゃんの赤血球を排除し、母体に抗D抗体が産生されるのを防ぐ働きがあります。

おなかを強く打ったり妊娠に関わる検査や処置がおこなわれたとき、あるいは分娩時にも、赤ちゃんの血液が母体に入る可能性は高くなります。

そのような時も、抗Dヒト免疫グロブリン製剤の投与が必要です。

通常、28週前後分娩後の2回、抗Dヒト免疫グロブリンを投与すれば、母体感作はほとんどおこりません。

次回の妊娠のためにも、抗D抗体の産生を防ぐのは大切なことです。

参照:一般社団法人日本血液製剤機構「いつ抗D人免疫グロブリンを注射する?」

抗D抗体が存在する場合の対策

母体に抗D抗体が認められる場合(間接クームス陽性)の場合、抗体価の数値によって胎児への影響度が変わってきます。

そのため、まずは、抗D抗体がどの程度の量作られているのかを測定するため、抗体価の測定をおこないます。

Rh式血液型不適合妊娠の管理、治療は、抗体価の数値によって以下のように変わってくるのです。

抗体価16倍以上64倍以下の場合

2〜4週間ごとに抗体価測定をおこない、数値に変化がないかどうか観察します。

数値に変化がない場合でも、へその緒から胎児血液を採取し、胎児に貧血がないかどうか検査します。

胎児貧血が見られる場合は、子宮内胎児輸血という治療がおこなわれます。

抗体価128倍以上の場合

抗体価が128倍以上と高い場合は、血漿交換という治療がおこなわれます。

血漿交換とは、母体の血液の一部を採血し、抗体を取り除いた上で再び母体に戻すというもので、抗体価を下げる効果があります。

血漿交換の頻度は抗体価によって変わってきますが、通常週に1回程度です。

血漿交換と並行して、羊水検査や胎児採血検査、超音波検査をおこない、胎児の貧血の程度や、皮下浮腫、循環不全の兆候を定期的に確認します。

貧血の度合いにとっては、子宮内胎児輸血が必要です。

参照:日本医科大学「血液型不適合妊娠」
参照:順天堂大学医学部 産婦人科講師宮崎亮一郎「Rh 不適合妊娠の管理およびその治療」

分娩後の対応

出産後は、臍帯(へその緒)血検査をおこないます。

検査項目は、新生児のRh式血液型、直接クームス試験、血液像、ビリルビン検査などです。

検査の結果赤ちゃんがRhマイナスの場合は、その後の管理や処置は必要ありません。

赤ちゃんがRhプラスで直接クームス試験陰性(母体が感作されてない)の場合は、72時間以内にママに抗Dヒト免疫グロブリンを投与します。

赤ちゃんがRhプラスで直接クームス試験陽性(母体が感作されている)の場合は、赤ちゃんが新生児溶血性黄疸をおこすこともあります。

ビリルビンの数値によっては、赤ちゃんに対して光線療法交換輸血など治療法が取られます。

参照:順天堂大学医学部 産婦人科講師宮崎亮一郎「Rh 不適合妊娠の管理およびその治療」

十分な管理と治療で出産は可能!

Rh式血液型不適合妊娠でも、適切な管理と治療で出産は可能です。

十分な予防対策をとれば、抗D抗体の産生を防ぐこともできます。

定期的な検査と観察、適切で迅速な治療が重要です。

無事に元気な赤ちゃんを出産するためにも、担当の医師とよく相談して、マタニティライフを過ごしてください!


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