【医師監修】おたふくかぜの予防接種の費用や副反応(副作用)は?

子どもの予防接種にはさまざまなものがありますが、今回は1歳になったら受けたいおたふくかぜの予防接種について紹介します。

おたふくかぜワクチンについて、その費用や、接種後の注意点、副反応などをまとめてみました。

4〜5年おきに流行するおたふくかぜ


おたふくかぜは、ムンプスウイルスによる感染症です。

耳の下あたりにある耳下腺がはれるのが特徴で、流行性耳下腺炎やムンプスともよばれています。

比較的感染力の強いウイルスで、人から人へ感染し、日本では4〜5年おきに流行を繰り返しています。

耳下のはれが特徴

ムンプスウイルスに感染してから、発症するまでの潜伏期間は2〜3週間

発症すると、両方あるいは片方の耳下あたりのはれと疼くような痛み、食べ物を飲み込む時の喉の痛み、発熱などの症状がでます。

通常は、1〜2週間で回復するケースが多いようです。

しかし、ときに合併症を併発することもあり、なかには後遺症を残すものもあります。

合併症で難聴になることも

合併症として多いのは、無菌性髄膜炎です。

無菌性髄膜炎の症状としては、頭痛や嘔吐、まれにけいれんなどがみられます。

軽い症状ですむことがほとんですが、その発症率は10%前後と低くありません。

思春期以降にみられる合併症には、男性の睾丸炎、女性の卵巣炎があり、それが不妊の原因になることもあります。

赤ちゃんが心配すべき合併症は、難聴です。

おたふくかぜに感染したうちの2万人に1人というわずかな数でありますが、ムンプス難聴になると治療法はなく、後遺症が残ります。

発症は片方の耳だけのケースもあれば、両耳のケースも。

そのほかのシリアスな合併症としては、ごくまれに膵炎を発症することがあります。

合併症を発症した場合は、入院しての治療が必要です。

気づかないうちに流行することも

ムンプスウイルスは、比較的感染が強いウイルスで、飛沫感染(唾を介して感染すること)し、幼稚園や保育園などで感染者が出ると、集団感染する可能性があります。

耳下のはれなどの特徴的な症状が出る約1週間前から唾液にウイルスの排出がみられ、感染した人の約3割の人が症状が出ない不顕性感染(ふけんせいかんせん)であることあり、気がつかないうちに感染源になってしまうことも。

そのため、どんなに気をつけていても、完全に感染を防ぐのはとても難しいのです。

おたふくかぜの治療薬はない

現在の医学では、ムンプスウイルスに対抗する薬はなく、おたふくかぜにかかると対症療法しかなく、あとは自然回復を待つしかありません。

おたふくかぜの合併症である難聴にも、治療方法はありません。

そのため、おたふくかぜワクチンによる予防接種が推奨されているのです。

おたふくかぜワクチン


おたふくかぜワクチンは、生ワクチンで、皮下注射によって接種します。

ムンプスウイルスへの感染、およびムンプス感染症が原因で発症する合併症を防ぐのが目的です。

ワクチンによる予防率は、約90%。

1歳になったら接種することができますが、現在のところ定期接種ではなく任意接種(本人の希望による接種)です。

接種スケジュール

おたふくかぜの予防接種は、2回接種が標準です。

1歳から1歳3ヶ月のあいだに、初回の接種をすませることを、多くの医療機関ですすめています。

早いうちに接種した方が、副反応である無菌性髄膜炎発症のリスクが低いからです。

その後、2回目の接種は、2〜4年の間隔を開けて、就学前の5〜7歳のあいだに受けることがよいとされています。

予防接種の回数が2回必要なのは、予防効果を確実にするためです。

同時接種も可能

1歳になったら優先的に受けたいのがMRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)です。

おたふくかぜワクチンは、その次に受けたいワクチンとなりますが、MRワクチンと同時接種することも可能です。

日本小児科学会では、MRワクチン、水痘ワクチン、おたふくかぜワクチンの同時接種を推奨しています。

予防接種が受けられないケース

予防接種は、体調のよいときに受けるのが基本です。

また、次のようなときは、ワクチンの推奨接種時期であっても、予防接種を受けることはできません。

  • 発熱している(37.5度以上)場合
  • 下痢や嘔吐など急性疾患にかかっている場合
  • 医師により不適当と判断された場合

以下のような場合は、接種してもいいかどうか医師に相談してください。

  • 過去、他の予防接種で熱を出したり、アレルギー反応を起こしたことがある
  • 免疫機能に異常がある疾患がある
  • 肝臓疾患、腎臓疾患、血液疾患などの疾患がある

