千葉市・熊谷俊人市長が本気で乗り出す、子育てしやすいまちづくり

緑が多く、日本一長い人工海浜があるまち、千葉市。この自然豊かな環境で、のびのびと子育てがしたい。

その想いを実現させるべく、今、千葉市が一丸となってチャレンジを続けています。

千葉市の熊谷俊人市長は、2009年に31歳の若さで市長に就任。数々の実績を残していますが、現在も政令指定都市の市長としては最年少です。

そんな熊谷市長が目指す「子育てしやすいまち」について、話をうかがってきました!

待機児童ゼロを達成

ーー市長に就任されて、10年が経とうとしています。この10年間に取り組んできた子育て政策について教えてください。

千葉市はこの10年で、「首都圏の大都市のなかで、1番子どもを保育園に預けやすいまち」になりました。

これは待機児童の数を見ると、お分かりいただけると思います。

平成23年には保育園に入ることができない児童は350人いましたが、平成26年には「待機児童ゼロ」を達成。

お母さん達からも「保育園に入れやすくなった」という声を多くいただいています。保育園や保育士の確保という、「量」では成果を出すことができました。

ーー保育園に預けやすいというのは、子育てにおいて安心できるポイントですね。

そうですね。今力を入れているのは、学童保育の拡充です。千葉市では学童保育のことを「子どもルーム」と呼んでおり、これだけ保育園が増えたのだから、学童保育の需要も爆発的に増えるだろうと予測していました。

「緊急3か年対策」と題し、子どもルームの整備を進めてきましたが、なおも申込数が上回っている状況ですので、さらにギアをあげて取り組んでいます。

千葉市・熊谷俊人市長

ーー子どもルームについて、詳しく教えてください。

「小一の壁」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

共働きのご家庭にとって、実は小学1年生に進級するときにこそ、「子育てと仕事の両立」という壁が立ちはだかるんです。

安心して子育てしていただくためには、保育園と並行して子どもルームの数を確保し、女性が働きやすい環境を、市としてバックアップしなければなりません。

大事なのは、「量」の確保はもちろん「質」も担保されていること。

すべての子どもたちに、実りある放課後の時間を過ごしてほしいという思いがあります。

そこで、民間企業も巻き込んで、「放課後子ども教室」を実施。

これは、学校の教室や校庭をつかって、身体を動かしたり音楽を楽しんだりするもので、習い事とはいかないまでも、学びのきっかけを得られるようなカリキュラムになっています。

今は、「子どもルーム」と「放課後子ども教室」の一体型を生み出し、あらたな千葉市モデルをつくろうとしているところです。

両親が仕事で忙しい家庭もあれば、金銭的な事情や送迎ができないからという理由で習い事に通わせることがむずかしい家庭もあります。

どのような環境であっても、学びの機会は、すべての子どもに平等に与えられるべきだと思っています。

対話はTwitterでも実施

ーー熊谷市長は、どのようにして市民の方とコミュニケーションをとっていますか。

定期的に「対話会」を実施しています。

これは、Twitterでも行なっていますし、リアル(対面式)でも行なっています。

市民の皆さんの声は、政策を決めるうえで重要です。実際にTwitterで寄せられた声で意思決定を行なった例もあります。

例えば、子ども医療費の負担についてです。

千葉市では、平成23年8月診療分から、通院の助成対象年齢を小学3年生まで拡大し、自己負担額は300円としていましたが、「300円の自己負担額を0円にしてほしい」という意見が、Twitter上で多く寄せられました。

