アレルギーの赤ちゃんの離乳食・授乳は?進め方は?何に気を付けたらいい?

離乳食を始めるとき、気になるのが食物アレルギーです。

ママや家族にアレルギー体質があったり、赤ちゃんにアトピー皮膚炎があったりする場合は、とくに心配でしょう。

そこで今回は、食物アレルギーが心配なときの離乳食の進め方や、気をつけるポイント、アレルギーが出た場合の対処についてなどをまとめました。

食物アレルギーとは?

人の体には、免疫という仕組みが備わっていて、外から侵入してきた細菌やウィルスから私たちを守っています。

免疫は私たちが健康に暮らすために必要なものです。

この免疫が特定の食物に対して過剰に反応し、健康を損ねてしまう状態を食物アレルギーといいます。

本来、食べ物は摂取されたあと、栄養として吸収されるべきものです。

しかし免疫のシステムがなんらかの原因で正常に作動せず、食べ物を異物として認識すると、異物を排除しようとしてさまざまなアレルギーの症状が出るのです。

参考:日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会「食物アレルギー診療ガイドライン2016」

赤ちゃんと食物アレルギー

離乳食を始めたころの赤ちゃんにおいて食物アレルギーの割合は高く、0歳児で約8%、1歳児で約9%が食物アレルギーを持っているといわれます。

どの食べ物に対してアレルギー反応が出るか、あらかじめ知ることができればいいのですが、実際に症状が出てからでないとアレルギーかどうかはわかりません。

アレルギーの症状はさまざまで、ときには命に関わる危険な状態になることもあります。

離乳食は、ゆっくりと慎重に赤ちゃんの様子を観察しながら進めることが大切です。

参考:労働厚生省「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」

食物アレルギーの症状

ほとんどの食物アレルギーは、食後数分〜数時間にかけてあらわれます。

食物アレルギーをおこすと、アレルギー反応として、体のさまざまな部分に以下のような症状がみられます。

食物アレルギーの症状が、もっとも多くみられるのは皮膚ですが、皮膚以外にも粘膜、呼吸器、消化器、神経、循環器に症状があらわれることもあるようです。

  • 皮膚:赤くなる、じんましん、腫れ、かゆみ、湿疹
  • 粘膜:目の充血、涙目、鼻水、くしゃみ、口の中・唇・舌の違和感や腫れ
  • 呼吸器:咳、喉の違和感、喉がゼーゼーあるいはヒューヒュー鳴る、呼吸困難、胸の圧迫感
  • 消化器:吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、血便
  • 神経:頭痛、ぐったりする、落ち着きがなくなる、意識障害
  • 循環器:脈が早くなる、脈が乱れる、脈が弱くなる、手足が冷たくなる、唇や爪が青白くなる、血圧低下
  • 全身:アナフィラキシーショック(急速な血圧低下、意識不明になることもある)

症状のあらわれかたとしては、複数の症状が一度にでる場合もあります。

離乳食が始まってから、上記のような症状があらわれたら、食物アレルギーである可能性があるので、専門家や医師にすみやかに相談した方がいいでしょう。

なおアナフィラキシーショックは命にも関わる危険な症状ですので、すぐに病院で診察を受けてください。

参照:日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会「食物アレルギー診療ガイドライン2016」

即時型反応と非即時型反応

アレルギー反応の出方には、即時型反応と、非即時型反応があります。

即時型反応とは、アレルギーの原因になるものを食べてから数分〜数時間以内に反応が起こること。

食物アレルギーの場合、即時型反応であることが多く、1時間以内、遅くても数時間以内に症状があらわれることがほとんどです。

しかしなかには、翌日になってあらわれる非即時型(遅延型)反応もあります。

非即時型反応の場合、アレルギーであることになかなか気づかなかったり、アレルギーの原因が何かわかりにくいので、注意が必要です。

食べるだけじゃない、触っただけでもなるの?

食物アレルギーというと、食べたことが原因で症状が出ると思われがちです。

食べることで症状が出ることがもっとも多いのですが、触ったり、吸い込んだり、注射液に含まれていた場合にもおこりえます。

アレルギーが心配なときの離乳食の進め方


安全に離乳食を始めるにはどのような進め方をすればいいのでしょうか?

