WHO(世界保健機関)の発表によると、男性不妊は48%、女性不妊は65%となっています。
妊娠をするためには、女性だけが妊活を行うのではなく、男性も一緒に前向きに妊活を行い、正しい妊娠の知識を身に着けることが大切です。
とはいえ
「妻が頑張りすぎ。そんなにしなくても」と夫婦間に温度差があったり、
「不妊治療になると費用が心配」
ということから、いまいち妊活に消極的な男性もいるようです。
「赤ちゃんは、いつでもできる」というわけではありません。
年齢を重ねれば重ねるほど、妊娠できる確率は下がってきます。
妻だけではなく、夫婦で妊活をはじめることが、結果的に費用を少なくする秘訣だったりもします。
また、パートナーの男性がしっかりとした妊娠の知識をつけると、夫婦間の温度差を埋めるきっかけになることも。
ここでは、男性が妊活を行うにあたり、男性不妊の原因や、精子のチェック方法、精子の質をあげるにはどうしたらいいのかなどをみていきましょう。
男性不妊の原因は?
赤ちゃんを授かるには、精子と卵子がうまく出会って、受精卵になることからはじまります。
不妊の原因が男性にある場合は、ふたつの原因が考えられます。
- ひとつめは、精子に原因があるケース、
- ふたつめは、性交そのものをうまくできない性交障害があるケースです。
精子が原因になるケース
精子になにかしらの問題があると、妊娠できない可能性があります。
精液の多くは分泌物で、その中に精子がいます。
精子の動きが悪かったり、数が少ないと卵子に到達できずに、受精できない可能性が高くなるのです。
精子の濃度が薄い「乏精子症」、精子がまったくない「無精子症」、精子の運動率が低い「精子無力症」などがあります。
35歳から精子も老化する?
「卵子の老化」という言葉を聞いたことがある方は、多いのではないでしょうか。
じつは加齢によって精子も老化します。
アメリカの生殖技術研究所が発表した、男性5,081人を対象にした精液の調査結果によると、35歳を超えると精子の総数や総運動量、正常な精子の割合が減少しています。
精子の数は、35歳から毎年1.71%ずつ減り、精子自体の奇形率は40歳から0.84%ずつ増えていると発表されています。
男性は何歳でも子どもができる、というわけではないようですね。
男性も早めに妊活を行うと、妊娠率をアップできるだけでなく、不妊治療を行わずに済むかもしれません。
性交障害はテストステロン不足?
男性不妊の原因には「性交障害」があります。
「勃起が起こらなくて性行為ができない」「性行為はできても射精が困難」などです。
このような症状の背景には、男性ホルモンである「テストステロン」が深く関係しているといわれています。
テストステロンは、体毛を濃くしたり、がっしりした男性らしい体つきを作る働きがあるだけでなく、勃起にも大きく関わるホルモンです。
性的な刺激を受けて、テストステロンが分泌されると、血管を広げて血流をよくするため、性交が可能になるように硬く勃起できます。
加齢やストレスによって、テストステロンの分泌量が減ると、勃起不全(ED)や性欲の減退などの症状がみられます。
精子の動きはどうやって検査するの?
最近では、自宅で簡単に精子をセルフチェックできるものがあります。
精子のセルフチェック「テンガメンズルーペ」
テンガメンズルーペは、スマホにレンズを装着して、自分の精子を動画で撮影して観察できるキットです。
ひとつのキットに4回分がセットになっています。
精子の状態は、体調によって変わるので、数回にわけて使用するとよいでしょう。
病院で採精するのに抵抗がある方や、なんとなく精子のことが気になるという方には、気軽に試せるのでオススメです。
泌尿器科医の小堀義友先生が運営するサイトでは、精子の数え方や精子運動率の求め方が詳しく書かれているので、セルフチェックをされる方は参照するとよいでしょう。
ただし、セルフチェックでは、精子が正常な形状をしているかまではわかりません。
より詳しく精子の状態を知りたい方は、病院で行う精液検査をオススメします。
病院で行う検査
妊活を行う男性の多くが受けているのは、病院の精液検査です。
精液検査は産婦人科や、不妊治療専門のクリニック、男性専門のメンズヘルスクリニックなどで行えます。
検査の大まかな流れ
- 採精(クリニックか自宅)
↓ - 後日来院して検査結果を知る(さらっと)
採精は、クリニックで行うことが主流です。
採精室などの個室で、男性自身で射精した精液を採精カップに入れて提出します。
家で採精した場合は、胸ポケットなどに容器を入れて、人肌に温めたままクリニックに持参して提出するケースが多いようです。
検査結果は採精したその場で出るのではなく、後日説明を受けます。
精液検査でなにがわかるの?
精子の数や運動量、正常な形状の割合だけでなく、白血球の数などもわかるので、本人が気づいていない、ほかの疾患がみつかることもあります。
クリニックで男性不妊の原因がわかった場合は、食事療法や漢方、ビタミンEなどの指導があることも。
場合によっては、人工授精や体外受精、顕微授精などの不妊治療を視野に入れて、医師と相談できます。
では、男性が妊活をするなら、どんな方法があるのでしょうか。
食事や運動、そのほか生活習慣など、具体的な方法について確認していきましょう。