しかし、この300円を市が負担するとなると、年間で約4億円かかります。これには、皆さんびっくりされていました。

そこで私は、自己負担額を300円に据え置いたうえで、この約4億円をさらに子ども医療費に活用すれば、対象が小学6年生まで拡大できると提案。

すると、「自己負担額は300円のままで良いから、小学6年生まで対象を拡大してほしい」という意見がありました。

Twitterが面白いのは、私たちのやりとりを他の方も見られること。

この例には続きがあって、私たちのやりとりを見ていた別の方が、「自己負担額を500円にしたら、さらに対象を拡大できますか」と質問してくださったんです。

自己負担額500円の場合、中学3年生まで対象を拡大することができます。

そのことを説明したところ、「自己負担額を500円に増やしてもいいから、中学3年生まで対象を増やしてほしい」という意見が増えました。

そこで、保育園・幼稚園・小学校・中学校の子をもつ保護者を対象に、大規模なアンケートを実施。「中学3年生までの対象引き上げ案」に対する賛成がもっとも多いという結果になりました。

今は、小学3年生までは300円、小学4年生から中学3年生までは500円という折衷案で、新制度をスタートさせています。

アンケートに参加された方は、納得感を感じていただける結果になったのではないでしょうか。

市民の方に現状を説明し、情報を開示する。そのために、今後も対話会を続けていきたいです。

父親が主体的に子育てしてはじめて、「子育てしやすいまち」になる

ーー熊谷市長ご自身も、2人のお子さんをもつ父親です。子育ての経験が仕事に活かされることはありますか。

ありますよ。保育園に行くと、お父さんたちが孤立する様子をよく見かけます。母親は自然とコミュニケーションをとれるんですが、父親はどうも苦手なんですよね。

行政のアプローチは、子育て支援といえば、母親支援。例えば、千葉市では「父親&母親学級」を平日に開催していますが、平日だと参加できないお父さんもいますよね。

だから、お父さんたちが孤立せずに子育てできるよう、「土日開催の両親学級」「パパスクール」「プレパパママ講座」を土日に開催して、父親向けの支援にも積極的に取り組んでいます。

ママ支援ではなく、親支援。僕も含め、父親はもっと子育てに主体的に取り組むべきです。

市の職員にも、「お迎えこそ、父親が行こう」と呼びかけています。

夫婦共働きの家庭が増えたとはいえ、男性は「空いた時間に育児する」という感覚が否めません。女性は、育児の時間が基礎にあって、その中で働いている。犠牲のレベルが違うんです。

私自身、子どもが保育園のときは、おそらく年に50回ほどお迎えに行っていました。お迎えに行けば、保育園の先生から今日1日の出来事を聞くこともできます。

「行けたら行く」じゃなくて、「僕が行く」。そんな父親の想いが実現できるまちにしなければならないと思っています。

ーーこれからどのような千葉市にしていきたいですか。

子どもは未来を担う、かけがえのない存在です。だからこそ、親だけでなく、社会全体が自分を育ててくれているという実感をもって育ってほしいと思っています。

多様な人が子どもを見ることは、自己肯定感を育むうえでも重要です。

親がいい気持ちで子どもに向き合うことができれば、子どもは健やかに成長します。

どのような環境の家庭もサポートしていきたいですし、親の悩みを地域社会が受け止められるような社会構造をつくっていきたいです。

編集部まとめ

市民の納得感を得るために、「わかりやすく、おもしろい説明」を心がけているという、熊谷市長。

「夏祭りのときに、お母さんたちに意見を聞いてみた」という話もあり、日頃から双方のコミュニケーションを大切にしていることが、ポイントのようです。

政治は、むずかしい。財政の状況なんて、わからない。そう思う方も多いのではないでしょうか。

しかし、自分が住むまち、子どもが育つまちのこと。真剣に考えていきたいものです。

千葉市の取り組みは、いつも時代の少し先をいっています。
それは、市民の皆さんと千葉市が、子どもの未来を一生懸命考えているから。ぜひ、Twitterでの対話会の様子も覗いてみてください。

プロフィール
熊谷俊人(くまがい・としひと)

1978年生まれ、神戸市出身。2001年早稲田大学政治経済学部卒業、NTTコミュニケーションズ株式会社入社。2007年5月から2年間、千葉市議会議員を務め、2009年6月、千葉市長選挙に立候補し当選。当時全国最年少市長(31歳)、政令指定都市では歴代最年少市長となる。現在3期目。娘・息子・妻と4人家族。趣味は登山、詩吟、歴史。

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