とくにママ自身がアレルギーを持っていたり、家族や親戚にアレルギーの人がいる場合、赤ちゃんにもアレルギーがあるのではないかと心配になりますよね。

赤ちゃん自身がアトピー性皮膚炎を持っている場合も注意が必要です。

アトピー性皮膚炎の赤ちゃんは、食物アレルギーのリスクが高いといわれています。

ただどんな食べ物に反応するのか、どのくらい食べると反応するのかは、実際に食べてみないとわかりません。

以下のポイントに注意しながら、ゆっくり離乳食を始めてみましょう。

参考:厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」
参考:資生堂「食物アレルギーの発症に、皮膚の湿疹が関わっていることが判明!」

1日1回1さじから

、一般的に離乳食の開始の時期は、生後5〜6ヶ月ごろが適当であるといわれています。
赤ちゃんが一人でお座りができ、食べ物に興味を示すようになれば、離乳食をスタートしましょう。

最初の1ヶ月間、離乳食は1日1回1さじが基本です。

はじめての食べ物に関しては、1ヶ月以降でも1さじから始めます。

1さじ食べて問題がなければ、時間をかけて2さじ、3さじと少しずつ増やしていきましょう。

1日1種類から始める

アレルギーの原因をはっきりとさせるために、離乳食の開始時期は、1日に1種類から始めます。

最初は、アレルギーの原因になりにくいお米(おかゆ)から始めるのがいいでしょう。

おかゆに慣れてきたら、ジャガイモや野菜、果物、その後、豆腐や白身魚と種類をゆっくり増やしていきます。

離乳がある程度進んだ後でも、はじめて食べるものに関しては、1日に1種類だけにしましょう。

アレルギーの原因が特定しやすくなります。

できるだけ手作りのものを

市販のベビーフードには、さまざまな原料が含まれていて、食材の把握が難しくなります。

アレルギーがでた場合の原因の特定のためにも、離乳食の開始当初は、できるだけ手作りのものを食べさせましょう。

といっても毎回手作りというのは、忙しいママにはかなりの負担かもしれません。

離乳が進み、食べられるものが把握できたら、市販品にお世話になることは可能です。

はじめての食材は、平日の午前中に

食物アレルギーの症状は、食後数分〜数時間以内にあらわれることがほとんどです。

はじめての食材にトライするときは、アレルギー反応が出た場合でも、すぐに受診できる時間を選びましょう。

ママがとくに用事のない、平日の午前中がベストです。

食物アレルギーの主なアレルゲン


アレルゲンとは、アレルギーの原因となるもののこと。

ここでは、食物アレルギーの主なアレルゲンを紹介します。

これらの食品をはじめて食べるときは、慎重に様子をみながら与えるようにしましょう。

特定原材料7品目

特定原材料とは、消費者庁によって、加工商品に表示が義務づけられている原材料のことです。

食物アレルギーをおこしやすく、命に関わるような重い症状となることが多い7品目が指定されています。

卵、牛乳、小麦、落花生(ピーナッツ)、えび、そば、かに

なかでも乳幼児のアレルギーの原因としては、卵、牛乳、小麦が多くを占めています。
参考:消費者庁「アレルギー物質を含む加工食品の表示ハンドブック」

特定原材料に準ずる20品目

食品への表示は義務づけられてはいないけど、表示が推奨される特定原材料に準ずる20品目には、以下のものがあります。

あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、桃、やまいも、りんご、ゼラチン

はじめての摂取は慎重に

上記に紹介した、特定原材料7品目とそれに準ずる20品目は、アレルギー表示対象品目です。

はじめて食べるときは、ゆっくりと慎重に、少しずつ様子をみながら与えてください。

決して与えないほうがよいという意味ではありません。

素人判断で食事制限をすることは、赤ちゃんの栄養に偏りが生じるためオススメできません。

ただしこれらの食品を食べた後に、アレルギー反応がでた場合は、すぐに医師の診断を受け、対処法を相談する必要があります。
参考:消費者庁「アレルギー物質を含む加工食品の表示ハンドブック」

食物アレルギーと離乳に関する素朴な疑問にお答えします


食物アレルギーの予防や対策に対しては、さまざまな意見があり、迷うママも多いようです。

ここでは、よく聞かれる食物アレルギーと離乳に関する素朴な疑問について答えていきます。

Q1:完全母乳はアレルギー防止効果がある?

