孤立しない子育て環境をつくる!新宿区・吉住健一区長をインタビュー

ビジネス街や人気観光地などのさまざまな顔をもつ、東京都新宿区。
世界一利用者数が多いといわれる新宿駅の周辺には百貨店や家電量販店などが並び、連日多くの人が訪れます。
この大都会・新宿区が、実は子育てしやすい街であることをご存知でしょうか。
新宿区は、子育て世帯をサポートする制度が充実しており、多くのお父さんやお母さんからの支持を得ています。
今回は、新宿区の吉住健一区長に「都心で子育てしやすいまちづくり」への思いをうかがいました。

大切なのは、お父さんやお母さんを孤立させないこと

新宿区・吉住健一区長

ーー新宿区での子育て政策において、吉住区長が重要視されているポイントを教えてください。
私が重要視しているのは、子育て世帯を孤立させないことです。
新宿区で子育てされているご家庭には、以下のような2つの特徴があります。

(1)共働き世帯が多い
(2)祖父母や親族が近くにいない世帯が多い

会社には知り合いがいるけれど、近隣住民は知らない人ばかり、ということも珍しくありません。

子育てをしていると、予期せぬアクシデントが起こったり、ひとりでは立ち行かなくなったりするおそれもあります。

そのような状況になる前に、手を差し伸べることが重要であると考えています。

サービスにインセンティブをつける本当の理由

ーー子育て世帯を孤立させないための、具体的な制度やサポート体制について教えてください。
妊娠届を提出された妊婦さんを対象に、保健師や助産師などの専門職との面談の機会を設けています。
このサービスはゆりかご・しんじゅくといい、妊娠初期の不安や疑問点などを直接専門職に相談できる場として、多くの妊婦さんに活用されています。
妊婦さんからは、「どこに何を相談すれば良いのかがわからなかったのでとても助かりました」、「初めてでわからないことばかりのため、親身になって相談にのってもらえるのは心強い」などのご意見をいただいています。
保健師などには、妊婦の方に必要な情報をお伝えする機会になるため、妊娠中から関係を築くことができ、産後のサポートもより早い段階から行うことができることから、さらなる支援の向上につながっています。

この面談では、妊婦さんの不安や疑問を解消するだけでなく、行政の子育て支援や相談窓口の紹介なども行っています。

困ったときにどうしたらいいのか、誰に助けを求めたらいいのかをお伝えする重要な機会でもあるので、多くの方に面談を受けていただきたいのです。
そこで、面談を受けた妊婦さんにはゆりかご応援ギフト(1万円相当のこども商品券)をお送りしています。
面談を通して疑問が解消され、有益な情報を得られるだけでなく、後日ゆりかご応援ギフトが届くということで、大変好評です。妊娠届を提出した方で面談を受ける方の割合は、今では9割を超えています

ーーゆりかご応援ギフトを用意することで、面談を受ける人が増えたのですね。他に工夫していることはありますか。
新宿区では、出産前のお父さんやお母さんを対象に、母親学級両親学級を開催しています。いつもたくさんのご応募をいただく人気講座です。
参加される方には、事前にお住まいの地域なども教えていただきます。

「なぜ、こんな細かいことまで聞くのか?」という意見をいただくこともありますが、それはできるだけ近くに住む方同士を同じグループにしたいから。

グループワークを通じて、月齢が近い子どもがいる親同士の繋がりができたら、きっと心強いだろうと思うのです。

母親学級では、1日目に「ママたちの交流」という時間を設けています。

この講座を、仲間づくりの場としても活用していただきたいと考えています。

安心して子育てできる、医療のサポート体制

ーー出産後のサポートについても教えてください。
子育てにおいて心配なことのひとつが、子どもの健康面ではないでしょうか。

新宿区では、子どもが15歳に達する日以後の最初の3月31日までの医療費が自己負担額無料です。

さらに、夜間の急病にも対応できるよう、「しんじゅく平日・土曜日夜間こども診療室」を国立国際医療研究センター内に開設しました。

平日・土曜日の22:00まで診療を受けることができます。

子どもの体調は急変することが多いので、夜間に診療を受けられると安心ですよね。

私の子どももよく熱を出し、病院の夜間救急に駆け込んだことが2度あります。

当時は、平日の昼間と同じくらいの料金で診療を受けることができたのですが、その後の法改正により、病院の夜間と休日・祝日の受診には、時間外選定療養費という割増料金が設定されました

割増料金の負担が大きいという理由で、受診を控えてしまう家庭があってはいけないと思い、追加費用のかからない平日・土曜日夜間こども診療室を開設したのです。

日曜・祝日や年末年始は、新宿区医師会区民健康センター内で診療を受けることが可能です。いつでも安心して診療を受ける環境が整っています。

大変なときは、いつでも頼ってほしい

ーー日常の生活をサポートする制度はありますか?
出産から1年間の期間限定ではありますが、育児や家事を手伝う人を派遣する「育児支援家庭訪問事業」というサービスがあります。

繰り返しになりますが、新宿区で子育てするお父さんやお母さんは、両親と離れて暮らしている方が多くいらっしゃいます。

仕事や用事で忙しいときや、体調をくずしてしまったときなど、サポートが必要なときに頼る人がいない方が少なくありません。

睡眠時間が少ないなかで子育てをしていると、気が休まりませんし、身体も疲れてしまいます。そのようなときは、ぜひ行政のサービスに頼ってほしいのです。

この「育児支援家庭訪問事業」では、ヘルパーさんにたとえば、オムツの交換沐浴部屋の片付け買い物をお願いすることができます。

1歳のお誕生日前日までに延べ30時間まで利用でき、料金は1時間あたり1,000円です。

日々の負担やストレスが溜まり、それらが子どもに向いてしまうのは避けなければいけません。

大変だなと思ったときに、ぜひ気軽に利用していただきたいと思っています。

訪問サービスは、育児支援家庭訪問事業のほかにもありますし、一時保育などのサービスもあります。

このような子育て世帯をサポートするさまざまな情報は、「はっぴー子育てガイド」という冊子や「しんじゅく子育て応援ナビ」というスマートフォン専用アプリでも確認することが可能です。

さまざまな角度から情報を発信し、多くのお父さんやお母さんに行政のサービスを知っていただけるよう取り組んでいます。

目指すのは「新宿で育て続けたい」と思えるまちづくり

ーー最後に、待機児童の解消に向けた取り組みについて教えてください。

新宿区の待機児童数は25名(平成30年4月1日現在)で、東京都23区のなかでは少ないと言えます。

次々にタワーマンションが建設されており、なかには1,000世帯規模のものまであります。1棟建つごとに、子どもの数も増えていきます。

そこで、待機児童を解消するため、新しく建設される大規模なマンションには、敷地内に保育所を設置してもらうようはたらきかけています。

また、以前は保育事業者から物件の確保も含めて提案を受け、整備を進めていましたが、今年度から、区自らが保育所として活用できる物件を募集するようにしました。

その他、区では、専門室や保育室の余裕スペースを活用した定期利用保育を実施しており、短時間就労の保護者のニーズにも応じています。

今は民間企業の保育サービス参入が増えてきました。これまで主に保育を行なっていた社会福祉法人などとの考え方やサービスの違いから、新たな課題も出ています。

時代の変化に柔軟に対応していく必要があり、今は過渡期。共同歩調で歩みを進めていかなければいけません。

お父さんやお母さんに「新宿区で育て続けたい」と思っていただけるようなまちにしていきたい。そう思っています。

ーー本日は、お忙しいところお時間いただき、ありがとうございました!

(取材・文/伊藤みさき)

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