祖父母と連携するコツ!NPO法人孫育て・ニッポンが提案する「孫育て10ヶ条」とは?

横浜市にある「地域子育て支援拠点はっち」で開催された、孫育て講座。参加者は、0歳(胎児含む)〜中学2年生のお孫さんをもつ、祖父母世代15名です。

1度は経験した子育て。
しかし今、孫の誕生を機に改めて「孫育て」を学ぼうという人が増えています。

講師を務めるのは、NPO法人孫育て・ニッポンの理事長である棒田明子さん(以下、棒田さん)。

セミナーを通して得た数多くの意見や自身の子育て経験を基に作成した「孫育て10カ条」が、さまざまな自治体の育児セミナーで配布されているほか、SNSでも多くの注目を集めています。

今回は、同講座を受講し、棒田さんへのインタビューを実施。祖父母に求められる育児のサポートや心がけるべき10ヶ条について伺いました。

祖父母に頼れないパパとママの理由とは?

ーー孫育て・ニッポンを立ち上げたきっかけは?

私は小さいとき、祖母と一緒に暮らしていました。近所には祖母と同年代のおばあちゃんたちがいて、一緒に遊んだ日々が印象に残っています。

一方、結婚後に長男を出産してからマンションで親子3人の生活が始まると、違和感や危機感を感じるようになりました。

「祖父母や近所の人たちとの暮らし」は、意識して環境をつくらなければ、息子に経験させることはできない。

そう感じたことが、NPO法人孫育て・ニッポンを立ち上げた最初のきっかけです。

また、当時私は、育児雑誌の編集の仕事をしており、「子育てが昔と変わってきている」と感じていました。

例えば、昔は「抱き癖がつくから、長い間抱っこしてはいけない」と言われていましたが、今は「愛着形成のために、たっぷり抱っこしてあげましょう」と言われています。

こうした子育ての違いが影響してか、「里帰りすると、いろいろ口出しされるから困る」「帰省期間を切り上げて、早めに帰ってきた」という声をよく聞くようになりました。

本来、祖父母はパパ・ママにとって、心強いサポーターです。

双方が互いに理解し、協力して子育てできるよう、私たちは孫育てや祖父母との付き合い方セミナーを実施しています。

ネット記事で学ぶパパ・ママたち

ーー祖父母とパパ・ママの世代間ギャップについて教えてください。

現代のパパとママは、じいじやばあばが子育てしていたころと比べると、お手本が少ないんです。
昔は子どもがたくさんいたし、地域の交流も多かったので、まわりの子育てを見る機会が多くありました。

でも今は「見て真似る」ことが難しいので、雑誌やインターネットから「学んでいる」のです。

見て聞いて、真似ていた祖父母世代からすると、「聞いてくれたらいいのに、なんでいつも検索して調べようとするの?」と、不思議な感じがするようです。

ーー今と昔の子育ての違いについても教えてください。

講座では、具体的に今と昔の子育ての違いをお伝えしています。たとえば、次の通りです。

出産後、すぐに沐浴させる 体温低下や皮ふのバリア機能を保つため、拭くのみ
お風呂上がりは白湯を飲ませる 水分補給は母乳やミルクで十分
うつぶせ寝をさせる 乳幼児突然死症候群予防のため、うつぶせ寝はさせない
離乳食は噛み砕いたものを与える 虫歯予防のため、噛み砕いたものや同じ箸では与えない。

セミナーで「昔は、(上記表のように)こうでしたよね」と聞くと、参加者の皆さんは懐かしそうに頷きます。

でも、「実は今、子育てが変わってきているんです」と紹介すると、「知らなかった……」と驚きの声があがるんです。

じいじ・ばあばとパパ・ママが、互いに理解し、歩み寄ることで、より豊かな子育てが実現できると思っています。

祖父母と共有したい「孫育て10カ条」とは?