母乳は栄養的にも免疫の観点からも、優れているものです。

しかし完全母乳で育てることで、赤ちゃんの食物アレルギー発症を予防するという医学的根拠は現在のところありません。

完全母乳栄養と食物アレルギーの関係に関しては、医療関係者の間でも意見が分かれています。

アレルギー発症予防に有効であるという意見から、アレルギー発症に関係しない、アレルギー発症リスクを高めるという意見までさまざまです。

参考:日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会「食物アレルギー診療ガイドライン2016」

Q2:食物アレルギー防止に妊娠中や授乳中のママの食事制限は効果があるの?

赤ちゃんのアレルギー発症予防のために、ママが妊娠中や授乳に食事制限することは、推奨されていません。

アレルギーのリスクが高い特定の食品を摂取しないことによる、アレルギー発症予防効果は医学的に認められていません。

食事制限によって、ママの栄養状態が悪化する可能性もありますので、自己判断で食事制限をするのはやめましょう。

ただしママ自身に食物アレルギーがある場合は、ママの健康を害さない食生活を心がけてください。

参考:日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会「食物アレルギー診療ガイドライン2016」

Q3:離乳開始時期が遅い方がアレルギーの発症リスクが低くなるの?

アレルギーが心配だからといって、離乳開始時期を遅らせたり、特定の食物の摂取開始時期を遅らせたりしないようにしましょう。

赤ちゃんのアレルギー発症リスクを低下させることにはつながりません。

反対にアレルギー発症のリスクが高い赤ちゃんが卵やピーナツの摂取時期を遅らせた場合、発症リスクが増加するという報告もあります。

離乳開始時期は生後5、6ヶ月が最適です。

最初はおかゆのような消化のいいものからはじめ、少しずつ野菜、魚、肉と進めましょう。

いつごろ、どの食品を摂取するのかは、赤ちゃんの消化器官の発達に合わせることが大切です。
参考:日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会

Q4:食物アレルギー発症のリスクが高いのはどんな赤ちゃん?

食物アレルギーの発症リスクに影響していると思われるのは、以下なのようなことです。

  • 家族にアレルギー体質の人がいる
  • 皮膚バリア機能が弱い
  • 秋冬生まれ(日照時間が短い)
  • アトピー性皮膚炎がある

なかでもとくにアトピー性皮膚炎は食物アレルギーと深く関係していると考えられています。

参考:日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会「食物アレルギー診療ガイドライン2016」

Q5:食物アレルギーが心配なので、事前に血液検査を受けたいのですが

血液検査で血液中の抗体をチェックすれば、特定の食物に対して陽性(アレルギーがある)か陰性(アレルギーはない)かがわかります。

しかし陽性の結果が出たからといって、その食べ物を食べると必ずアレルギーの症状が出るかというと、そうとは限りません。

陽性の結果が出ても、症状が出ない場合は食べてもよいとされています。

食物アレルギーはアレルギーの症状が出て、はじめて診断されるもの。

症状が出てから、疑われる食品についてしっかり検査することの方が大切です。

参考:日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会「食物アレルギー診療ガイドライン2016」

参考:環境再生保全機構「よくわかる食物アレルギーの基礎知識」

アレルギーがでたら?


