県民と進める「切れ目のない」少子化対策!充実した施策について三重県・鈴木知事にインタビュー

生涯未婚率の増加や少子化などの問題は、ますます深刻化しているというニュースをよく耳にします。

三重県では、そういった問題解決のために、若者の出逢いサポート、男性の育児参画など、たくさんの取り組みをおこない、県民が家族を大切にできる環境づくりを日々積み上げています。

今回その取り組みの詳細について、三重県・鈴木英敬知事にインタビューする機会をいただきました!

みえ・たい3・スイッチ運動

県民と進める「切れ目のない」少子化対策!充実した施策について三重県・鈴木知事にインタビュー
三重県・鈴木英敬知事

ーー三重県では「みえ・たい3(キューブ)・スイッチ運動」という形で少子化対策を重点的に進めているそうですが、これはどんな内容の取組なのでしょうか?

三重県では、「結婚・妊娠・子育てなどの希望がかない、すべての子どもが豊かに育つことのできる三重」をめざして、「子ども・思春期」「若者・結婚」「妊娠・出産」「子育て」のライフステージごとに「働き方」も含めた切れ目のない取り組みを進めています。

取り組みを進める上で大切にしていることは、「結婚や子どもを持つことなど家族形成については、当事者の判断が最優先される」ことが大前提であるということです。

そのうえで、県民の皆さんの「出逢いたい・産みたい・育てたい」という希望をかなえるために、行政だけでなく、県民や地域、企業・団体と連携しながら県民運動として少子化対策に取り組んでいくことを、「みえ・たい3・スイッチ運動」と銘打って、さまざまな取り組みを進めています。

少子化対策「みえ出逢いサポートセンター」

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ーー少子化の要因として、未婚率の上昇と晩婚化が進んでいることがあげられますが、こういった問題にどんな対策をおこなっていますか?

平成29年度、県内の18歳から39歳までの方を対象に、結婚や出産、子育て、働き方に関する大規模な意識調査を実施しました。その結果、現在、独身の方の約8割が「いずれ結婚するつもり」と考えている一方で、実際には未婚化、晩婚化が進んでおり、結婚を望む方にとって理想と現実に大きなギャップが生じていることが確認できました。

県民への意識調査の結果によれば、「出逢いがない」が結婚していない理由としてもっとも多いという結果が出ています。

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そこで、平成26年度に設置した「みえ出逢いサポートセンター」を通じて、結婚を希望する独身の方への出逢いの場に関する情報提供や、県内でイベントを企画する企業・団体や市町等の取り組みのサポートなどを行っています。

また、若者の雇用状況の悪化が未婚率上昇の要因のひとつであることが、さまざまな研究や調査で指摘されていますので、県内企業と若者とのマッチング、正規雇用に向けてのキャリアアップ研修など若者・子育て世代の安定した経済基盤の確立にも取り組んでいます。

男性不妊治療費への助成

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ーー不妊に悩む家族への支援や、周産期医療の充実、妊産婦・乳幼児ケアの充実も対策されているそうですが、具体的にどんなことをされているのでしょうか?

従来の少子化対策は、女性に依存し過ぎていた面があったことの反省として、三重県では「男性の意識を変えること」に着目し、取り組みを進めています。

例えば、不妊の原因の48%は男性にあると言われていますが、当時、国の助成制度では対象とされていませんでした。

そこで、全国に先駆けて、男性不妊治療費への助成を開始することとしました。

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このほかにも、国の助成制度の上乗せや市町への補助を県独自に行うなど、不妊治療をのぞむ方の不安や負担を少しでも軽減し、安心して治療に臨むことができるよう取り組んでいます。

また、妊産婦やその家族が必要な時に必要なサービスを受けることができるよう、切れ目のない母子保健サービスの体制整備「出産・育児まるっとサポートみえ(三重県版ネウボラ)」を、国に先駆けて進めています。

みえのイクボス同盟

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ーー核家族化が進んでいる現在、いろいろな不安を抱えている子育て世代が多くいらっしゃいます。三重県では子育てのライフステージに合わせて、どのような取り組みをされていますか?

