妊婦さんが抗生物質を服用するとどうなる?胎児への影響とは

病気によるつらい症状を改善するために、病院では抗生物質を処方することがあります。
普段は気にせず服用している人も、妊娠中となるとおなかの赤ちゃんへの影響が心配になるでしょう。

ひとことで「抗生物質」といっても、たくさんの種類があり、身体への作用も違ってきます。

この記事では、妊婦さんが使用しても問題ない抗生物質や、服用しても胎児への影響が少ない時期などをご紹介しましょう。

妊娠中に抗生物質を服用しても大丈夫?

抗生物質には様々な種類があり、効果や作用もそれぞれ違ってきます。
ここでは、服用に注意が必要な妊娠週数や、種類別の安全性をみていきましょう。

妊娠初期の服用には注意が必要

妊娠初期(14週くらいまで)は体の器官が形成される大切な時期で、抗生物質の服用には注意が必要です。
とくに妊娠4週から7週までは、もっとも影響を受けやすい時期で、「超過敏期」とも呼ばれています。

中枢神経や臓器を形成しているこの時期には、産婦人科で抗生物質を処方することはありません。
しかし、妊娠のごく初期(0週から4週)は、胎児にはほとんど影響が出ないといわれています。

妊娠に気づかずに抗生物質を服用して不安な場合には、いちど産婦人科の医師に相談してみましょう。
妊娠中期以降(15週以降)は、抗生物質を服用してもほとんど胎児への影響はありません。

処方された薬は、医師の指示通りに服用するようにしましょう。
勝手な自己判断で抗生物質の服用を中止すると、病気が治りにくくなったり、かえって症状が悪化することもあります。

妊娠中に服用すると胎児に影響が出やすい抗生物質

妊婦さんが服用すると、胎児に影響が出る危険性がある抗生物質をご紹介します。

1979年にアメリカのFDA(アメリカ食品医薬品局)が、医薬品の胎児に対するリスクをカテゴリーA、B、C、D、Xの5種類に分類しました。

安全性の高いカテゴリーAから、妊娠中は禁忌とされるカテゴリーXまで、動物やヒトによる対照試験を行って危険度を証明している場合もあります。

2015年以降は使われていない分類ですが、参考までに確認しておきましょう。

アミノグリコシド系

アミノグリコシド系のゲンタマイシンは、「危険性を否定できない」とされるカテゴリーCに分類されます。
胎児に聴覚障害が出る可能性があるとされているため、妊娠中は服用できません。

テトラサイクリン系

テトラサイクリン系のミノマイシンやドキシサイクリンは、「危険性を示す証拠がある」とされるカテゴリーDに分類され、妊娠中は服用できません。
胎盤を通過しやすい性質の薬剤で、骨に沈着して成長障害を引き起こしたり、催奇形性作用があるとされています。

ニューキノロン系

ニューキノロン系の抗生物質は、女性がかかりやすい膀胱炎や肺炎の治療薬として使われることが多い薬物です。
胎児に骨格障害を引き起こす危険度が高いため、カテゴリーCに分類されており、妊娠中は服用できません。

妊娠中に服用しても胎児に影響が出にくい抗生物質

胎盤を通して胎児に吸収されないため、赤ちゃんに影響が出にくいとされている抗生物質をご紹介します。

セフェム系

フロモックス・セフゾンなど。
膀胱炎・肺炎・副鼻腔炎・扁桃炎などの治療に使われます。

マクロライド系

クラリス・ジスロマックなど。
マイコプラズマ・クラジミア・中耳炎・気管支炎などの治療に使われます。

ペニシリン系

サワシリン・ビクシリンなど。
肺炎・化膿性疾患・性病などの治療に使われます。

市販の塗り薬の抗生物質にも要注意

ここまで抗生物質の飲み薬について紹介しましたが、皮膚炎や化膿した傷の治療に使われる塗り薬に、抗生物質が使用されている場合もあります。

塗り薬は、飲み薬に比べると胎児への影響は少ないと考えられていますが、自己判断で市販薬を使うことは避けましょう
産婦人科で症状を説明すれば、安全な塗り薬を処方してもらえます。

感染症を予防して、抗生物質が不要な身体づくりを!