もし離乳食を食べたあとに、機嫌が悪くなり、じんましん、嘔吐、唇の腫れなど食物アレルギーらしい症状が出たら、まずは受診しましょう。

食物アレルギーの出方や症状の強さは赤ちゃんそれぞれに異なり、対応や対処も変ります。

自己判断せずに、専門家や小児科の医師と相談しながらアレルギー対策を進めることが大切です。

参考:環境再生保全機構「よくわかる食物アレルギーの基礎知識」

お医者さんに伝えたいこと

病院では、以下のことをお医者さんに伝えましょう。

事前にメモをしておくと慌てることなく伝えることができますよ。

  • 食べた時間
  • 食べたもの
  • 食べた量
  • 食べてから発症までの時間
  • 具体的な症状
  • 症状の持続時間や回数
  • 同じ食べ物を食べた時に同じ症状が出るか

じんましんは、しばらくすると消えることもあります。

赤ちゃんの状態を時間の経過とともにスマホなどで撮影しておくとよいでしょう。

食物アレルギーの診断ステップ

食物アレルギーが疑われる場合は、以下のような流れで、診断を進めます。
参考:環境再生保全機構「よくわかる食物アレルギーの基礎知識」

ステップ1:アレルゲンの推定

問診や、食事の記録から、アレルゲン(アレルギーの原因食物)を推定します。

必要であれば、推定されるアレルゲンの摂取を控える食物除去試験をおこないます。

食物除去試験は、即時型食物アレルギーはもちろん、非即時型食物アレルギーの診断にも使われます。

ステップ2:特異的IgE抗体の証明

食物アレルギーの症状があらわれるということは、特定の食材に対して特異的IgE抗体があるということです。

推定されるアレルゲンに対して特異的IgE抗体があることを証明するためには、血液検査や皮膚テストといった検査が必要です。

ステップ3:食物経口負荷試験

アレルゲンの確定をはじめ、どのくらいの量で反応するのか、耐性を獲得したかどうかの診断や、食事制限の見直しのためにおこなわれます。

アナフィラキシーショックなどのリスクが高い場合や、問診でアレルゲンが明らかな場合は、おこなわれないこともあります。

食べることを目指した食事療法

食物アレルギーの治療は、アレルゲンを除去する食事療法と、アレルギー症状を緩和する対症療法の両面からおこなわれます。

具体的な治療の内容は、それぞれの赤ちゃんのアレルゲンの種類や症状、体質などによって変わります。

素人判断で進めると、栄養状態が悪化することもあるので、専門医のアドバイスを受けながら離乳食を進めましょう。

離乳自体を遅めたり、中断する必要はありません。

アレルギーの赤ちゃんの離乳においては、食べることを目指した必要最小限の食品除去がポイントです。

食べられない食材があっても、代替食品を利用するなどして、栄養の偏りをなくすことは可能です。
参考:環境再生保全機構「よくわかる食物アレルギーの基礎知識」

低アレルゲン化

アレルゲンを回避する方法として、アレルゲン食品を食べないというアレルゲン除去以外にも、以下のようなものがあります。

調理を工夫することで低アレルゲン化する(卵を加熱するなど)
低アレルゲン化食品を利用する(アレルゲンを除去した調製粉乳など)

何がなんでも除去するという対応ではなく、食べられるものは食べる食事療法で赤ちゃんの栄養が偏らないように心がけることが大切です。

ただし低アレルゲン化しても摂取できないほどアレルギーがひどい場合、この方法は使えません。

担当の医師と相談しながら、それぞれのお子さんに合わせた食事療法を進めましょう。

成長するとともに改善することも

乳児〜幼児初期の食物アレルギーの主な原因は卵、牛乳、小麦ですが、成長とともに少しずつ耐性を獲得して食べられるようになることがほとんどです。

あまり悲観的にならずに、じっくり、ゆっくりとアレルギーとつきあっていきましょう。

食べ物アレルギーに関する自己判断は危険!医師に相談しながら適切な対応をしよう


子どもの成長はママやパパにとって大きな喜びです。
その反面成長の過程ではさまざまな問題も出てくるもの。

食物アレルギーもその1つで、0〜1歳の赤ちゃんの約10人に1人は食物アレルギーであるといわれています。

大切でかわいい赤ちゃんのこと、ママが心配になるのはムリもないでしょう。

でも心配のあまり離乳を遅らせたり、むやみやたらと食事制限をするのは、オススメできません。

食物アレルギーの治療にはアレルゲンの確定と、食べることを目指した食事療法が大切です。

1人で悩む前に、まずは、専門家や医師に相談してみてください。

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