「ピル」と聞くと頭にうかぶのは「経口避妊薬」という方が多いのではないでしょうか。
妊娠していることに気が付かずピルを飲んでいた…というケースがあります。
「経口避妊薬」のイメージが強い方にとっては、ピルって避妊薬だから、妊娠中に飲んだら赤ちゃんにも悪い影響を与えているのでは?と不安なるかもしれません。
妊娠初期のピルの服用によって赤ちゃんに影響を及ぼすことはあるのでしょうか。
妊娠中のピルの服用は赤ちゃんに悪影響はある?
ピルは女性の生理や妊娠にかかわるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)を主に含むホルモン剤です。
非妊娠時に服用することで、妊娠時に近いホルモン状態になるので、脳が「妊娠している」と勘違いし、排卵を抑制します。
しかし、妊娠をしているということであれば、排卵がもう起こっていることになるので、脳に「妊娠している」という勘違いを起こさせて卵子を抑制する必要はありません。
ピルはホルモンを使って避妊を行うものなので、数回飲んだ程度ではママの身体や赤ちゃんにはへの影響は心配ありません。
ピルの種類や服用の量によっては危険が伴う可能性も
ピルを数回服用したからといって、ママの身体や赤ちゃんへの影響の心配はないことがわかりました。
しかし、ピルも薬です。
薬の種類や服用の量によっては危険が伴う可能性があります。
ピルの服用はママの「血栓症」のもとになることも
ピルに含まれるエストロゲンというホルモンには血を固まりやすくする作用があります。
ピルの服用によって体内のホルモンが増え、血が固まると、血栓ができて血液の流れが滞って「血栓症」になることもあります。
血栓ができることによって、全身の血液や栄養分がうまく巡らなくなってしまうので、エストロゲンが多く含まれるピルを服用したり、エストロゲンが少ないピルでも多く服用するとさまざまな病気のリスクが高まります。
さらに、妊娠中は身体の血液の流れも変わって、そもそも血液が滞りやすくなっているため、ピルの種類や服用する量によってはママの身体や赤ちゃんにも危険を及ぼすことがあります。
そのため、ピルのなかには、血栓のリスクから、妊娠中、授乳中の方や喫煙をしている方、高血圧や糖尿病がある方などは使用することができないものがあります。
また、ピルには副作用もあるので、妊娠中のママの身体にも胃のむかむか感や嘔吐等の消化器症状が起こることがあるため、体調や気分が優れなくなるといった点でも注意が必要です。
エストロゲンが多く含まれているピルとは
ピルの種類は下記になります。
50㎍未満のエストロゲンが含まれています。
主に避妊目的で使用されます。
中・高用量ピル
50㎍以上のエストロゲンが含まれています。
ホルモンの量が多いため、避妊効果が期待できますが、低用量ピルよりも副作用が起こりやすいといわれています。
また、低用量ピルに比べて血栓症のリスクも高いです。
妊娠に気づいたらピルの服用を中止し、医師に相談しましょう。
ピルの服用が流産を防止できるって本当?
ピルにはホルモンを増やして避妊するだけでなく、ホルモンバランスを整えて、定期的な月経周期に戻す効果があります。
そのため、月経不順の方や不妊治療で体外受精を行う方の治療のスケジュールの調整を行うときにも使用されています。
また、子宮内膜がはがれるのを防止する効果があるので、流産の防止にも繋がるといわれているようです。
子宮内膜がはがれるのを防ぐということは、不妊の原因となる子宮内膜症を予防できます。
子宮内膜症とは、着床に必要な子宮内膜が子宮内以外のところに子宮内膜が増殖する病気です。
卵管に子宮内膜が発生すれば、卵子が卵管を通れなくなります。
卵巣に発生すれば、排卵が起こりにくくなります。
子宮の外に出ていき骨盤周りに発生すれば、骨盤周りがカチカチになってしまいます。
そのときに、ピルを内服することで排卵が抑制 されるため、子宮内膜の肥厚も少なくなり、子宮内膜症の進行を抑制することができます。
避妊目的で内服している場合は、薬を飲み忘れると身体のホルモン量に変化がでますので避妊効果が下がってしまいます。
妊娠に気付く前にピルを服用されていた方は、飲み忘れによる妊娠も考えられます。
妊娠中にピルを飲んでいたら服用を中止して病院へ
「旅行の計画に合わせてピルを服用していた」「避妊のためにピルを飲んでいた」など服用理由はさまざまありますよね。
生理の周期をコントロールしたり、避妊効果があるということは、ピルは身体の状態を大きく変えることができるということです。
妊娠に気付かずにホルモンの量を増やし続けていた場合、ママの身体に血栓ができて赤ちゃんへの影響がでてくることも考えられます。
また、直接身体への影響がなくても、ピルの副作用には消化機能の症状が出る場合があるので注意しましょう。
妊娠に気付かずにピルを服用していた時には、自己判断せず、まずは服用を中止して医師に相談するため病院にいきましょう。
エストロゲンの高いピルを服用していて血栓ができていないか気になるという方は、血栓の有無を検査してもらうと良いでしょう。