わが子の異変…「チック症」について
今では、大人はもちろん子どももストレスを抱えて生きていく時代。恋人やパートナーが落ち込んでいたり、なんだか様子がおかしい…ということに気付くことがあるかと思います。そして、特に自分以外の誰かのことに気が付きやすいのが、お母さん。わが子のことを誰よりも思っているママは、子どものちょっとした変化に気づきやすいもの。
ある日突然、わが子が「奇妙な動き」をしていることがあります。会話などではなくとにかく声を発する、何度も何度もまばたきをする、細かく首をふる…こういった動きが、毎日の生活の中で突然起こることがあります。そうすると当然ママは「あれっ?」と不思議に思うはず。
それが、家庭で発見されやすい「チック症」という症状なんです。
チック症とはどうやって、なぜ起こるのか、そしてどのように治療をしていけば良いのでしょうか。小さな子どもならではの症状について、見ていきましょう。
チック症とはいったいなんなの?
チック症というのは、チック(突発的・不規則な体のはやい動きや発声が繰り返す状態)が続くことをいいます。チック症にはいろいろな症状があり、それがひとつだけの場合もあれば組み合わさっている場合もあり、すぐおさまるか、どれだけ続くかもわかりません。チック症が起こりはじめるのは乳幼児期から学童期、つまり小さな子どもに起こりやすいものということです。
子どもにこの症状が起こるのは決して珍しいことではないと言われていて、そのため多くのママがわが子のチック症の症状に悩んでいるということなんです。原因は「コレ!」ということはわかっておらず、以前は家庭での母子関係など精神的な原因があって症状が起こると言われてきましたが、最近では脳(体)と心の両方に原因があって起こると言われています。
チック症の症状について
具体的な症状としては、大きく2つに分けることができます。
音声チック
- 「ふんふん」「あっ」「うっ」「んっ、んっ」と声を出すことが続いたり、咳払いのように声を出し続ける
- 鼻息を荒くして鼻を鳴らす
- 叫んだり奇声をあげる
- 「ばか」や「死ね」など罵るような汚い言葉を言う
- 自分で言った言葉を繰り返す
- 卑猥(ひわい)な言葉を繰り返し言う
運動チック
- 頻繁にパチパチとまばたきをする
- 首をかしげる
- 口のまわりを舐める
- 顔をくしゃっとしかめる
- 肩をすくめる
- 何度もジャンプする
- 筋肉がぴくんと動く
- 口をあける
- 片足をひきずる
この中の症状がひとつだけ続く、複数続くなどその程度はひとりひとり違います。また、症状が起こっているからといって止めるように促しても自分ではなかなか止められず、かえって不安をあおることになり悪化する場合が多いと言われています。次はチック症の程度について、見ていきましょう。
チック症の程度について
チック症の程度は以下のように分けることができます。
- 一過性チック障害
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運動チックや音声チックの両方、またはどちらかの症状が4週間以上・12か月未満続く障害のことをいいます。多くのチックを発症している人がこの段階になりますが、よく見られるもので珍しくなく、一時的なものとなります。
- 慢性チック障害
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運動チックと音声チックどちらかの症状が12か月以上続いて、また3か月以上ずっとチックがおさまらない障害のことをいいます。どちらのチックが続いているかで、慢性運動性チック障害・慢性音声チック障害とも呼ばれます。
- トゥレット障害(トゥーレット症候群)
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チックの症状が複数重なり、1年以上慢性的に続くものをいいます。トゥレット障害では、その40%以上に注意欠陥・多動性障害であるADHDが合併しているともいわれています。赤ちゃんの発達障害についてはこちら
チックの症状の中には先ほどもご紹介した汚い言葉を言うという「汚言症(おげんしょう)」があることから、周囲に受け入れられないということや社会的な問題があると言われています。汚言症はチックの症状でもごくごくまれで珍しいのですが、卑猥(ひわい)な言葉や誰かを罵るようなひどい言葉を繰り返し言ってしまうことなどかなりインパクトが強いものとなっているため、注目されやすいというものです。
チック症はなぜ起こる?原因について
チック症は、以前は「ストレス」など心の問題によって起こると言われていました。その為、家庭環境が悪い、子どもにストレスがかかっているんだと病院でママが責められるように言われるということもあり、子どもだけでなくママも強い不安をを覚えるものとなっていました。
しかし、今では脳の神経系が過剰に活動(反応)していることや、運動機能にかかわる脳の線条体(せんじょうたい)という部分になんらかの障害があるのでは…と考えられています。つまり精神的な原因ではなく、刺激に過敏になっていることで起こる反応であるということがわかります。子どものときに発症して、大きくなるにつれて症状がおさまっていく…ということも、脳や神経が成長・発達して落ち着くということを考えると納得できますね。
ですが、環境の変化などのストレスで症状が悪化することから、その程度や増悪については環境要因などのストレスが関係していることは間違いないとのことです。たとえば、下の子が生まれて自分を取り巻く環境がガラッと変わったことで発症した・引っ越しをして幼稚園が変わった…といった、何らかのきっかけが発症の原因となることも少なくありません。