子育て世代の方が地域で安心して子育てができるよう、待機児童の解消に向けて保育所整備保育士確保などを進めています。

また、発達支援が必要な子どもが健やかに成長できるように、障がいや発達に課題のある子どもの専門医療・福祉機関として「三重県立子ども心身発達医療センター」を開設しました。

このセンターでは診療や療育を行うだけでなく、子どものこころとからだの発達支援の拠点として、専門人材の育成など地域支援にも力を入れています。

子育て施策の中で、三重県が特に力を入れてきたのは、男性の育児参画です。核家族化などが進む中で、子育てにおける男性の協力は不可欠となっていますが、まだまだ家事育児の負担は女性に偏っているのが現状です。

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そのため、平成26年度から男性の育児参画を後押しする「みえの育児男子プロジェクト」を立ち上げて、男性がもっと育児に積極的に関わることができるように普及啓発などに取り組んできました。

その結果、全国平均を下回っていた男性の家事育児時間は、全国平均を上回り全国10位となりました。

あわせて、三重県庁のリーダーとして率先垂範ということで、長男が生まれた際に、知事として2人目となる育児休暇を取得しました。さらに、妻が出産を控えた人に対して、出退勤時間の融通が必要な日などを書き込む「育児参画計画書」を導入するなど具体的な仕組みに落とし込み、県庁内の職員の意識改革を進めた結果、平成29年度には男性職員の育児休業取得率は約25%となりました。

男性の育児参画を進めるためには、企業の意識も変えていくことが大切です。

平成28年度に誰もが働きやすい職場づくりに取り組む企業経営者(=イクボス)などで構成する「みえのイクボス同盟」を立ち上げて、「イクボス」の認知度向上や普及を進め、現在、179の企業や団体に加盟いただいています。

県民とともにめざす「幸福実感日本一」

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ーー「男性の育児参画」といった面でいろいろとご尽力されていると思います。こういった試みや施策を行うにあたり、ご苦労などがありましたら具体的に教えてください。

リーダーの仕事の一つは「空気」を変えることであり、男性の育児参画、女性活躍、ワーク・ライフ・バランスの実現など、いずれの取り組みも成功のカギを握っているのは「リーダー=イクボス」です。そこで、三重県では関係者と連携しながら、イクボスの認知度向上や普及に取り組んできました。

その結果、NPO法人ファザーリング・ジャパンが平成29年度に実施した「イクボス充実度アンケート調査」で都道府県部門第1位となりました。

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イクボス学び合いトーク

しかし、まだまだ課題もあります。平成29年度に県内の事業所を対象とした意識調査を実施したところ、事業所の多くが自らの職場を育児や介護などの休暇を利用しやすい風土であると感じていないという結果が出ており、イクボスの取り組みや精神を県内に浸透させていく必要があります。

今後は、より現場に近い中間マネジメント層の風土づくりにも取り組み、組織内にイクボスの取り組みを浸透させていくことにも力を入れていきたいと考えています。

県民と進める「切れ目のない」少子化対策!充実した施策について三重県・鈴木知事にインタビュー

ーー今後、未来の三重県での子育てについて施策はなにか計画中ですか? 今後はどんな街にしていきたいですか?

三重県の子どもたちや子育て家庭を持続的に支えていくため、平成30年度に「三重県子ども基金」を全国に先駆けて設置しました。

法人県民税の超過課税分の一部を使って、待機児童の解消、児童虐待防止のための取り組みや子どもの貧困対策など子どもや子育て施策の財源として活用しています。

また、平成30年11月には、基金の仕組みを活かし、イオンリテール株式会社に協力いただき、利用額の一部が三重県子ども基金に寄付される「みえ子育てWAON」を発行し、基金がより安定した財源となるような取り組みも進めています。

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今後も、三重県子ども基金の仕組みを活用して、民間との連携を積極的に進め、子どもたちや子育て家庭を持続的に支援していきながら、社会全体で子どもや子育て家庭を応援していく機運を高めていきたいと考えています。

また、三重県では「幸福実感日本一」を基本理念に掲げ、毎年、県民の「幸福実感」を測定する意識調査を行っています。その結果を分析すると、県民が「家族関係」を大切にしており、幸福実感と密接に関係していることがわかってきました。

当然のことながら、子育てに正解はなく、「家族のあり方はさまざま」ですが、関係者の皆さんと連携しながら、家族を大切にできる環境づくりを進めていき、「幸福実感日本一」の三重県をめざしていきます。

ーー鈴木知事、お忙しいところお時間いただき、ありがとうございました!

プロフィール
鈴木英敬(すずき・えいけい)

1974年生まれ。出身は兵庫県(本籍地は三重県)東京大学経済学部卒業後、通商産業省(現経済産業省)に入省。2011年には全国最年少の36歳で三重県知事に当選(現在2期目)。
妻は元シンクロナイズドスイミング五輪メダリスト武田美保、現在2児の父。
2015年イクメン オブ ザ イヤー受賞、2016年度ベストファーザー イエローリボン賞受賞。

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