「妊娠中に服用してもOK」と聞いても、抗生物質の服用に抵抗がある妊婦さんもいるでしょう。
そんな人は、日ごろから感染症にかからないための対策をしておくことが重要です。
妊娠中は免疫力が低くなり、ふだんよりも感染症にかかりやすくなっています。

いつも以上に体調管理に気をつけ、病気にならない身体作りを心がけましょう。
具体的な対策方法には、つぎのようなものがあります。

マスクや手洗いで風邪予防

ほとんどの風邪は、ウイルス感染が原因とされており、抗生物質は効きません。

しかし、弱った粘膜に細菌が感染する「二次感染」の予防や、風邪をこじらせておこる中耳炎や肺炎の治療薬として、抗生物質が処方されることがあります。

マスク・手洗いなどを徹底し、風邪の感染を防ぎましょう。
野菜や発酵食品を積極的に食べて、免疫力をアップさせるのもおすすめです。

トイレを我慢せずに膀胱炎予防

妊娠中は、膀胱が子宮に圧迫されることで頻尿になることがあります。
何度もトイレに行くのが面倒だからと我慢しておくと、膀胱内に入った細菌を外へ出すことができず、膀胱の粘膜が炎症を起こします。

初期のうちに治療すれば妊娠に影響はありませんが、放っておくと膀胱炎から腎盂炎へと進行してしまうかもしれません。
腎盂炎が重篤化すると、炎症によって子宮の収縮が起こり、流産や早産の危険性が高まります。

「トイレを我慢しない」「水分をよく摂る」といった対策で、膀胱に細菌が感染するのを防ぎましょう。

鼻風邪を早く治して副鼻腔炎予防

副鼻腔炎は、風邪などのウイルスや細菌感染によって、鼻腔内に炎症が起こる病気です。
鼻風邪を長引かせるなど鼻水がたまった状態が長く続くことで、細菌による炎症が起こりやすくなります。

花粉症やアレルギー性鼻炎のある方は、注意が必要です。
副鼻腔炎では、鼻水・鼻づまりのほかに、顔の痛みといった症状も出ます。

耳鼻科での治療が一般的で、抗生物質を使えない場合は鼻腔内を洗浄して、溜まった鼻水や膿を洗い流す処置を行います。
耳鼻科で治療を行う際は、必ず妊娠していることを先生に伝えましょう。

口内を清潔に保ち虫歯予防

虫歯の治療にも、抗生物質が処方される場合があります。
妊娠すると、つわりがひどくて歯磨きが十分にできなかったり、ホルモンバランスの影響で口内が酸性にかたむき唾液がねばつくことによって、虫歯になるリスクが高まるのです。

時間にこだわらず調子のよいときに歯を磨いたり、デンタルフロスを使用して歯を清潔に保つよう心がけましょう。

そもそも抗生物質ってなに?

抗生物質は、なんとなく「病気を退治してくれる薬」くらいに考えている人もいるかもしれません。
具体的にはどういうものなのでしょうか。

細菌などの病原微生物を殺したり、繁殖をおさえる薬を「抗菌薬」とよびます。
抗生物質とは、抗菌薬のなかでも、カビなどの微生物から作られた化学物質のことをさします。

抗生物質は、細菌感染症以外への治療効果はないため、病気にかかるとかならず処方されるというわけではありません。
抗生物質は、飲み薬のほか、市販の塗り薬に含まれている場合もあります。

抗生物質の服用は、医師の指示に従って

おなかの赤ちゃんへの影響を心配して、処方された抗生物質を飲まずにいると、症状が悪化して、ママにも赤ちゃんにも悪影響を与える可能性があります。

決して自己判断で薬の服用・中止を行わないようにしましょう。
産婦人科で処方される抗生物質は、研究によって安全性が保証されています。

出された薬は正しく服用し、1日でも早く健康な身体に戻ることが大切です。
細菌に感染しないよう日頃から気をつけて、不安の少ない妊娠生活を送りましょう!