流山市は本当に子育てしやすい街?直接、市長に聞いてみた!

都内の駅でもよく目にする「母になるなら、流山市。」というスローガンが印象的なポスター。

つくばエクスプレスが開通してから15年、共働きの子育て世代の転入者数は、年々増加傾向にあるようです。

実際に千葉県流山市が、どのような施策で市民をサポートし、子育て環境を充実させているのか

そして、ほんとうに子育てしやすい街なのか

編集部は、井崎義治市長に直接お話しをうかがってきました!

2005年に「つくばエクスプレス」開通


井崎義治市長

——流山市は「子育てをしやすい街」というイメージが、すっかり定着し、一気に知名度を上げている印象がありますが、具体的にどのような施策を行ってきたのでしょうか。

2005年の「つくばエクスプレス(以下TX)」開通のおかげで、流山市には「南流山」、「流山セントラルパーク」、「流山おおたかの森」3つの駅ができました。

とはいえ、流山市は、そもそも知名度がとても低いという弱点がありましたから、TX開通にともなう区画整理でできた大量の土地を売るには、当然、流山市の知名度と地域イメージを向上させることが急務になります。

そこでマーケティング課を発足し、ターゲットを明確にすることから始めたのです。

もともと流山市は、子育て世代が多く住む町ではありましたが、都心へのアクセスが悪いなどの理由から、ほとんどが専業主婦の子育て世帯でした。

それが、TXが開通したことで都心への時間・距離がぐっと短縮したことから、“共働きの子育て世代”をメインターゲットにし、子育てと仕事が両立しうる環境作りを目指すことにしました。

その一環として始めたのが、「駅前送迎保育ステーション」です。

市内の駅と保育園を結ぶ送迎バスのサービスで、都心に働きに出る共働き夫婦のサポートを目的にしています。

ただ、誰もが利用できるというわけではなく、ご自宅から保育園の距離が遠い方などが対象です。

流山市には、駅から遠い保育園は、定員がなかなか埋まらないという状況もあり、それを改善する目的もありました。


駅前送迎ステーション

——このほかにも、子育て共働き世代を誘致するうえで工夫されてきたことはありますか?

ここ5年の間で、特に力を入れているのが、出産・育児後の女性が仕事に復帰できる環境を作るということです。

そのために、毎年「女性向け創業スクール」を開催。起業、あるいは事業拡大につながるノウハウを提供しています。

また、流山市には、母親向けのシェアオフィス「Trist(トリスト)」があり、ここは企業のサテライトオフィスとしても利用されているんです。

子育て中の母親が都内に勤務しなくても、流山で働ける仕組みになっています。

「Trist」は、尾崎えり子さんという、自らも流山市で子育てをしながら起業をされた女性が、独自に立ち上げたプロジェクト。

また、当初の母親や、性別・年代を超えて、リモートオフィスとして拡大しています。

彼女の発想力と行動力には、大変感銘を受けました。

彼女の他にも、流山市には、アイデアを行動に移す方々がたくさんいらっしゃるんですね。

最近では、流山市の広告ポスターに起用するモデルのコンテストを市民が自主的に開催するなど、面白い企画が次々とカタチになっているんです。

こうした市民のアイデアに、私たちはできる限り応えるようにしています。

“面白い企画に、市は乗ってくれる”という、市民の期待感こそ、市を活性化する原動力。

彼らの知恵や発想を絶やさないためにも、市は邪魔をしないことが、大切だと考えています。

市民が何かを立ち上げようとしているときに、ネガティブな発言で遮ることほど、ナンセンスなことはありません。

一人ひとりの夢が、創意工夫を凝らした活動へと発展できるよう全力でサポートします。


流山市のPRポスター

——いまや流山市の人口は、14年間で約4万人も増加したということで、市の取り組みは、まさに大成功ですね。

おかげさまで、順調に転入者が増えています。

また、「少子高齢化」の波に飲み込まれず、試算では後2、3年もすれば、子どもの数が、団塊の世代を上回るほど増加傾向にあるのも、うれしい変化です。

さらに、合計特殊出生率(一人の女性が生涯で出産する子どもの数の平均)が、12年前に比べて4割も上昇しています。

子どもの数、合計特殊出生率ともに、順調に伸びており、この時代にあってとても嬉しいことです。

駅前広場で地域活性化


——子どもがそれだけ増加しているとなると、保育園事情も気になります。

待機児童ゼロには至っていませんが、認可保育園の数と定員は、この10年間で3倍に増えています。

今年4月の段階では、コンビニの数よりも認可保育園の数のほうが上回りました。

2019年度までには認可保育園等の数を4.4倍、定員数を3.6倍に増やし、待機児童をゼロにするべく全力で取り組んでいます

また4年後には、東洋一の物流センターが完成しますが、そこには各物流センターごとに企業内保育所を設けて頂く予定です。

こうした取り組みを拡充させ、待機児童の改善はもちろん、子どもの側で働ける環境づくりにも、注力していきます。

——子育てをするうえでは、自然環境や地域の人との交流も重要なポイントになりますが、これらに関してはいかがでしょうか。

TXの開発で流山市の豊かな緑が減ることへの懸念もありましたが、2006年に導入した「グリーンチェーン認定制度」により、市街地内の緑視率は上昇しています。

グリーンチェーン制度とは、市で定めた基準に沿って、高木を植えるなど緑化に力を入れた物件に対して、市が認定書を出す、という仕組みです。

認定された物件の購入者は、市内の金融機関で優遇金利による融資を受けられます。

こうした取り組みで市街地内に豊かな緑を回復しているのです。

公園の数も、首都圏で1位

地域面積が小さいので、小さな公園が多いのですが、かつては不法投棄が問題になっていた藪でうっそうとした場所も、宅地開発によって整備された公園になり、治安の改善にもつながっています。


流山グリーンフェスティバル

また夏休みシーズンには、「流山おおたかの森」駅前広場で「ナイトカフェ」を開催。老若男女、誰もが参加でき、どの家族も一体となって楽しめるとあって、多くの方から、ご好評をいただいております。

今年は、イベントが終わった後も、訪れた人たちの熱気が冷めず、駅前で、子どもも大人も一緒に踊り始める、という珍しいエピソードが生まれるほど、盛り上がったようです。

4日間で、市外の方も含め、5万人近い方々にご来場いただきました。

冬場にはアイススケートリンクも開催します。

こうした大型のイベントで人々の交流の場を活性化していきたいですね。


ながれやまアイスワールド「mo-rink」

———最後に、今後の目標について教えください。

流山市に転入してきた人のなかには、近くに頼れる家族がいない人も多くいます。

そのような中、家族の誰か一人でも病気で倒れてしまうと、一気に負担が大きくなり、精神的に追い詰められてしまうことも考えられるでしょう。

そうした人々への、切れ目のない支援の実現にも注力したいと考えています。

編集部まとめ


自分の住む町への充実感が増すと、周囲にも自慢したくなるもの。そうした声がさらに人を呼ぶという好循環が、流山市には生まれています。

市長のお話を伺って何よりも感動をしたのが、市民の潜在的なニーズに迅速に対応するという姿勢です。

正式な要望や苦情に対してだけ対応するのではなく、ちょっとした市民の不自由さにも、目を向けてきたからこそ実現した「駅前送迎保育ステーション」や「女性向け創業スクール」。

小さな声も、市に届くという地域への信頼感こそ、本質的な住みやすさに直結することを改めて実感しました。

(取材・文/染矢真帆)

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