おたふくかぜ ワクチンの副反応

現在、日本で承認されているのは、おたふくかぜ単独の生ワクチンです。

生ワクチンとは、ムンプスウイルスの病原性を弱めて作られたもので、それを皮下注射することで、体内に免疫を作ります。

注射した部分が腫れたり、赤くなることはありますが、数日以内に治るのが普通です。

ごくたまに接種後2〜3週間後、自然感染したときのような症状が現れることもあります。
ほとんどの場合、症状は軽く数日で治ります。

考えられるワクチンによる副反応

  • 耳下が軽く腫れたり、痛みを感じる
  • 発熱
  • 無菌性髄膜炎(頭痛、発熱、嘔吐をともなう)
  • 脳炎
  • ショック・アナフィラキシーのような症状
  • 発疹・蕁麻疹

ワクチン接種後に気をつけたいこと

おたふくかぜワクチンを接種したあとは、次のようなことに注意してください。

  1. まれに重いアレルギー症状が出ることがあります。
    接種後30分は、安静にして様子をみてください。
    できれば、接種した場所で待機するか、接種した医師と連絡がすぐに取れる状態にしてください。
  2. 接種した日は、激しい運動はさけましょう。
  3. 入浴はできますが、接種後1時間以降にしてください。
  4. 注射した部分をこすらないようにしましょう。
  5. 接種後3週間がすぎるくらいまでは、副反応がでる可能性があります。
    赤ちゃんの健康状態をよく観察して、体調の些細な変化にも注意してください。
  6. 接種後2〜3週間後、高熱、頭痛、嘔吐、けいれんなどの症状がでた場合は、無菌性髄膜炎の可能性があります。
    気になる症状がある場合は、すぐに診察を受けてください。
  7. 次の予防接種には4週間以上の間隔をあけましょう。

海外におけるおたふくかぜワクチン

海外、とくに多くの先進国においては、MMRワクチン(麻しん、風しん、おたふくかぜ三種混合ワクチン)が定期接種としておこなわれています。

現在、先進諸国では、おたふくかぜが日本のように流行することはありません。

日本においては、国産のMMRワクチンは現在のところ未承認で、定期接種のMRワクチンと任意接種のおたふくかぜワクチンに分かれています。

おたふくかぜワクチンの費用と助成金


おたふくかぜワクチンの予防接種は、定期接種ではなく任意接種のため費用がかかります。

また、予防接種は健康保険の対象外であるため、おたふくかぜの予防接種の費用は自己負担です。

医療機関によって多少の料金は違いますが、かかる費用は、1回につき5,000〜6,000円前後となります。

医療費控除は受けられる?

医療費控除とは、1年間に支払った医療費が10万円を超える場合、税務署に申告することで、一定の所得控除を受けることができる制度です。

しかし、医療費控除は「治療目的」の医療費が対象のため、予防接種は医療費控除の対象にはなりません。

自治体からの助成金

お住まいの自治体によっては、おたふくかぜ の予防接種の助成が受けられます。

助成の範囲についても一部助成、全額助成と地域によってさまざまです。

申請することで受けられる助成なので、お住まいの地方自治体に、申請方法を確認してください。

今後、定期接種になるの?

日本小児科学会などが加入している予防接種推進専門協議会は、おたふくかぜワクチンの定期接種化を求める要望書を、2018年5月14日に厚生労働省へ提出しています。

2018年5月時点では、おたふくかぜワクチンは任意接種ですが、今後定期接種となる可能性もでてきました。

ただし、定期化を待って接種時期を遅らせるのは、おすすめできません。

接種するなら、任意接種の推奨期間である1歳から1歳3ヶ月の間で受けておきましょう。

おたふくかぜの予防接種は受けるべき?


おたふくかぜの予防接種は、有料の任意接種となります。

「受ける」「受けない」は、それぞれの家庭での考えで違いますが、判断をするためにも、感染したときの症状やリスク・接種スケジュール・費用・副反応などを知ることは大切です。

ムンプスウイルスに感染すると、おたふくかぜ特有の症状がでる前から感染源となるため、幼稚園や保育所などでは集団感染を引きおこすことも多々あります。

また、ムンプス感染は合併症も多く、ムンプス難聴は治療法がなく、後遺症として残ることが多いのです。

乳幼児にはさまざまなワクチンの接種が推奨されていて、どのような順番でなにを接種するか迷うママも多いかもしれません。

パパとママで相談することも大切ですし、判断に迷ったら、かかりつけの小児科病院に相談してみてはいかがでしょうか。