ーー「孫育て10カ条」について教えてください。

孫育て10カ条は、セミナー参加者の声や子育て世代の声を基に作成したものです。孫育てに対する基本スタンスを提唱しています。

【孫育て10カ条】

  1. 育児の主役はパパ・ママ、祖父母はサポーター
  2. パパ・ママの話を聞く
  3. 今と昔の子育ての違いを知る
  4. とがめるより、補う
  5. 他の子、親と比べない
  6. 手、口、お金は、出しすぎず、心と体力にゆとりを!断る勇気を持とう!
  7. 「ありがとう」「ごめんなさい」を言う
    親しき仲にも礼儀あり
  8. 孫のほめ役、夢の最強応援団になる
  9. 自分のライフスタイルも大切に
  10. 老いていく姿を見せる

孫育ての基本スタンスは、「育児は、パパとママで完結」。祖父母はあくまで、サポーター役に徹するということです。

共働き世帯が増え、祖父母についつい頼ってしまうパパやママもいるでしょうが、祖父母のライフスタイルを尊重することも忘れないようにしましょう。

また、「孫育て10カ条」に対応する「祖父母とのおつきあい10カ条」も作成しました。

【祖父母とのお付き合い10カ条】

  1. 祖父母を頼りすぎない
  2. 「ありがとう」「ごめんなさい」を言う。親しき仲にも礼儀あり
  3. 育児方針、してほしくないことを祖父母に伝える
  4. 祖父母のタイプを見極める
    孫とあまり関わりたくない祖父母もいる
  5. 今と昔(祖父母世代)の子育ての違いを知る
  6. 預けた時は、文句を言わない
  7. お金をもらったら、口と手がついてくる
  8. 孫の扱いは、決して平等にはならない
  9. 祖父母の生活、年齢、体力を気にかける
  10. 子どもの祖父母を敬う気持ちを育む

これら10カ条は、あくまで孫育て・祖父母とのおつきあいに対する姿勢やスタンスにとどめており、具体的な育児方法には言及していません。

具体的なやり方を決め、伝えるのはパパ・ママの役割だからです。

頼りすぎるのも良くないですし、口を出しすぎるのも良くない。自分の役割を理解して、お互いを尊重しながら子育てをすることが大切だと思います。

地域社会で「たまごちゃん」を育てよう!

ーー今後の展望をお聞かせください。

祖父母世代の力は、間違いなく必要です。それは、自分自身の孫だけでなく、他人の孫に対しても言えます。

私たちは、他人の孫を「他孫」と書いて「たまご」と呼んでいます。

おじいちゃん・おばあちゃんが知っている昔の遊びには、子どもたちの発想力や負けん気などを鍛える遊びがいっぱいあります。

ぜひ、おじいちゃんやおばあちゃんには、他孫ちゃんとも積極的に触れ合っていただきたいと思います。

また、パパやママに対しては、子どもに地域のおじいちゃんやおばあちゃんとの触れ合いも経験させてあげてほしいと思います。

(取材・文/伊藤みさき)

プロフィール
棒田明子(ぼうだ・あきこ)

NPO法人孫育て・ニッポン、NPO法人ファザーリングジャパン理事など、多くの法人やプロジェクトの運営に携わる。2人の息子の母。

育児雑誌編集の仕事や自身の子育て経験から、子育てに世代間のギャップがあると実感。2003年に育児の姉妹サイトとして「孫育て」のサイトを立ち上げる。以来、「孫育て講座」の開催や、祖父母手帳の制作、子育てNPOの立ち上げ、医療・企業とのコラボなど、子育て・孫育てをする人のサポートを行なっている。

<WEBサイト>
NPO法人孫育て・ニッポン

<著書紹介>
『祖父母に孫をあずける賢い100の方法』(岩崎書店)
『ママとパパも喜ぶ いまどきの幸せ孫育て』(家の光出版)
CD『孫育て童謡~音楽で楽しくスキンシップ 孫といっしょに歌いたい 心育むふれあいソング~』
監修『新米祖父母の教科書 孫育て一年生』(KADOKAWA)

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