横浜市・林文子市長インタビュー!女性が活躍できる街づくりとは?【前編】

近年、全国の多数の自治体が対策に乗り出した保育所待機児童問題。

いち早く「待機児童ゼロ」を実現させた横浜市は、多くのママたちから「移住したい」という声があがる人気の街です。

今回、「赤ちゃんの部屋」編集部は、「待機児童ゼロ」を市長選の公約に掲げ、2009年就任直後からこの問題に取り組んできた、林文子市長に「子育て支援にかける想い」をうかがいました。

女性が活躍できる街を作る、その使命感とは?

横浜市・林文子市長インタビュー!女性が活躍できる街づくりとは?【前編】

ーー林市長は、2009年就任直後から待機児童をゼロにすることを目標に掲げて、2013年にはゼロとなりましたが、この問題に本気で取り組もうと思われた市長のお気持ちをお聞かせください。

私は18歳から働きはじめました。
男性中心の組織で女性が仕事をしていく苦労も経験しましたが、逆に、男性と女性がお互いの強みを活かし合うことで組織が活性化し、大きな成果につながることを、身をもって体験してきました。

一方で、民間で経営者だったころに、保育所が見つからず、子どもを預けられずに、泣く泣く仕事を辞めていく優秀な女性社員の姿を見るたびに、悔しい、やるせない気持ちになっていました。
個人にとっても組織にとっても、本当にもったいないことです。

だからこそ、女性が働き続けられない状況の一因となっている「待機児童」の問題に、市長になって真っ先に取り組みました。

横浜市・林文子市長インタビュー!女性が活躍できる街づくりとは?【前編】

ーー男女雇用機会均等法もない時代から、ビジネスの第一線で活躍されていらっしゃった中では、ご苦労も多かったと思います。

今の若い人たちには信じられないかもしれませんが、入社してすぐに上司から言われたのは、「皆さんの先輩の高卒の女性は、大体5年ほどで辞めていく」という言葉でした。

当時は、男女の仕事にはっきりと線が引かれていて、女性の仕事といえば、お茶くみやコピー取りなど単純作業ばかりでした。

「もっとやりがいのある仕事がしたい」と転職を重ね、31歳の時に出会ったのが車の営業でした。

何台売れたか、まさに数字がすべての世界です。
頑張れば頑張るほど結果が出るし、男女関係なく評価されますから、本当に面白くて、昼夜を問わず、がむしゃらに働きました。

お客様に寄り添う「おもてなしのセールス」を徹底して実践し、3ヶ月ほどでトップセールスを記録しました。
40代後半からは支店長や代表取締役など、企業の経営に携わってきました。

女性がその強みを活かして社会で活躍できるように応援し、当たり前に安心して子どもを産み育てられる社会をつくることは、次世代のために果たすべき私の使命だと思っています。

「横浜方式」が全国にひろがっている

横浜市・林文子市長インタビュー!女性が活躍できる街づくりとは?【前編】

ーー市長に就任された当時は、待機児童問題をはじめとして、自治体の子育て支援が現在ほど整っていなかった時代だったように思います。林市長の施策に周囲からの反応はどうでしたでしょうか?

当時、横浜市で保育所に入れないお子さんは、自治体で全国最多の1,552人。
なんとしても待機児童を解消し、女性も男性もいきいきと働ける社会を実現したいと、「待機児童ゼロ」を市民の皆様にお約束しました。
しかし、「保育所を増やせば、子どもを預けて働こうとする家庭がそれ以上に増える。いたちごっこでゼロにできるわけがない」と、周囲の反応は冷ややかなものでした。

それでも私は、民間経営者出身として、あえて数字にこだわり「ゼロ」と言い続けました。

絶対成し遂げるんだという信念を持って、就任後すぐに市長直轄のプロジェクトチームを結成しました。

民間の皆様にご協力いただき保育所を大幅に増やすとともに、低年齢児を対象とした「横浜保育室」や長時間の幼稚園預かり保育の拡充など、定員枠の拡大に取り組みました。

横浜市・林文子市長インタビュー!女性が活躍できる街づくりとは?【前編】

あわせて、保護者の皆様お一人おひとりからご希望を丁寧にお伺いして、適切な保育サービスをご案内する「保育コンシェルジュ(※)」を、全国で初めて、区役所の窓口に配置しました。

それまでも、お客様の声を大切に仕事をしてきましたから、同じように、「どのような働き方をしたいのか」「どのような預け方をしたいのか」について、現場の職員が徹底的に保護者の方々の声を聞くことに努めたのです。

こうして、子どもたちを健やかに育てたいという思いで横浜市が一丸となって、それぞれの力が結集したことが、3年での待機児童ゼロ達成につながり、本当に感慨深いものでした。

この取り組みは、国から「横浜方式」と評価され、今や日本全国に広がっています。

働きたくても働けない女性たちが多くいるという事実が多くの方に知られ、待機児童問題がクローズアップされるきっかけになったことは、本当に良かったと思っています。

(※現在は「保育・教育コンシェルジュ」)

横浜市・林文子市長インタビュー!女性が活躍できる街づくりとは?【前編】

ーーインタビューは次回の後編「地域子育て支援拠点」や「横浜子育てパートナー」について、うかがいます!

プロフィール
林 文子(横浜市長)

東洋レーヨン(株)(現東レ)、1977年ホンダの販売店に入社。BMW東京(株)代表取締役社長、(株)ダイエー 代表取締役会長、日産自動車株式会社 執行役員等を歴任。
ウォールストリートジャーナル紙「注目すべき世界の女性経営者50人」(2004年)、米フォーブス誌「世界のパワフルウーマン100」(05、06年)、在日米国商工会議所(ACCJ)「パーソン・オブ・ザ・イヤー」(14年)等に選ばれる。
2009年8月、横浜市長に就任、2017年8月より3期目。
現在、指定都市市長会会長、内閣府・男女共同参画会議議員を務める。
ブログ:https://www.hayashifumiko.com/