フィリピンの子どもを音楽で支援!セブンスピリットの熱い活動とは?

フィリピンには、教育を受ける機会がない子どもたちや犯罪に手をそめてしまう子どもたちが大勢います。

彼らを支援しようと、多くの団体や個人が資金や物資支援を行うなか、「音楽」を通して子どもたちの人生をサポートしている団体に出会いました。
NPO法人セブンスピリットです。

音楽によって喜びや生きがいを見出す子どもたち。
セブンスピリットの活動は、資金や物資の援助からは得られない、子どもたちの根っこの部分の変化を生んでいます。

当法人の理事長を務める田中宏明さんに、熱い活動内容と子どもたちのことを伺いました。

フィリピンの貧困層の子どもはパンを買うより、ドラッグに手を出してしまうことも

NPO法人セブンスピリット:田中宏明さん

編集部

フィリピンの子どもたちの暮らしとは実際に、どういうものでしょうか?

田中さん
田中さん

僕が活動の拠点としているフィリピン・セブ島の生活水準は、近年少しずつ高くなっていますが、未だ学校に行けない子どもたちが多くいるのも現実です

小学校を卒業できるのは約7割、高校を卒業できるのは約5割といわれています。

学校に行かず、物乞いや盗みをして暮らしている子どもたちも多くいます。

「スラム」と呼ばれる地域はとくに貧困層が多く、ドラッグ問題も深刻です。
シンナーは約5ペソ(日本円で約10円)と手頃なので、簡単に手に入ります。

シンナーを吸うと、空腹を2〜3日感じなくなるらしく、そのため、1個のパンよりシンナーを選んでしまう子どもたちが多いのです。

セブンスピリットを立ち上げたのは鍵盤ハーモニカがきっかけ

編集部
NPO法人セブンスピリットを立ち上げた経緯について教えてください。

僕が最初にフィリピンを訪れたのは、30歳のとき。

20代はフリーランスのライターとして働いていましたが、全く違うことにチャレンジしてみようと思い立ったことがきっかけです。

語学留学でしたので、平日は語学学校に通いながら、週末は孤児院を訪れるようになりました。

最初はドイツで子どもたちをケアする施設に興味を持っていた

じつはその頃、ドイツにある内戦で傷ついた子どもたちをケアする施設に興味をもち、ドイツにも行ったんです。
しかし、ドイツ語が話せないという理由で断られました。

医療現場では語学が重要だと一蹴され、泣く泣くフィリピンに戻ることに。
そうして、また孤児院を毎週末訪れる暮らしに戻ったんです。

音楽に触れた子どもの変化が立ち上げのきっかけ

フィリピンの子ども音楽触れあい

編集部

その孤児院で、子どもたちと出会うんですね。

田中さん
田中さん

そうですね。
その孤児院には、日本から寄付された鍵盤ハーモニカがあり、日本人学生が子どもたちに弾き方を教えていたんです。

毎週末その様子を見ていると、訪れるたびに演奏が上手になっていくのでびっくり。
さらに、演奏の上達で自信をつけ、表情や性格までも変わっていくのが感じ取れました。

子どもたちの輝く表情を見ていると、自分もだんだんと前向きになれ
「じゃあ自分で作ろう!」と思えたのです。

フィリピンで自分がやりたいことを始めれば良いじゃないかという気持ちになり、セブンスピリットを立ち上げました。

最初は人集めに苦労した

今でこそたくさんの子どもたちが参加してくれていますが、最初は人数を集めるのに苦労しました。

フィリピンの公立の学校には、しっかりとした音楽の授業が確立されていないので、
子どもたちは音楽に触れる機会が少ないのです。

スラムのストリートチルドレンに「ご飯が食べられるからおいで」と話しかけて誘い、「いただきますの前にちょっとだけ歌おう」というところからスタートしました。

ご飯目当てだった子どもたちが、少しずつ音楽の楽しさを知っていき、今ではみんな音楽を楽しんでいるよう。

どんなに騒いでいても、指揮者が指揮棒を上げればキリっと表情が変わりますよ。

現在はコンサートや結婚式での演奏も

子どもに関するお写真

現在、約170名の子どもたちがセブンスピリットの活動に参加しており、放課後に演奏の練習や運動などをして過ごしています。

演奏の練習はもちろん、月に1度のペースでコンサートも開催しています。
スラムの真ん中ですることもあれば、依頼されて結婚式で演奏することもあるんです。

音楽が子どもに与える影響は「喜びとはじめての自信」

編集部

音楽は子どもたちにどのように影響していると思いますか。

田中さん
田中さん

音楽の中でも、たとえば鍵盤ハーモニカーで音を出すのって難しくないじゃないですか。
吹けば音が鳴るし、別の場所を押すと音が変わりますよね。

小さなことに感じるかもしれませんが、フィリピンの子どもたちにとっては、それだけでもすごく嬉しいんです。

子どもたちのなかには、物乞いをして暮らしている子もいます。
そういう子たちは、自分の存在価値や自信を感じる機会がほとんどないんです。

音楽は彼らにとって、初めて得る自信。小さな成功体験です。

自分がしたことに対して結果が出ると、「次はこうしてみよう。こうしたらどうなるかな? 」と、意識が変わります。

「もっと上手になりたい。失敗してもまた頑張ろう」と思うようになるんです。

音楽の力って、本当に偉大ですよね。

盗みをしていた少年の転機

これまで、音楽を通して変わっていく子どもたちをたくさん見てきました。

印象に残っているのは、セブンスピリット内でリコーダーのコンクールを開いたときのこと。
そこで1位に選ばれたのは、とくに貧しい地域から通っていた8歳の男の子です。

彼は路上で盗みをしていたような子でしたが、そのコンクールを機に変わっていきました。

人生で初めて自信を得た体験だったと思うんです。

14歳になった今、彼はトランペットを吹いています。

スラムからの大学進学も

音楽で自信をつけて他のことも頑張ろうという子どもも多いのですが、難しい現実があります。

フィリピンの貧困問題があるため、なかなかスラムから大学進学はできません。

しかし、なかには大学へ進学した子もいます。

編集部

貧困問題の解決は必要ですが、ひとつの希望になるかもしれませんね。

感動で涙の日本公演

NPO法人セブンスピリット:田中宏明さん
2017年には、初の日本公演を行いました。「日本に行くぞ!」と伝えた時の子どもたちの喜んだ顔や、公演最終日に泣きながら演奏していた様子が忘れられません。

今年の秋に2度目の日本公演を予定しています。6月よりクラウドファンディングも開始予定です。ぜひ、子どもたちの演奏を聴きにお越しください。

この日本公演を通して、子どもたちがさらに成長してくれたら嬉しいです。

僕が子どもたちに望むのは、納得した人生を送ること

フィリピンの子どもたちにとっては難しいことですが、多くの選択肢のなかから自分で人生を切り開いてほしいのです。

プロフィール
田中宏明(たなか・ひろあき)

NPO法人セブンスピリット理事長。フリーランスのライターとして活動した後、30歳で英語を学ぶためにフィリピンへ留学。そこで子どもたちと出会い、音楽を通してフィリピンの子どもたちの人生を支援する活動を開始する。

2012年にNPO法人セブンスピリットを設立。放課後の音楽教室やコンサートを実施。2016年にクラウドファンディングで資金を集め、初の日本公演を開催した。2019年秋に2度目の日本公演を予定。来日公演情報は、Facebookで発信します!

<WEBサイト>
NPO法人セブンスピリット
http://seven-spirit.or.jp/